book591(喫煙タイムは休憩なのかどうか。)





■休憩じゃないけどちょっと一服。


喫煙習慣がある人にとって、一服の時間は生活に欠かせないのかもしれない。人によっては、喫煙を「やすらぎ」と表現する人もいます。寝起きに一服、食事の後に一服、缶コーヒーを飲みながら一服などが典型的な喫煙でしょう。

私自身は喫煙の習慣がないので、喫煙する人の気持は分かりませんが、喫煙する人と喫煙しない人でちょっとした差が出る点については気になります。

一服するときは仕事から離脱するはずですが、この離脱時間が休憩時間とは限らない。休憩時間に食事して、その後に一服するのはもちろん何も問題はない。しかし、休憩時間じゃないけれども、ちょっと一服となると何も無いとは言えない。

喫煙に限らず、仕事を離脱する場面は他にもあります。飲み物を飲むとか、トイレに行くのがその典型。喉が渇いたから飲み物を飲むとか、トイレにいくのは休憩時間でなくてもOKとなっているはず。

では、喫煙はどうか。理屈っぽく言えば、生理的に不可避な行動でもなさそうです。喉が渇くとか、トイレにいくのは回避できないけれども、喫煙は回避できるはず。人によってはニコチン依存症の人もいるかもしれないけれども、それは本人の生活習慣が原因であって、生理的な原因ではない。

休憩じゃないけれども休憩のような一服時間があると、喫煙しない人にとっては不満を感じるはず。仕事をしながら一服するわけではないので、一服している時間は実質的には休憩の時間です。

喫煙する人はそうでない人よりも休憩時間が長くなっている。この点が問題です。

休憩時間以外に一服したところで大差はないのだから、何もあえて言うほどのことではないとも思えます。せいぜい3分程度ですから、誤差と考えてもよさそうです。

しかし、気になる人は気になるのではないでしょうか。







■パートタイマーはダメだが、フルタイマーはOK?


パートタイマーは時間単位で給与を支給しているので、休憩時間以外に喫煙はダメと考える人もいらっしゃいます。確かに、パートタイマーには時間単位で給与を支給している。そのため、小休止して喫煙すると、仕事ではない時間に賃金が付くことになる。ゆえに、パートタイマーが喫煙するのはダメという理屈です。

では、フルタイマーならばいいのかと思えますよね。フルタイム社員は時間単位で仕事をしていないと思いがちですが、フルタイムも実質的には時間単位で働いている場合と違いはない。なぜならば、所定労働時間を8時間というように決めていますし、休憩時間も分単位で決めている。さらに、残業代もキチンと付きますからね。フルタイマーであっても、実質はパートタイマーとそう変わらないのです。パートタイマーほど時間と賃金がリンクしているわけではないけれども、フルタイマーであっても時間と賃金は相応に関連していますからね。

ならば、フルタイマーであっても、休憩時間以外に喫煙してはダメと結論するべきでしょうね。


となると、休憩時間以外でも喫煙していいのは、管理職だけとなる。

時間と賃金がリンクしていない人といえば管理職です。時間と賃金がリンクしておらず、いわゆる成果主義で報酬が決まり、時間外勤務の割増賃金も不要です。さらに、休憩時間を何分取るか、いつ休憩していつ仕事するか、何時間仕事するか。これらは管理職本人が決めるはずです。ならば、休憩時間でないときでも一服して差し支えないでしょうね。


「一服しても数分だし、それぐらいは誤差と考えてもいいんじゃないか」そういう考え方もあります。私も嫌いではない。

遊びとか余裕とか誤差のような若干のブレを許容することで、物事がうまくいくことも多々あります。あまりキッチリするとかえって不都合なので、あえて曖昧な部分を残す。

道路では、交差点の信号機が青から赤に変わるとき、数秒程度ですが交差点の信号機が全て赤を示しますよね。自分の車線上にある信号機が赤になったら、すぐに交差車線上の信号機が青に変わるわけではない。すべての信号が2秒ほど赤になって、その後に交差車線側の信号が青に変わる。つまり、こちらの信号が赤になったら他方の信号をすぐに青に変えず、ちょっと時間をおくことで、交差点内の車両が交差点から抜け出せるようにすることで、事故を回避しているわけです。

あえて信号の切り替え時期をズラすことで事故を回避している。つまり、遊びの部分を作り、良い効果を引き出しているのですね。

信号機の話と喫煙の話を単純に一緒にするわけにはいかないけれども、誤差のようなものを「いいじゃないか」と思う人がいる一方で、「良くない」と思う人もいるかもしれない。


仕事中の喫煙をどう取り扱うか。この点は、多くの会社が曖昧にしているのではないでしょうか。

いずれ、もっと物議を醸すことになると私は思う。



山口正博 社会保険労務士事務所
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