book707(5時間労働と10時間労働。どちらがツライ?)




「長時間労働=ツライ」という判断。


 働いている時間が長いほどシンドい仕事だと思われる傾向があります。5時間勤務よりは10時間勤務の方が辛くてシンドイと思われるでしょうし、逆に、10時間勤務よりは5時間勤務の方がラクだと思われるはず。

 仕事の時間が長ければ長いほど大変だと思ってしまいがちです。実際の仕事でも、1日8時間勤務、法定時間外割増賃金、深夜時間割増賃金など、時間を基準に仕事を評価するのが労働基準法です。

 そのため、仕事の中身だけでなく仕事の時間数で仕事の内容を推測してしまう傾向があります。

 毎日、残業があって、勤務時間は平均で10時間ぐらい。こう聞くと、「あぁ、大変そうだねぇ、、」と思ってしまいますが、10時間という労働時間は確かなのかもしれませんが、時間数だけでは仕事の中身までは分かりません。しかし、仕事の時間で仕事の大変さまで考えてしまうのが人間です。
 
 とはいえ、普段から労働基準法の制限を知っていると、どうしても時間を意識してしまうのは仕方のないことです。




仕事の時間は同じでも、仕事の密度が違う。


 今流行りのブラック企業は長時間労働が特徴ですが、労働時間が長いからといって必ずしも労働環境が悪いと判断するのは早計です。

 例えば、1日の勤務時間が10時間だったとして、その10時間は常に仕事をしていたのかどうか。時間だけで評価すると、10時間労働ですから、さぞ大変そうな感じがします。しかし、仕事の中身を調べると、10時間ミッチリと仕事が詰まっている人は意外と少ないのではないでしょうか。
 
 製造業の人だと、セッセと製品を作って、いわゆるアイドルタイムはほとんど無いかもしれません。しかし、サービス業の場合は、仕事の密度にムラがあり、常に何か仕事をしているとは限らないのです。
 
 
 例えば、飲食店の場合。外食業界はブラックだブラックだと言われやすい業界ですけれども、飲食店はサービス業ですよね。実際に飲食店で働いた経験がある人だと分かるかと思いますが、飲食店というのは常にお客さんがワイワイと入っているとは限りません。
 
 例えば、土日や祝日だと家族連れやカップルのお客さんがたくさんやって来るでしょうが、平日は仕事帰りのビジネスマンが来るぐらいで週末や祭日の営業ほど忙しくはないでしょう。
 
 また、時間帯によっても仕事の密度が変わります。お昼の時間帯、11:30から13:00頃までは昼食をとるためのお客さんがドドっとやってきます。しかし、13:30頃になるとグッとお客さんは減って、14:00を過ぎるとガラガラになる。12:00から13:00までの時間と13:00から14:00までの時間は同じ1時間ですが、仕事の密度が違います。
 
 だから、同じ1時間労働であっても、仕事の内容まで必ずしも同じとは限らない。しかし、単純に労働時間が1時間という形で把握すると、「同じ仕事だよね」と思ってしまいがちです。
 
 飲食店は、お昼の時間帯、あとは夕方から夜の夕食時間帯、これらの時間帯は忙しいですが、それ以外の時間は想像よりもヒマです。もちろん、ヒマな時間には仕込み作業や掃除などの仕事もありますけれども、1時間あたりの業務負荷は時間帯によって変化しています。
 
 
 「5時間労働と10時間労働。どちらがツライ?」と聞かれたら、あなたならどう答えるでしょうか。






 

山口正博 社会保険労務士事務所
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