あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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年休義務化への対策にも お盆と年末年始に有給休暇を使う

お盆と正月

 

有給休暇が使われない、使えない、使いにくい

毎週固定の休日と違って、年次有給休暇は取得したいときに取得できる休暇です。

ただ、得てして、有給休暇は使われにくい傾向があります。会社の雰囲気だとか、同僚が休暇を取得しているかどうかとか、上司や経営者の価値観(というよりも気分?)だとか、さまざまな要因で有給休暇を利用しやすいかどうかが変わります。

「労働者の権利だから」という主張だけではなかなか有給休暇の消化率は上昇しないのが現実です。

そこで、会社によっては、休暇の取得を促進するために、計画的に有給休暇を利用するように仕組み(労働基準法39条5項)を作るところもあります。

現場の自由裁量で休暇を取得させていると、なかなか休暇の取得率が上昇しないので、スケジュールに休暇を組み込んで、計画的に消化していく。そんな仕組みを導入している企業もあるかと思います。

ただ、休暇を計画的に消化するといっても、どのように計画すればいいかという点で迷うのではないかと思います。決まったパターンがありませんから、毎月1日づつ休暇を取得するとか、特定の時期にまとめて取得するとか、2ヶ月毎に2日づつなど、色々なパターンが考えられます。

計画有給休暇の仕組みがあるとしても、どうやって計画を立てればいいか。この点が問題となります。

 

 

 

お盆と年末年始に有給休暇を計画消化する

カレンダーを見ると、有給休暇を計画消化するに適した時期が2回あります。

夏のお盆の時期、年末年始、この2つです。

8月15日の前後3日程度がお盆休み。さらに、12月27日ぐらいから翌年の1月6日ぐらいまでが年末年始の休みでしょうか。

夏は1週間程度。さらに、冬は10日程度の連休になっています。

もちろん、会社によって、さらに業種によって、休みの時期は違いますので、お盆や年末年始に休みはない人もいるでしょうし、休みはあるけれども時期が違うという人もいるはず。

今回は、夏には1週間程度の休みがあり、さらに、冬には10日程度の休みがあると仮定して考えてみましょう。

おそらく、有給でお盆や年末年始を休む人はあまりいないのではないでしょうか。連休だけれども、給与はないという人がほとんどだと思います。

そこで、このお盆と年末年始の時期に計画休暇を重ねあわせて、休みを取りつつ、有給休暇も同時に消化するという一石二鳥の仕組みを導入しては良いのではないかと思います。

つまり、単純に休みにするのではなく、ついでに有給休暇も消化すれば、有給のお盆休みや年末年始休みが実現するということです。

これならば、休暇の消化率を上昇させることができるし、無給だった休みが有給に変わるので、一挙両得を狙えます。


ただし、解決すべき疑問が2点あります。

まず、1点目。「労働義務のない日に有給休暇は使えない」という点について。もともとお盆と年末年始の時期は休みだったのだから、その時期に有給休暇を使うことはできないんじゃないかという疑問。

休みの日に年次有給休暇を使うと、休みが二重になってしまいますから、この点をどうするのか。

確かに、労働義務の無い日には有給休暇は使えないのが普通の判断です。しかし、労働日ではない日に有給休暇を使うことは労働基準法で禁止されてはいないので、休みの時期に有給休暇を充当することは可能です。ただ、法律違反ではないものの、有給休暇制度の趣旨には合わないので、ちょっと工夫する必要があります。

もし、就業規則にお盆と年末年始の休みを規定しているならば、その内容を削除し、お盆と年末年始に労働義務を発生させます。次に、計画休暇制度を就業規則に盛り込み、お盆の時期と年末年始にその休暇が来るように設定します。これならば、「労働義務のない日に有給休暇は使えない」という点をクリアできます。

この方法だと、就業規則を不利益に変更していると指摘する余地もあるため、現状の労務管理を変更する前に、労使間での協議が必要です。

他の対処法として、連休中に平日が入り込む場合は、その平日を計画年次有給休暇の対象にして、お盆や年末年始を連休にするのも1つの方法です。この方法だと、就業規則を変更せずに、年次有給休暇を計画消化できます。

 

次に、2点目。「夏に1週間。年末年始に10日の休みがあるとすると、計画消化に必要な有給休暇の日数は17日になるが、そんなにたくさんの休暇を持っている人は少ないんじゃないか」という疑問。さらに、「休暇を計画消化するならば、5日分の休暇は残しておかないといけない(労働基準法39条5項)ので、17日の計画消化は無理なんじゃないか?」という疑問もあります。

確かに、お盆と年末年始に計画休暇を重ねると、休暇の日数が足りなくなります。

例えば、勤続6ヶ月の時点で10日の休暇がありますが、これを計画消化するとなると、5日分は残して、計画消化できるのは残った5日分だけです。となると、17日必要なところに5日の休暇が充当されるので、残りの12日分に相当する休暇が足りない。

この場合は、無給の休暇を混ぜれば対処できます。5日分に計画有給休暇を充当し、残りの12日は無給の休みにします。

他の例として、もし20日の休暇が付与されたならば、計画利用できるのは5日を除いた15日です。この場合も17日には2日分だけ足りませんので、15日が有給で、2日が無給という組み合わせになります。

これらは、お盆や年末年始の休みを、計画的な年次有給休暇で全てのスケジュールを埋めるという前提ですが。

お盆と年末年始に計画有給休暇を充てるようにすれば、どうやって計画を立てるのかを悩むことはなくなります。毎月1日づつ細切れで休暇を消化するよりも、ドバっとまとめて消化したほうが休んでいる人も気分が良いのではないでしょうか。

会社側も、年次有給休暇の取得義務化へ対応できるため、一石二鳥です。

 

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