残業代ゼロ制度への疑心暗鬼。(Fri.20140530)

 

「残業代ゼロ」厚労省が条件付きで容認へ
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000027776.html

 安倍総理大臣が推進する残業代ゼロの導入を巡り、厚生労働省は28日、制度の対象を「世界で通用する高度な専門職に限定すべき」との対案を初めて示した。4月に出された民間議員の案では、「一般社員も対象」になるとして、厚労省は長時間労働への懸念から残業代ゼロの導入に慎重だったが、今回、条件付きで容認した。
 田村憲久厚生労働大臣:「(適用の)範囲を明確にするということ、高度な専門能力を持っている方、そういう方に絞り込むということで、これから他の大臣の方々と協議をさせて頂く」
 榊原定征経団連次期会長(東レ会長):「世界レベル(の専門職)だと非常に限定した形になる。研究者、技術者、マーケティング担当者など、そういった方にも広げた形で推進してほしい」
 民間議員からは改めて、将来の幹部候補など別の形で対象を絞る修正案も出されたが、意見の隔たりは大きく、調整は難航しそうだ。

 

 2014年の年明け頃から、確か残業代ゼロ制度というものが話題になりはじめて、5月の末、現在では、本格的にそのような制度が導入されるような話になってきています。

 

 「残業代ゼロ」という名称が使いまわされていて、さも人件費をケチるための制度ではないかと勘ぐられそうなほどです。ニュースでも、「残業代ゼロ制度」、「残業代ゼロ」という名称が頻繁に登場し、働く側には何のメリットも無いかのような仕組みに思われてしまっているのではないでしょうか。

 

 時間による制約なしに働くと、働く側にはどういう利点があるのか。この点についてはほとんど説明されず、とにかく残業代が無しになるゼロになるという点ばかり強調されてしまっています。

 

 残業代が無しになるという点は企業側の利点です。では、働く側の利点は何なのか。この点についてもっと説明しないと、反発しか返って来ず、数年前のホワイトカラーエグゼンプションが立ち消えになった時と同じ結末になります。

 

 労働時間に対する規制を緩和する際の最大の壁は、疑心暗鬼です。始業時間前に仕事を始めさせるとか。休憩時間に仕事をさせるとか。終業時間後にミーティングを行うとか。所定の始業時間や終業時間とは違う時間にタイムカードを打刻するとか。残業代をキチンと支払わないとか。こういったことが積もり積もって企業の労務管理に対する不信感が膨らんできました。

 

 働く側のメリットを積極的に説明して、疑心暗鬼をある程度払拭しないと、今回もホワイトカラーエグゼンプションと同様に見送りになるかもしれません。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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