book657(古い有給から使うか、新しい有給から使うか。)




■古いのが先? 新しいのが先?


有給休暇には時効があります。その期間は2年です。

時効は2年ですが、有給休暇は1年毎に新しいものが発生しますので、古い有給休暇と新しい有給休暇が混在することになりますよね。

勤続6ヶ月時点で、10日。
勤続1年6ヶ月時点で、11日。
これが勤続期間と休暇日数の対応です(労働基準法39条2項)。

もし、1年6か月時点で、以前の休暇である10日分の有給休暇のうち7日を利用して3日だけ残っていたら、有給休暇の残日数は、残った古いものが3日、新しいものが11日ですから、合計で14日ですよね。

では、その後、有給休暇を利用するとき、どの有給休暇から使うかが問題となります。


残った3日分から使うのか。それとも、新しい11日分の方から使うのか。


古いものから先に使うか。

それとも、

新しいものから先に使うのか。


判断が分かれますよね。






■新しい牛乳じゃなくて、先に古い方を飲まなきゃ。


素直に考えて、古い方から使うのが自然です。

例えば、牛乳の場合。自宅の冷蔵庫に賞味期限の日付が2014年1月24日の牛乳と2014年1月29日の牛乳があったら、あなたはどちらから飲みますか?

古いのは2014年1月24日が賞味期限の牛乳。新しいのは2014年1月29日が賞味期限の牛乳です。

100人に聞いて、おそらく92人ぐらいは2014年1月24日が賞味期限の牛乳から飲むのではないでしょうか。

中にはヒネクレタ人もいて、自分は新しい牛乳を飲んで、「オトーサンに古い牛乳を飲ませちゃえ」なんて考えるヒトもいるかもしれないけれども、フツーの人ならば古い牛乳から飲みますよね。


お店でも、古い商品から先に販売しないといけないので、日付の古い牛乳が前に陳列されて、新しい牛乳は後ろの方に押し込められてお客さんが取りにくいようにしている。


牛乳の例から分かるように、普通の感覚では、古いものから使って、新しいものは後に回す。これが素直で自然な判断です。

ならば、有給休暇も同じようにするのが自然でしょう。


ちょっとムズカシイことを言うと、民法488条1項に基づいて判断すれば、有給休暇に関して、債務者である会社がどの有給休暇を使うかを指定できるとも解釈できます。

有給休暇に関しては、会社が債務者です(有給休暇を使わせる義務を履行する立場)。一方、社員さんは債権者です(有給休暇を請求する立場)。


さらに、就業規則で、新しい有給休暇から先に使うように決めることは可能です。

しかし、できるからといってやっていいとは限りません。

法的に問題なくても、新しいものから使うのは不自然ですし、休暇を利用する立場からは納得しにくいはずです。


有給休暇を使う順序について何も決めていない会社ならば、半ば自動的に古い有給休暇から使っているでしょうから、おそらく問題は起こっていないはず。


法的に判断することも大事ですが、一般的な感覚で判断することもまた大事なのですね。





山口正博 社会保険労務士事務所
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