book582(「土曜日に出勤したら休日労働だ」という誤解。)




土曜日は休日だから、その日に出勤したら、それは休日労働だろう。


一般には、仕事が無い休みの日が「休日」だと思われている。つまり、「休み=休日」と考えられているのですね。

もし、週休2日の会社で、土曜日と日曜日が休みだと、土曜日と日曜日は休日だと思われているはずです。さらに、祝日も休みになるならば、祝日も休日だと考えられているでしょうね。

仕事が無い日が休日。こう考えても特に生活には支障はないのですが、労務管理の手続きでは想定外の結果が起こるときがあります。


例えば、今まで土曜日と日曜日が休みだったけれども、最近、隔週で土曜日が出勤日になったような場合を考えてみてください。隔週ですから、毎月、第二週と第四週の土曜日が出勤日に変わったと考えるといいですね。

今までは、毎週、土曜日と日曜日は休みだったけれども、これからは第二週と第四週の土曜日が出勤日に変わり、本来ならば休日だった日が出勤日に変わっています。

ここで、「土曜日は休日だったのだから、それを出勤日に変えるとなると、休日労働になるんじゃないの?」と疑問を抱く人がいるかもしれませんね。

また、月曜日から金曜日までは通常通りに勤務して、さらに土曜日にも勤務するとなると、残業代はどうなるのか、という疑問も生じるかもしれない。


第二週と第四週の土曜日は休日労働になるんじゃないか。さらに、第二週と第四週は出勤日が1日増えるのだから、残業代も発生するんじゃないか。

上記の2点が問題となります。





「あなたにとっての休日」と「法律上の休日」は同じとは限らない。


まず、「第二週と第四週の土曜日は休日労働になるんじゃないか」という部分について。

ここは、休日労働になる可能性もありますが、休日労働にならない可能性もあります。つまり、割増賃金を伴う休日労働になるかもしれないし、通常の出勤日と同じになるかもしれない。どちらの可能性もあります。

「え~! それじゃあ答えにならないじゃないかぁ」と思うかもしれない。「ちゃんと判断する方法はないの?」と言われれば、判断する方法はあります。

土曜日に出勤すれば休日労働なのか、それとも通常の出勤日と同じなのか。これは、会社が休日をどのように取り扱っているかによって決まります。

もし、土曜日と日曜日が休みで、土曜日だけを出勤日に変えて、日曜日は今までどおり休みにしているならば、土曜日は休日労働ではないのです。

労働基準法35条1項では、1週間に1日の休日を設けるように要求しています。この休日のことを「法定休日」と言います。この休日に仕事をすれば、それは休日労働になります。

つまり、法定休日に仕事をすれば、割増賃金を伴う休日労働になるわけです。なお、今回は休日の振替や代休については、話が広がってしまうので触れません。

上記の場合だと、日曜日は確実に休みになっているので、この日を法定休日だと考えると、土曜日は"法定外の休日"ですよね。つまり、土曜日は労働基準法35条1項の休日ではないのです。ゆえに、土曜日に出勤しても、それは休日労働にはならないということになる。

一般に考えられている「休日」と法律で想定している「休日」は違うのですね。休みの日だから休日だと普通の人が考えていたとしても、法律では1週間に1日の休みが休日と考えているわけです。


ただし、法定休日の曜日を固定している場合、もしくは、土曜日と日曜日はどちらも休日として扱っている場合は、土曜日であっても休日労働になる可能性はあります。

もし、土曜日が法定休日であると就業規則や雇用契約書で決めているとすれば、土曜日に出勤したら、それは休日労働です。ただ、法定休日の曜日は固定する必要はありませんし、日曜日ではなく土曜日を法定休日としているのも不自然です。法定休日にするならば日曜日の方が自然な感じがします。

また、「土曜日と日曜日に出勤した場合は休日割増賃金を支給する」という類の内容が就業規則や雇用契約書で決めているならば、この場合も土曜日の出勤は休日労働になる可能性があります。ただ、「土曜日と日曜日に出勤した場合は休日割増賃金を支給する」というルールは決めなくてもいいものですから、あえて就業規則などに記載しているとは思いにくい。

上記のような例外的な場合を除き、「日曜日が確実に休みになっている以上、土曜日は労働基準法35条1項の休日ではないので、土曜日に出勤しても、それは休日労働にはならない」と考えるのが妥当ですね。


次に、「第二週と第四週は出勤日が1日増えるのだから、残業代も発生するんじゃないか」という部分について。

例えば、第二週の勤務時間が下記のようになっていた場合。

月曜日:8時間
火曜日:8時間
水曜日:8時間
木曜日:8時間
金曜日:8時間
土曜日:8時間
日曜日:休み

月曜日から金曜日までは通常通りで、さらに土曜日も平日と同じように出勤したとすると、勤務時間は1週間で48時間となる。

この場合、1週間で40時間を超えている8時間分は残業となり、割増賃金が必要になる。

なお、第二週と第四週の土曜日が出勤日になると想定し、平日の時間を減らしておき、土曜日の出勤時間を吸収することで残業にならないようにすることも可能です。

月曜日:7時間
火曜日:7時間
水曜日:7時間
木曜日:7時間
金曜日:6時間
土曜日:6時間
日曜日:休み

例えば、月曜日から木曜日まで7時間に設定し、金曜日と土曜日を6時間に設定することで、週40時間に収めることができます。


月曜日:8時間
火曜日:8時間
水曜日:8時間
木曜日:8時間
金曜日:4時間
土曜日:4時間
日曜日:休み

上記のように、金曜日と土曜日だけを4時間にするのもアリです。


土曜日の勤務時間を他の日で吸収するか、それとも、そのままにして割増賃金を用意するか。これは会社ごとに選択して決めることができます。





山口正博 社会保険労務士事務所
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