book636(テレビドラマ『ダンダリン』 - 内定取り消しを回避する方法。)




■内定は仮予約じゃない。


1年ぐらい前だったか、漫画のダンダリン一〇一を読んで、「こんな漫画もあるんだな」と知り、それから随分と時間が経った。

2013年の秋期ドラマで『ダンダリン 労働基準監督官』が放送されることになり、2013年11月時点でただ今放送中。


放送中といっても、テレビを見ないタチなので、録画してもらったものを見せてもらうのだけれども、原作の漫画とは雰囲気がちょっと違う。

漫画での段田凛と竹内結子が演じる段田凛を比べると、漫画の段田凛は確かに頭が固い感じはあったけれども、ドラマの段田凛ほどガチガチのカタブツじゃなかった。ドラマでは段田凛に対するデフォルメが強いんじゃないかと思う。

とはいえ、段田凛の役に竹内結子を選んだのはドンピシャリで、絵的にはバッチリ。ただ、あのガチガチ感はちょっと違和感がある。


あと、登場する社労士の悪役感。あれもちょっとデフォルメが強い。確かに、社労士は企業側に立って仕事をする機会が多いけれども、ドラマで登場する社労士のイヤラシイ ネチネチ感はなんか過剰な感じ。

労働基準監督官が正義の味方で、それに対峙する悪徳社労士というイメージになってしまって、「社労士ってあんな人達なんだねぇ、、」と世間から思われているかもしれない。

原作では、確かに社労士は登場していたと思うが、チョイ役程度で、ドラマのように毎回登場するようなキャラじゃなかった。


視聴率が苦しいみたいだけれども、新聞のテレビ欄を見ると、同じ時間帯にフジテレビでリーガル・ハイが放送されているので、なかなか厳しい。リーガル・ハイは以前、ドラマとして放送されていて、スペシャル番組もあり、すでに実績があるので、そのドラマと同じ曜日、同じ時間でガチンコされると、どんなドラマでも苦戦する。

日テレが視聴率三冠王をフジテレビから奪還した報復かとも思えるぶつけ方。そんなことを勝手に想像したりする。


リーガル・ハイに隠れてしまっている感じのダンダリンだけれども、労働基準監督官というと何だか取っ付きにくいイメージだけれども、内容は分かり易くて労務管理や労働安全に関する知識がなくても観れるようになっている。


そんなダンダリンの第4話(http://www.ntv.co.jp/dandarin/story/04.html)のテーマであった内定切り。

スポーツ用品のメーカーにて、経営不振のため、自社に内定していた学生の採用をヤメたいと考え、無茶な内定者研修をさせて、内定を自主的に辞退させるという内容。いかにもありそうなシチュエーション。

内定切りの話題が盛り上がったのは、2008年9月に起きたリーマン・ショック以降で、内定取り消しだとか、内定切りという言葉が新聞や雑誌に登場した。内定取り消しのために、内定者1人あたり100万円のお詫び料のようなものを支払う企業もあった。

こういう普通の人でも食いついてきそうなテーマを選択するのは、良い判断だと思う。自分に繋がらない専門的な内容だと、観てもらえないので、実際に話題になった内容をドラマに持ち込むことで、観やすい内容にしているのだと思う。


内定というのは、いわゆる仮予約のようなものではなく、実際の採用と同じ扱いになります。つまり、「予約したけどまだ買っていないよ」というものではなく、「すでに購入済み」という状態です。だから、「やっぱヤーメた」と簡単にはキャンセルできない。

ドラマでは、内定切りするとブラック企業のイメージを持たれてしまうので、内定者が自主的に内定を辞退するように社労士がアドバイスする場面がある。企業が内定をキャンセルすると、これは解雇になる。だから、内定者が自主的に辞退するように誘導すれば、解雇にはならず穏便に内定をキャンセルできるという算段。

しかし、まあ、悪い社労士だねぇ、、。


実際に、2008年には、自主的に内定を辞退するように誘導する企業はあったのでしょうね。売上が80%減とか90%減なんて、さすがに想定できませんから、人材採用どころではなくなり、内定をキャンセルせざるを得ない企業もあったのだと想像します。


企業もてんてこ舞いでしょうが、内定を得て安心している学生にとっても寝耳に水の出来事だったはず。内定を得て、卒業旅行のプランを練っている人、すでに卒業旅行に出発した人、「あとは卒論を片付けるだけだ」と思い卒論完成に向けて執筆作業中の人など、内定を取り消されてしまうと困る学生はたくさんいたはず。


企業は内定をキャンセルしたい。学生は内定が取り消されると困る。

両方の要求を同時に受け入れることはできませんから、何らかの解決策が必要になります。


内定をキャンセルするか。それとも、内定はそのまま維持するか。それとも、別の方法を考えるか。

答えが1つに定まりにくいので、悩みますよね。








■採用時点を分散させて、調整しながら採用する。


例えば、新卒学生を100人採用することを予定している企業があるとして、その100人を一時期に一括で採用して、内定を100人分確定してしまうと、もうその内定を変更することはできなくなる。

もし、内定を出したあとに、状況が変わって、採用数を減らしたいと思ってもできない。

早い段階で内定を確定してしまうと、後から調整がしにくくなるのが難点です。


大学生に対して企業は内定を出すのが早すぎる傾向があって、私が大学生の頃に回りにいた同期の学生は、大学3年の12月に内定を得て、その時点で就職活動を終了。大学4年の段階では就職活動はやらない。そんな人もいました。

大学生活は残り1年3ヶ月残っているものの、早々に内定を決めてしまう。

早く内定を出せば、早く好みの人材を確保できる利点がある一方で、後から内定を取り消せないという欠点もあります。

早く選べる代わりに、取消できない。まさに一長一短です。



もし、100人を一気に採用するのではなく、例えば20人ずつ5回に分けて採用していけば、途中で軌道を修正することもできます。

例えば、1回目の採用と2回目の採用で合計40人に内定を出し、残りの採用残は60人ですが、企業側の何らかの都合により、3回目以降の採用は無しにすることもできる。

100人を一括で採用してしまうと、後から調整はできませんが、20人ずつ分割すると、途中で修正もできる。


20人ずつ5回に採用を分割してしまうと、1回ですべての採用を終わらせるよりも、おそらく時間も費用もかかってしまうかもしれませんが、後になって内定を取り消すよりはマシではないかと思います。

山口正博 社会保険労務士事務所
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