book645(ダンダリン9話 - 請負契約で人件費削減だぁ。)




■雇用契約よりも請負契約がお得?


ダンダリン9話(http://www.ntv.co.jp/dandarin/story/09.html)は、西東京労働基準監督署の土手山の奥さんが務めているホテルで、その奥さんが社長の勧めで派遣会社の派遣契約からホテルとの直接契約に切り替えたところ、雇用契約だと思っていたものが請負契約だったという内容。


今回の内容は、いわゆる「偽装請負」の話題です。

偽装請負というのは、表向きは雇用契約を装っているものの、実態は請負契約という仕組みをもった就労形態です。つまり、雇用契約と請負契約のイイトコどりをしたようなものですね。


このドラマは事前の知識がなくても見れるように工夫されていて、この点は好感が持てます。専門的な内容をそのままドラマにしてしまうと、視聴者がついてこれなくなるので、分かりやすく伝えているところが良いですね。


ホテルの清掃業務をしている土手山の奥さんですが、社長から直接契約を持ちかけられて、「派遣会社経由じゃなく、ホテルとの直接契約に変更すれば、時給が1,100円から1,450円にアップする(数字は違っていたかもしれない。この点は記憶が曖昧です)」と言われ、その案内にしたがって、契約書をよく読まずに契約を変更しちゃったという部分が事の始まり。

契約書をよく読まずにサインしたという点で、奥さんは非難されますけれども、仕事の内容が変わるわけじゃなく、時給がアップするように契約を変えると言われれば、ほとんどの人はホイホイと契約書にサインしてしまいますよね。


雇用契約書をキッチリ読んでサインする人は、思っているよりも少ないのではないかと思います。

「ここに住所と名前を書いて、印鑑押しといて」と言われ、書類の内容を詳しく説明してもらうことなく、サインしちゃう。雇用契約を締結する現場でこんなことが起こっていても不思議じゃない。


雇用契約と請負契約の違いは何かというと、一言でまとめるのは難しいのですけれども、強引にまとめて表現すれば、「社員かそうでないか」の違いです。

雇用と請負の違いは、民法を学習すると習う部分ですが、誰もが習うわけじゃないので、知らない人も多い。


雇用契約から請負契約に変わっちゃうと、何が問題なのか。ここに焦点を合わせて話してみましょう。






■仕事を指示できなくなる。部下でもなくなる。


雇用契約の場合は、会社は社員に仕事を指示できます。どういう仕事をどういうタイミングでやるか。どういうやり方で業務を処理するか。OJTで仕事のコツを教えたりする。これらは雇用契約に基づいています。

つまり、雇用契約だと、事細かに仕事の指示ができるのが特徴です。


一方、請負契約だと、発注者(今回の場合は会社)が「この仕事をこの期日までに完成させてください」と注文して、受注した人(今回の場合は、土手山の奥さんとその同僚)が注文通りに仕事を完成させる。そして、その対価として受注者は報酬を受け取る。


1,指揮命令があるかどうか。
2,給与や賃金という表現を使っているかどうか。

ドラマでは上記の2点を軸に、雇用か請負かを判断していましたね。おとり捜査的な方法で、ホテルの社長 梶川を誘導して、シッポを掴んだ。労働基準監督官があそこまで熱心に仕事をするかどうかは分かりませんが、休日を使ってボランティアで是正に行くというのは、いかにもドラマという感じがします。


自分のペースで仕事ができる。
何時に何をやるか。これを指示できない。
上司と部下という関係じゃなくなる。

こういう状態になっても構わないというならば、偽装請負もアリでしょうが、困るのは社員だけじゃなく、会社も社長も困るはず。

想像してみてください。マイペースで、人の指示を聞かない人を社員のようにコントロールするなんて、とっても難しいですよ。


雇用契約には雇用契約のメリットとデメリットがあります。

メリットは、働いている人を制御できる点。デメリットは、社員さんをコントロールできる代わりに、営業の経費や人件費を会社が負担しないといけない点。

つまり、会社の負担が大きい代わりに、会社が主導権を持つということ。一長一短ですよね。


一方、請負契約のメリットは、会社の負担が小さい点です。経費や社会保険料は本人負担だし、報酬も完全成果報酬にしちゃうこともできる。しかし、働く人をコントロール出来ないので、会社が考えるように人材配置はできない。転勤や部門移動もできない。これも一長一短です。


負担を受け入れて主導権を持つか。それとも、負担を小さくして主導権を放棄するか。トレードオフですね。








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山口正博 社会保険労務士事務所
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