book671(残業代不払いはこうやって起こる。Part 4)




■時間は正確だったのか。それとも不正確だったのか。どっちだ?


監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成24年度)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c.html

(参考1)賃金不払残業(サービス残業)の解消のための取組事例集
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/chingin-c_05.pdf

前回は、上記の事例3を題材にしましたが、今回は事例4を使います。

掲載されている事例は4つなので、このシリーズもPart 1 から今回のPart 4で終わりです。


前回までの内容は下記の通りです。

残業代不払いはこうやって起こる。Part 1


残業代不払いはこうやって起こる。Part 2


残業代不払いはこうやって起こる。Part 3


今回の事例は、

"会社は、始業・終業時刻をタイムカードにより把握していたが、所定終業時刻以降の時間外労働に対する割増賃金を全く支払っていなかった。会社は、割増賃金を支払わないことが以前から慣行化しており、賃金不払残業となっていたことを認めた。"

という内容です。


タイムカードを使っていて残業代の未払いが発生している事例ですが、解釈が2通りあります。


まず1通り目の解釈。

始業と終業の時間はキチンとタイムカードで記録していて、その記録に間違いはなかった。また、その記録から残業をしていることも分かる状態だった。しかし、割増賃金を支払っていなかった。

つまり、勤務記録は間違いないけれども、割増賃金を払っていなかったという解釈です。


次に、2通り目の解釈。

始業と終業の時間はタイムカードで記録していたけれども、終業の時間は実際よりも短く記録されていた。

例えば、19:02で終業打刻されているけれども、実際の終業時間は20:27というような状況です。タイムカードでは、19:02で仕事が終っているように見えるけれども、実際は記録に現れていない勤務時間がある。

つまり、正しい勤務記録であるように装って、実際の終業時間はもっと遅い時間だったという解釈です。


事例を素直に読めば、おそらく1通り目の解釈が妥当なのではないかと思います。

記録された時間に間違いはないけれども、割増賃金を払っていなかった。こう考えて良さそうです。

具体的に想像すると、10:00 - 19:00の勤務シフト(休憩は1時間と仮定)で、実際の勤務時間は9:57 - 20:27だったとして、19:01から20:27までの割増賃金を払っていなかった。ちなみに、タイムカードの記録は、始業時間は9:57で、終業時間は20:27と印字されていて、正確だった。

事例の詳細は書かれていないので分かりませんが、上記の想定とそれほど相違はなさそうです。




■Part3とPart4は手抜き?


この事例も、Part1からPart3までと同様に、ちゃんとした道具(今回の場合はタイムカード)を使っていても、残業代のトラブルは起こるということ。

始業打刻をする前に仕事を始めたり、終業打刻の後も仕事を続けたりすれば、タイムカードでは分からない勤務時間が発生します。


余談ですが、(参考1)賃金不払残業(サービス残業)の解消のための取組事例集(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/chingin-c_05.pdf)に掲載された事例を見ていると、事例1と2はそれなりに書かれているのですが、事例3と4は簡素にしか書かれていません。

事例4に至っては、「残業申請とパソコンの稼働時間を連動させ、申請外の残業を防止
」と対策案が書かれているのに、パソコンの稼働時間を連動させる部分について事例4の本文では言及がない。

パソコンの稼働時間を連動させるというのはどういう内容なのか。ログオンとログオフの時間と残業申請を連動させるという内容のか、それとも別の内容なのか。どうも分かりません。

この事例集のファイルを作った人は、事例1と2はちゃんと書いていたけれども、3と4になると面倒くさくなって簡単な内容で済ませたのかもと想像してしまいます。

そんなにマジメに読む人もいないだろうと思ってファイルを作成したのかもしれませんね。

内偵調査ではなく「内定調査」と書くぐらいですから。






山口正博 社会保険労務士事務所
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