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失恋したのかい? じゃあ休むといいよ

美容院の休暇に、失恋休暇というものができたようです。

失恋を理由に休暇を取得するのは、おそらくここの美容院だけでしょうね。

珍しいためか、Yahooニュースまで採り上げられていて、チカラコーポレーションのサイト(http://www.chikara-co.jp/)にはずいぶんとアクセスが集まったでしょうね。

ニュースの内容は以下のとおりです。引用が長いですが、内容は分かりやすくなっています。


「失恋休暇」を制度化した理由 美容院経営のチカラコーポレーション
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140216-00000512-san-bus_all

「介護休暇」に「育児休暇」など、企業にはさまざまな有給休暇の種類があるが、「失恋」で会社を休めるという驚きの休暇が存在する。恋に破れた社員の心を癒やすための有給休暇を用意する“粋な”心意気を持つのは、美容院を経営する「チカラコーポレーション」(神戸市中央区)だ。ユニークな福利厚生の背景には、10年以上美容師を続けることができるのは10%に満たないともいわれる過酷な労働環境を、根本から改善しようという社長の信念があった。

 「美容院業界は、商品が美容師という客商売。美容師が失恋してテンションが下がったままお客さんの前に出ても仕方がない」。神戸市内に計6店舗の美容院を経営するチカラコーポレーションの社員はそう打ち明ける。同社は、平成23年10月、失恋したら年代などに応じて有給休暇を取れる制度「失恋休暇」を導入した。

 システムは簡単で、失恋して休暇を取りたい旨を店長に口頭で報告すれば翌日から取得でき、申請用の特別な書類などはない。休暇の日数は年齢によって変わり、20代前半なら1日、20代後半なら2日、30歳以上は3日の取得が可能だ。また、“心の痛み”度合いによって日数が加算される。失恋休暇は離婚の場合も認めており、休暇に1日を足せる。休暇は連続して取ることもできれば、分けて取るのも自由だ。

 さらに取得回数に特段の制限を設けていないため、恋多く破れることも多い人は月に何度とってもかまわないと、手厚い。もっとも休暇に何度もお世話になっていたのでは、恋の行方としてはあまりありがたくないかも…とふと思った。他の店舗には本人が失恋休暇を取得したことは内緒。また、当たり前だが、失恋・離婚したとしても休暇を申請するかどうかは本人の自由だ。

 失恋休暇の発案者は、西靖晃社長だ。同社は56人の社員のうち女性が約40人。西社長は「女性が多い職場なので、恋愛に対しての理解を会社が示すために作った」と振り返る。ただ意外にも、これまで同社で失恋休暇を取得したのは男性ばかりで、20代後半2人と30代1人。それも、3人とも離婚という。休暇を取得した男性社員の1人は「気分のリフレッシュだけでなく、離婚の手続きも大変だったので、この休暇はありがたかった」と語る。

 同社は、失恋休暇以外にも社員の勤務を助けるさまざまな試みを仕掛けている。例えば全店舗に電子ジャーを設置し、無料で毎日お米を炊いて食べられる「ごはん支給サービス」。見習い中の美容師は給料が少ないが、美容師のはさみや練習用の人形など、技術習得のために自腹を切らなければならない物品があり、どうしても食費を削りがちになる。この制度のおかげか、同社の社員が食費を削って健康を害したということは開業以来ないとか。他にも子供を持ち会社の忘年会や食事会になかなか参加できない社員のために、社長が参加するランチ会を年3回行うシステムもある。

 「美容業界で一番働きたい会社になることが目的だ」。同社社員は、そう力をこめる。美容業界は華やかに見える一方、徒弟制度が色濃く残り、美容室の多くが個人事業として営まれている。このため、従業員が雇用保険や社会保険に加入していないことも多い。また、美容師の給料を歩合制にしている美容院では、顧客の奪い合いという問題を抱えている。同社によると、美容学校を卒業した若者のうち、1年以内に5割が退職するという。

 西社長は自らが労働環境に苦労した体験から、どのような仕組みがあれば美容師がやりがいを持てるかを考え、社員の福利厚生を多様な視点から守るシステムを導入している。さすが美容院。顧客のヘアケアに劣らず、社員の待遇もケアしている。

確かに美容師の業界は人の出入りが激しくて、私も自分を担当してくれていた美容師の人がお店からいなくなっているということもありましたね。

美容院には、それぞれのお客さんに担当者が固定で付くシステムがあって、カットの予約を入れると、担当者がお店にいる日に予約が入るように案内されます。来店日に担当者がいなければ他のスタッフの方が担当しますが、基本は担当制になっているのが美容室の特徴。

傍から見ていると美容師はオシャレで、華やかな職業のように見えますけれども、スタッフとして働いている段階だと待遇はコンビニやファーストフード店と同等ぐらいで、商売道具も自腹で揃える人もいて、思っているほどラクな仕事ではなさそうです。これは、美容院で働いている人と会話をして知ったことです。

だから美容師になっても、数年でヤメてしまう人も多くて、お店側も離職者が多くて、その都度新しい人を採用して教育する手間がかかり、悪循環が続いているお店もあるはず。

そういう流れを変えるために、今回のように福利厚生で工夫をこらして、美容師を続けていく人が増えるようにしていこうというのが、ニュースに登場したチカラコーポレーションの方針のようです。

有給休暇を上乗せして対処すれば、休暇の目的を伝えなくていい

失恋休暇という名称を使っているのが今回のニュースの特徴ですが、もちろんこういう方法で休暇を増やしても法律上は差し支えないですし、社員の方も好意的に受け入れていますから、このままでもいいとも思えます。

ただ、失恋休暇という名称を使ってしまうと、生理休暇のように、何となく心理的な抵抗感を生む可能性もありそうです。

チカラコーポレーションでは、失恋休暇を取得したことは内緒にされるようですが、もっと確実に内緒にする方法があります。


それは、有給休暇を上乗せする方法です。

法律では、有給休暇の付与日数が決まっています(労働基準法39条)。この法律上の有給休暇に、年間で例えば3日を上乗せして、その上乗せした有給休暇を使って失恋休暇の代わりにします。

なお、年次有給休暇を会社独自に上乗せした場合は、上乗せ分の年次有給休暇も法律上の年次有給休暇と同じ扱いをする必要があります。

有給休暇は理由を問わず使える休暇ですから、仮に失恋が理由で休むことになっても、私用や休養という目的で休めば、会社の人には失恋がバレません。

年次有給休暇を上乗せする方法以外にも、特別有給休暇を設計して目的を問わずに利用できる方法もあります。目的別の休暇制度だと周りの人に自分の状況がわかってしまいますから、目的がわかりにくい休暇制度だと利用しやすいでしょう。

休暇以外には、ごはん支給サービスという施策もあるようです。炊飯器をお店に置いて、ご飯を支給する福利厚生で、IT企業のはてな(http://www.hatena.ne.jp/)に似ていますね。

はてなは、自社内でカレーを作って食べることもあるようで、確か『「へんな会社」のつくり方』(近藤淳也)という本を読んだ時に書いていたのではないかと記憶しています。もしかしたら、近藤さんのブログで書かれていた内容かもしれません。


社員食堂が無料という会社はIT企業にはありますが、美容院だと建物の面積が狭いので、社員食堂を内製化できない。

だから、電子ジャーをお店に置いてご飯を支給するのは良い方法かもしれない。オカズだけを自宅から持ってきたり、お惣菜だけをスーパーで買ってくるとか、オリジン弁当のようなお店でお惣菜を買ってくるとか。組み合わせを楽しめそうです。

せっかく美容師になったならば、やっぱり美容師として仕事が続けられる方がいいでしょうから、上記のような施策で離職者が減れば業界にも良い影響が出るのかもしれません。


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