book682(リストラするための助成金なのかい。)




■「人材の移動を支援する=リストラ支援」?


転職を支援すると、リストラ支援と言われてしまうようです。

リストラ促す助成金、3月から拡充 政府の成長戦略
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140221-00000030-asahi-pol

 従業員を転職させる企業に国がお金を出す「労働移動支援助成金」が3月から大幅拡充される。企業が再就職支援会社に払う費用を、転職者1人につき最大60万円まで補助。業績不振の産業にリストラを促し、人手不足の「成長産業」で働く人を増やすねらいだ。

 政府が成長戦略で掲げる「失業なき労働移動」の目玉策だ。いまの助成額は上限40万円で、転職成功時に限ってお金が出る。これを改め、上限額を1・5倍に増やす。たとえ成功しなくても、従業員の転職先探しを再就職支援会社に頼めば10万円を出す。利用できる対象企業も、中小だけでなく、大企業にも広げる。





労働移動支援助成金は、公的な助成金で、厚生労働省のページ(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/roudou_idou.html)に制度の内容が掲載されています。

この助成金は、離職者が発生したときに、転職を支援すると、支援に要した費用を補助するのが目的です。支給額は、発生した費用の1/2から2/3です。

助成金というと、オカネを受け取ってホクホクできるようなイメージがありますが、実際に発生した費用の一部を助成する助成金だと、会社にも自己負担が発生しますので、キャッシュはプラスにはなりません。

例えば、30万円の転職支援のための費用が発生して、その1/2が助成されれば、15万円は助成金で、残りの15万円は会社側が負担します。そのため、差し引きではマイナス15万円のキャッシュアウトです。


「助成金=美味しい」というイメージを抱いていると、現実とのズレを知ることになります。






■メディアは皮肉なことを書くのが得意。


お金が入るどころか、助成金を使えば会社のお金が減っていくのですから、好き好んで人員を削減して助成金を受け取ろうという企業はないはずです。

ニュースではリストラを促すと書いていますけれども、「やむを得ず社員を減らすが、そのついでに助成金が付いてきた」という程度のものであって、「促す」という言葉を使うほど促すとは思えません。


近頃の助成金は、固定で〇〇万円給付するというタイプは少なくなっていて、実際に要した費用の一部を補助するタイプが主流になっています。つまり、お金が増える助成金ではなく、お金が減っていく助成金が増えているのです。

そのため、「助成金を受け取ってラッキー」という結果を期待していると、当てが外れるかもしれません。


朝日新聞デジタルの記事を読むと、「リストラしてお金をゲット」みたいに思えてしまいますが、記事ではあえて皮肉を込めて書いて読む人を増やそうと工夫しているので、実際の助成金は素朴なものです。



(参考)
労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/roudou_idou.html

労働移動支援助成金のご案内(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/38_1.pdf


山口正博 社会保険労務士事務所
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