book649(ダンダリン最終回 - 労働時間はパケット定額じゃない)




■やたらに持って回った復讐。


やっと、ダンダリンが最終回(http://www.ntv.co.jp/dandarin/story/11.html)まで到達して、長い間続けてきた"ステマ"もついに終わりです(ウソです)。


第10話と最終回で、話の流れがちょっと分かりにくかったのですが、御子柴電機の元社長が現アプリドリームの飯野で、小西美月の父親は以前に御子柴電機の社員であり、彼は御子柴電機の窮状を労働基準監督署に訴え、その訴えに応じて段田凛が動き、社長の飯野が逮捕され御子柴電機が倒産した。

その結果、小西親子の家計が悪化し、飯野だけじゃなく小西美月も段田凛に恨みを持っていた、という関係でした。

つまり、段田凛に恨みを持っていたのは飯野だけじゃなく、小西美月もだったということ。この点が第10話でどうも把握できなかったところです。飯野だけが恨みを晴らそうとしていただけかと思っていたら、もう1人いたという流れ。


個人的に復讐するならば、会社を作って、不適切な労務管理をして、わざわざ労働基準監督官の段田を引き寄せるなんてことはしないんじゃないだろうか。だって、あまりにも時間がかかるし、手間もかかる。そんな呑気に復讐する人なんているんですかね。

この点はテレビドラマですから、あえてドラマチックにするためにシナリオを作ったのでしょうけれども、あまりに迂遠な復讐に現実感が沸きにくかったです。



アプリドリームでは、専門業務型裁量労働制という制度が採用されていて、「労働時間の管理なんて知ったこちゃない」という飯野のセリフが印象的でしたね。

また、残業時間のゴマカシ方も典型的でしたね。終業打刻を済ませた後に、仕事を続けて、勤務記録に残らない労働時間を発生させて、残業代を未払いにしていた。


最終回で初めて専門的な言葉が登場しました。専門業務型裁量労働制という言葉ですが、ドラマの後半で社長の飯野を追い詰める段階で、トリンドル玲奈が演ずる小宮が口にした制度の名前です。

労働基準法には裁量労働制度というものがあって、これは専門業務型裁量労働制(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/)と企画業務型裁量労働制(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/kikaku/)の2つに分かれます。

今回は、前者の専門業務型裁量労働制が採り上げられていました。

この裁量労働制を使うと、「時間管理が不要になり、何時間働いても残業にはならない」と思う方もいらっしゃるはず。確かに、裁量的に仕事ができる仕組みですからね。そう思うのも無理の無いことです。

しかし、裁量労働制度というのは、「残業代が不要になる仕組み」じゃなくて、「仕事の進め方に裁量がある仕組み」です。だから、裁量労働制度を使えば残業代が減らせると考えるのは誤りです。






■水と油は混ざりにくい。


労働基準法は、時間を基準に仕事を管理する法律です。そのため、時間の基準を無視した仕組みが労働基準法の中に出来上がることは有り得ないんですね。

あくまで法定労働時間の枠内で仕事の予定を組まないといけないので、裁量労働制度といえどもこの枠を超えられないのです。

専門業務型裁量労働制というのは、仕事のやり方や時間配分を労働者の裁量に委ねる仕組みです。つまり、細かく仕事の指示を出しいくのではなく、1日8時間が法律での制限時間ですから、この8時間の使い方を本人が決めて、本人が仕事を作り出し、その仕事を進めていく。それが専門業務型裁量労働制なのです。


繰り返しますが、法定労働時間を超えても残業代はいらないという仕組みではなくて、「仕事のやり方や時間配分を労働者の裁量に委ねる」のが裁量労働制。

残業代を節約するために裁量労働制を利用すると、今回のアプリドリームみたいになります。

好き放題に仕事をさせて残業代ナシという仕組みではなく、仕事の進め方を社員に任せる仕組みですから、スマホのパケット定額のようなものとは違うんですね。


上記のように考えると、専門業務型裁量労働制にはあまりメリットがないように思えます。あえて専門業務型裁量労働制という名目で仕組みを導入しなくても、普通の労務管理の範囲で裁量的に働くこともできますからね。



労働基準法を「水」に例えるならば、裁量労働制は「油」のようなものです。

時間を軸に管理するのが労働基準法なのだから、その管理から離れる裁量労働制は労働基準法とは相容れないはずです。労働基準法に裁量労働制のルールを入れ込むのは、水と油を混ぜようとするようなものです。

労働基準法が時間を基準にしている以上、法定労働時間の枠を飛び越える制度が出来上がるとは考えにくいです。


時間を基準に仕事を評価することには納得しにくいのですけれども、他に仕事をカンタンに評価する基準が見当たらないのが現状です。

成果はどんな基準で誰が評価するかによってブレる。しかし、時間ならば誰でもカンタンに評価できる。だから、賃金と労働時間は密接にリンクされているんですね。






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山口正博 社会保険労務士事務所
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