book695(リスクがあってもベビーシッターを使いたい人。)

 

ベビーシッター仲介サービスは危険?


2014年3月17日にニュースになった、ベビーシッターが預かっていた子供が死亡した事件が起こり、ベビーシッターの仲介サイトが話題になっていますね。

「ベビーシッター」で検索すればたくさん仲介サイトが出てきますので、すでに検索していくつかの仲介サイトを閲覧した人も多いのではないでしょうか。

ベビーシッター仲介サイトは、いわゆる「C to C」 のサービスで、個人が個人へサービスを提供するための情報を仲介する機能を持っています。

「手が空いている人」と「子供の面倒を一時的に見て欲しい人」、この両者をマッチングするサービスがベビーシッター仲介のサイトです。

マッチング系のサービスは、ベビーシッターだけでなく、人材派遣、弁護士や税理士を集めた専門家ポータルサイト、価格.com、ヤフーオークションなど、多岐にわたります。

商売というと、事業者間取引のB to B、事業者と消費者との間で成立するB to C、この2パターンが主流ですが、さらにマッチングサービスのようなC to Cというパターンもあります。


商取引は業者が責任を持つのが当たり前という感覚がありますが、C to Cの取引だと、主に責任を負う主体がなく、当事者で責任を分担するか、取引の当事者で自己責任となる場合があります。

今回のベビーシッター仲介サービスも、典型的なC to Cのサービスで、トラブルが起こってもサイトの運営者は情報を仲介しているだけなのでトラブルの責任を負わず、当事者の自己責任になります。


この手のトラブルが起こると、「政府は何をしていたんだ」とか、ベビーシッターは保育系のサービスなので「厚生労働省は何をしていたんだ」とか、すぐに公的機関の責任が話題になります。

しかし、公的機関が責任を負うと、アレコレと規制が課され、使いにくいサービスになってしまい、利便性が低下し利用者が減ってしまう。おそらく、厚生労働省やその下の機関では、ベビーシッターの仲介サービスが存在すると把握していたはずですが、便利なサービスだと判断し、あえて積極的には介入してこなかったのかもしれません。

ところが、今回のように、サービスを受けている子供が死亡したため、「こりゃあ、何かしないといけないかもなぁ」と考え始めているでしょう。


もしベビーシッターの仲介サービスが危険であるならば、利用者はいなかったはずですが、利用者は想像よりも多いようです。ベビーシッターとして登録している人も数百人規模でいるので、サービスに対する需要も相応に存在するのだと推測できます。





時代のニーズを捉えたサービス。


「面識のない人に預けるなんて危ない」と指摘する人もいますが、今回の事件では、何度か預けた経験がある人に子供を預けている、いわゆるリピーターの人です。

もちろん、初めて預ける人ならば、確かに担当のベビーシッターとの面識はないのかもしれないけれども、今回のケースはリピート利用なので、相手のベビーシッターとの面識はすでにある状態でした。

だから、「面識のない人に自分の子供を預けたから事件が起こった」という指摘は的外れです。

とはいえ、初めて自分の子供を預けるときはビクビクするでしょうね。ベビーシッターサービスを利用するのが初めてだったり、担当のベビーシッターを利用するのが初めてだったりすれば、程度の差はあれ誰でも怖さはあるでしょう。


最近では、近所付き合いが少なくなり、両親と離れて暮らしている人も普通にいます。さらに、兄弟も遠くにいる。となると、子供の面倒を一時的にであれ見てくれる人が身近にいない。だから、今回のようなベビーシッターサービスがあると便利だと感じ、利用する。

自宅が二世帯住宅ならば、父や母に自分の子供を見ていてもらうこともできますし、近所に兄弟が住んでいれば、「ちょっとウチの子、見ててくれない?」という感じで気軽にお願いできます。他にも、友人に頼んだりするのもいいかもしれません。


地方都市でがあまり聞きませんが、都市部では待機児童が発生しているので、こういう子供の面倒をみてもらう目的でベビーシッターを利用する人もいるはずです。

都市部では待機児童が多いため、自分の子供を保育所に入れるまで、ベビーシッターにフォローしてもらう。そういう利用の仕方もあり得ますよね。


あとは、幼稚園に子供を入れている人だと、幼稚園は子供を預かる時間が短くて、昼ごろにはお迎えに行かないといけない日もあります。そのため、ベビーシッターを利用して、幼稚園から帰ってきた後の面倒をみてもらう。そんな利用シーンも想定できます。

保育園に子供を預けている場合だと、延長保育というサービスを利用できる保育園もあるのですが、時間を延長して預かってくれない保育園の場合、ベビーシッターを利用して、夕方以降、子供の面倒をみてもらう。こういう使い方もありそうです。


考えていると、実に時代にあったサービスになっているのがベビーシッターサービスです。


ベビーシッターと違い、保育の場合は、有資格者の保育士がサービスを提供します。そのため、ベビーシッターが「偽装保育士」のような状態になっている可能性もあります。

保育士ではないのに保育士と名乗るベビーシッターもいるようなので、保育の業界からもクレームが発生しているのではないでしょうか。

規制を受け入れながらサービスを提供している保育士に対し、ベビーシッターは特段の規制は無い。両者で似たようなサービスを提供しているのに、左記のような状況だと、保育士からは「不公平じゃないの?」という言葉も出てきそうです。


規制が少ない商売は発展しやすい。この点は飲食業界を見ると分かります。

外を歩いていると、ラーメン屋、ファミレス、うどん屋、喫茶店、中華店、串カツ屋、インド料理店など、数えるのが億劫になるほどの飲食店があります。規制が少ないので、誰でもやろうとおもえば屋台からでも始められるのが食べ物系の商売で、この業界は競争が激しいですがサービスは充実しています。

ベビーシッターの仲介サービスも、素人の人でもサービスを提供できるので参入しやすい。

仲介サイトを運営するための資格は要らないし、ベビーシッターになるのも資格は不要。さらに、利用者もウェブサイト経由でベビーシッターを探せる。

利用する際には相応のリスクはあるものの、ネット経由でベビーシッターを探せるので敷居は低い。さらに、サービスの供給者が多いので、料金が安く、利用者にとって都合がいい。

ベビーシッターになる人も国家資格のような大層なものは不要なので、素人でも小遣い稼ぎ感覚で参加できる。

このように両者の都合がマッチし、ベビーシッター仲介サービスが成立する。


おそらく、仲介サイトは情報をマッチングをしているだけで、サービスを提供するベビーシッターの質についてはチェックしていないのではないでしょうか。

情報を仲介して、紹介料を稼ぐサービス。人材派遣やネットオークションなども同様の仕組みですが、サイトの運営者がサービスの内容をチェックする機能は、人材派遣やネットオークションでは整備されていますが、ベビーシッター仲介ではまだ不十分なのかもしれません。

人の命に関わるサービスとなれば、今後は、「情報だけを仲介して、後は知らないよ」という対応はできなくなっていくでしょうね。







 

山口正博 社会保険労務士事務所
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