book694(ノー残業デーは「5分進めた腕時計」と同じ。)




ノー残業デーに効果はあるの?


何年前だったか、残業を減らすために、「ノー残業デー」を設定して、その日は残業をしないようにしましょうという一種のブームのようなものがありました。

ノー残業デーを検索すると、Wikipediaの「水曜日」の項目が検索結果に表示されて、ノー残業デーは水曜日に設定されることが多いようです(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9B%9C%E6%97%A5)。


水曜日は一週間の中間だから。商売では「水」というのは縁起が良くないので定休日にする。学校でも水曜日は職員会議があるので早く学校が終わる。このような理由で、水曜日というのはノー残業デーに適している日ということらしいです。

確かに、小学校や中学校でも、水曜日は授業時間が少なかった記憶があります。小学校では4時間目の授業が終わり、給食を食べて、昼休みの後に掃除をしたら、午後の授業は無しで下校する。職員会議が水曜日にあるという理由のようでしたが、「水曜日は早く帰れる」というのが学生の頃の常識のようになっていましたね。


水曜日に設定されることが多いノー残業デーですが、どれほど残業を減らす効果があるのでしょう。

10年ほど前はノー残業デーが新聞や雑誌、ニュースで登場することもありましたが、最近はめっきり聞くことも見ることもなくなりましたね。


もし、自分の会社で、ノー残業デーが設定されたら、残業は減ると思いますか。それとも、そうは思わないでしょうか。







慣れると効果を織り込むようになる。


私は、ノー残業デーは、5分進めた腕時計のようなものだと考えています。

最近はスマホの性能が向上してきて、何かあればスマホと言っていいほど万能な道具になっていて、腕時計なんかなくてもスマホで時間を確認できればそれでいい。そう思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、人と会っても、腕時計を付けている人は減っていて、特に10代や20代の人は腕時計を付けていない人が多いです。その傾向は若い人だけなのかというと、そうでもなくて、40歳代や50歳代の人でもケータイで時刻を確認している人が多くなっているように思います。

そのため、5分進めた腕時計についてイメージしにくい方もいらっしゃるかもしれませんね。ケータイの時刻は自動で調整されて、常に正確な時間を表示しているでしょうから、あえて時間をズラした時計を使う意味を感じにくいところ。


5分進めた腕時計というのは、例えば、現在の時刻が午前8:25だとしたら、腕時計の時刻は午前8:30を表示している状態です。わざと5分だけ時間を早めているんですね。

なぜこういうことをするのかというと、実際の時間よりも腕時計の時刻を早めておけば、常に5分前行動ができるというのがメリットのようです。

しかし、今では便利になっていて、電波時計などというお節介な時計もあって、時刻をズラして使えない腕時計もあります。電波時計は自動で時刻を調整するので、5分だけズラしておいても、いつの間にか時刻が正確に修正されて、時間をズラした効果が消えてしまいます。


腕時計の時刻を早めれば、予定よりも早い行動ができる。これは確かにそうです。

しかし、自分の腕時計の時間を自分自身で5分早めたと知っていると、次第に「あぁ、まだ5分だけ余裕があるなぁ」と思ってしまうようになり、時間をズラした効果が薄れてしまいます。

つまり、5分だけ時間を早めた効果を織り込んでしまい、予定の時間よりも早く行動できる効果を打ち消してしまう。

これと同じことがノー残業デーでも発生してしまうのではないでしょうか。


ノー残業デーを設けた当初はチャンと機能していたけれども、3ヶ月ぐらい過ぎた頃になると、「ちょっとぐらいいいじゃないか」と思うようになり、半年も経てば何もないかのように普通に残業をしている。

まさに5分進めた腕時計と同じように、効果が除々に薄れて、しまいには効果がなくなる。


言葉やスローガンだけでは人の行動は続かないものです。「水曜日はノー残業デーです」と決めるだけでは人の行動は持続しないもので、これが普通です。


残業を減らすには、仕事の中身を変える必要があります。例えば、水曜日だけは仕事の量を3割減らすとか、終業時刻の1時間前から仕事を終える準備を始めるとか。このような具体的な仕組みを伴うと、人の行動は持続するようになります。





 

山口正博 社会保険労務士事務所
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