2014年4月1日から新しくなる制度をピックアップ(Tue.20140401)

 

2014年4月1日から新年度が始まり、公的な制度もたくさん変わります。

 

新年というと1月1日なのですが、新年度というのは4月1日からなので、新しい年がまた始まったという感じが毎年あります。

 

労務管理に関連する制度も全てを把握しきれないほど変わっていますので、網羅的に理解するのは難しいですが、その中でも特に重要な制度変更だと考えられる5つの項目をピックアップして紹介します。

 

 

1,雇用保険制度の変更。

まずは、雇用保険に関する変更です。

育児休業に関する給付が拡張され、失業から再就職したときの手当が拡張、さらに失業手当の日数の延長。この3点が雇用保険での変更点です。

 

育児休業給付の給付率が50%から67%へ増えるように変更されましたが、この目的は男女ともに育児休業を取得するように促進するのが目的のようです。

ただ、育児休業を取得する障害は、経済的な要因だけでなく、職場の上司や同僚の価値観も要因ですから、制度を変更するだけではおそらく育児休業の取得はあまり増えないだろうと予想します。

特に、男性の育児休業となると、「奥さんが子供の面倒を見ているのだろう? だったら、君が休んで育児をする必要はないじゃないか」と上司から言われてしまい、育児のために休むのが困難になります。

 

もちろん、休業しなくても勤務時間を短縮するなどの代替手段を用いれば育児はできますから、選択肢は育児休業だけではありません。

ただ、女性ですら育児休業を満足に取得できない状況で、男性が育児休業をホイホイと取得できるかというと、やはり難しいだろうと思います。

 

育児休業にとっての最大の課題は、公的な制度というよりも、職場の人の価値観です。どれだけ制度が充実しても、働きながら育児をすることに対する理解が不足していると、育児休業に対する給付を上乗せしても効果は限定的なものになるでしょう。

 

(参考)

育児休業給付の充実について
再就職手当の拡充について
失業等給付の暫定措置の延長について(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/seido/dl/140331-01.pdf

 

 

 

 

2,遺族基礎年金が父子家庭にも支給される。

次は、遺族年金に関する制度変更です。

遺族基礎年金とは、国民年金版の遺族年金のことです。ちなみに、厚生年金版の遺族年金は遺族厚生年金と表現します。

遺族年金と言うと1つの制度だと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、遺族年金には上記のように2種類ありますので誤解なきよう。

 

遺族基礎年金は、今までは母子家庭を対象に支給されていた遺族年金で、父子家庭は対象外でした。お父さんが何らかの理由で亡くなり、お母さんと子供が残された場合に遺族基礎年金は支給されていました。しかし、お母さんが先に亡くなり、お父さんと子供が残された場合には遺族基礎年金が支給されず、男女間で遺族基礎年金の対応に差がありました。

 

私が大学生の頃、社労士試験対策で国民年金の遺族基礎年金を学習していたときも、母子家庭限定の遺族年金でしたからね。その頃から、「なんでこんなに差別的な仕組みになっているのか」と感じていたものです。

 

遺族基礎年金の男女差というのはずっと前から存在していて、この差は良くないと指摘していた人も多くいたはずです。審査請求や裁判で父子家庭への遺族基礎年金の受給について争った人も少なくないでしょう。にもかかわらず、平成26年4月に至るまで制度はそのままの状態でした。

平成26年4月になって、やっと遺族基礎年金の男女差が解消されます。

 

本当に長かったですね。もっと早く制度が変わっても良かったのでしょうが、制度の改正が実現したので良しとしましょうか。

 

(参考)

制度改正の概要と対応について(日本年金機構)

http://www.nenkin.go.jp/n/data/free1/0000000011_0000009749.pdf

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/topics/2012/dl/0829_01_01.pdf

 

 

 

 

3,産休中の厚生年金保険料の免除

以前より、育児休業中は社会保険料が免除されていました。しかし、産前産後の約3ヶ月間の産休中(労働基準法65条)については免除の対象にはなっておらず、いうなれば制度が穴あきになっている状態でした。

この穴あき状態を解消するために平成26年度から制度が変更になり、産休中も社会保険料が免除されるようになります。これにより、育児休業の期間と産休の期間における社会保険料の扱いが統一されます。

これも長い間議論されてきて、やっと制度が変更になりましたね。

 

 

(参考)
 

www.growthwk.com



制度改正の概要と対応について(日本年金機構)

http://www.nenkin.go.jp/n/data/free1/0000000011_0000009749.pdf

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/topics/2012/dl/0829_01_01.pdf

 

 

 

 

4,年金の支給額引き下げ

年金の支給額が物価に連動して減額されます。

年金制度には、物価に連動して給付額を調整する物価スライド制という仕組みがあり、物価が上昇すれば年金の給付額も増え、逆に物価が下落すると年金の給付額も減ります。

 

しかし、この物価スライド制に対し、平成25年9月までは特例として物価と年金の給付額を連動させてきませんでした。平成25年10月以降は、徐々に物価と年金との間のギャップを解消してきたのですが、平成26年時点でもまだ物価よりも年金の給付水準が高いので、年金の支給額を引き下げたというわけです。

 

最初から物価スライド制をキチンと適用していれば、今回のように支給額を引き下げる必要もなかったのかもしれませんが、年金を減らすと高齢者が反発し、選挙の時に不利になると与党の国会議員が判断したため、特例で年金の給付水準を物価に連動させなかったとも考えられます。

 

物価スライド制が存在しているため、年金の給付調整は遅いか早いかの違いだけであって、いずれは調整されるものですから、この点は悪い制度変更ではなく、通常通りの対応と考えるべきですね。

 

(参考)

平成26年度の年金額は0.7%の引下げ |報道発表資料|厚生労働省平成26年度の年金額は0.7%の引下げ |報道発表資料|厚生労働省  

 

 

 

 

5、年金の受給資格期間が25年から10年に短縮される。

これはとても重要な制度変更です。多くの人に関連する変更ですから、必ずチェックするべきです。

 

年金を受給するには、年金制度に25年の期間(連続した期間でなくてもよい)にわたって加入する必要があり、この部分がネックになって年金制度に対する参加意識が希薄になっていました。

25年ですからね。これは長いですよね。

 

その25年の条件が緩和されて、10年に変更になります。つまり、累積で10年の加入期間があれば、年金を受給できるようになるということです。

ただ、施行日は平成27年の10月からですから、現時点が平成26年4月ですので、新しい制度が始まるのはもうちょっと先です。

 

今回の制度改正の中で、最大の目玉は、年金の受給資格期間の短縮でしょうね。25年が10年に変わるのはとても良い変更です。

 

 

 

(参考)

制度改正の概要と対応について(日本年金機構)

http://www.nenkin.go.jp/n/data/free1/0000000011_0000009749.pdf

受給資格期間の短縮【平成27年10月(消費税第2段階施行の日)施行予定※2】という部分に上記の内容について記載されています。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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