book609(人に聞くか、それとも自力で解決するか。)




■「分からなければ聞きなさい」というアドバイス。


どこかの会社などに入って仕事を始めたときは、「分からないことがあったら聞いてね」とその会社に勤める人から言われますよね。

新しい環境に入り込むと、従業員入り口はどこか、どこが更衣室なのか、どんなユニフォームを着るのか、挨拶の仕方はどのようなものか、どんな仕事から始めればいいのか、分からないことだらけですから、分からないことは周りの人に聞くのが正しい。

仕事を始めたばかりの時は、人に聞くのが当たり前。しかし、仕事に慣れてくれば、分からないことであっても、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動する場面に遭遇する。


仕事では、分からないことは聞くのが当たり前だと思われているフシがあって、自分で分かることなのにあえて誰かに聞く人もいる。自分で考えるのではなく、人に聞く。自分で調べるのではなく、人に聞く。自分で決めるのではなく、人に聞く。間違っていないように思えるけれども、ちょっとヘンな感じがしませんか。

自分で考えて、判断し、行動する。これも仕事のはず。人に聞いてできる段階から、自分で考えてできる段階に変わる。仕事に慣れれば、自分なりに動けるようになるのが普通です。


ただ、自分なりに判断して取り組んだところ、予期せぬ結果を招いたらどうなるか。

おそらく、「なぜ誰かに聞かなかったんだ。なぜ自分だけで判断したんだ」と詰問されるのではないか。もし、誰かに聞いて、その判断に基づいて取り組んでいれば、このように責められることも無かったはず。


ならば、自分で判断できるけど、あえて人に聞いて行動したらどうなるか。

この場合は、「何でわざわざ聞くんだ。自分で判断してできるだろう」と、これまた責められる感じになるのではないか。聞かなくても十分に処理できるような仕事について上司に聞けば、こんな反応が返ってくるのかもしれない。


聞かずに取り組めば責められるし、聞いて取り組んでも責められる。

じゃあ、どうすればいいのか。自分で判断していいのか。それとも、誰かに聞いて判断するべきか。

この2つの選択肢で悩む場面。あなたにも経験があるのではないでしょうか。


いつの時点から自分で対処していいのか。いつまで人に聞けばいいのか。この境目が問題です。








■何でも聞く人と自力で解決する人。


自力で解決するよりも、人に聞いて対処したほうが望ましい結果を得られた。この場合は、非難されるでしょう。「何で聞かなかったんだ。自分で勝手に判断するんじゃない」と怒られたりする。

もちろん、分からないことを人に聞くのは間違っていないし、正しい行動です。しかし、その人の能力から判断するに、自分で考えれば十分に解決できそうなのに、あえて聞いてきたらどうでしょうか。「自分でできるのに、何でやらないんだ」と思うのではないか。


人に聞いて行動すれば、自分は責任を負わなくてもいいので、これがラクと感じるフシもある。上司の指示で動いて失敗しても、それは上司の責任となるから、本人は気楽です。だから、何でも聞いてから判断するのがいいんだと考えている人も少なくないはず。


自分なりに判断する。自分なりに考える。自分が持っている知識で対処する。今までの経験から判断する。これは人にとって必要な能力のはず。



判断、思考、知識、経験というものは、自分なりに物事に取り組まないと身に付きにくい性質があって、人に聞いてももちろんある程度は身に付くけれども、程度が小さいように思う。

自分なりに考えて、対処した結果、素晴らしい結果を得られたとしたら、経験値は大幅にアップするのではないでしょうか。もちろん、うまくいかなかったときのリスクもあります。

人の指示で仕事をするよりも、自分の判断で仕事をしている時のほうが面白味が変わる。「勝手に判断するな」とか、「言われたこと以外はするな」と言われる可能性はあるものの、悪いものではないと思う。

ただ、個々人の裁量は仕事の性質によって違い、どんな仕事でも自分の裁量で取り組めるものではないので、単純に結論を出しにくいところ。


自分の独断のみで判断するのは行き過ぎな感じがするし、何でも人に聞いて判断するもの頼りない。

両者の境目を自分で見つける。これは仕事に取り組んでいて面白い部分だと思う。









山口正博 社会保険労務士事務所
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