2012/5/8【週20時間から週30時間未満で働くパートタイマー。】



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最近知った美味しい飲み物があって、果汁100%のドリンクと炭酸水を組み合わせて、オリジナルの炭酸ドリンクを作る。これがなかなか美味しいんです。

まず作ってみたのが、グレープジュースと炭酸水の組み合わせ。スーパーで売っている、果汁100%のグレープジュースを使って作る。出来上がりのイメージは、ファンタグレープに似ている。ファンタグレープは甘さが一定ですが、自分でグレープジュースと炭酸水を組み合わせると、甘さを調整できる。グレープ7に炭酸水3で組み合わせると、甘さ控えめのファンタグレープが出来上がる。甘みを強くして微炭酸にしたいならば、8:2とか9:1もいいかもしれない。薄味が好きならばグレープジュースを少なくする。作ってみると好きになる人はいるんじゃないかと思う。

他にも、りんごジュースやグレープフルーツ、オレンジもいいかもしれない。味を調整できるのがうれしい。

ジュースの組み合わせだけでなく、最近ならば、かき氷のシロップも使える。まだシロップは時期が早いので売っていないかもしれないけれども、メロンやイチゴのシロップを炭酸水と組み合わせると、メロンソーダやイチゴソーダを作れる。

炭酸水はお酒と組み合わせると思われているフシがあるけれども、考えてみると他にも組み合わせはあるのだなと思う。






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週20時間から週30時間未満で働くパートタイマー。
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週20時間以上の勤務で社会保険に加入したら。


短時間の労働者へ社会保険を適用しようという雰囲気が2011年の9月頃から少し盛り上がり、2012年の4月段階では週20時間以上のパートタイマーにも社会保険を適用する流れが確定しているかのような雰囲気もある。

先に大規模な企業から適用して、数年経過してから中小規模の企業も同様に扱ういつものパターンですが、遅かれ早かれ短時間勤務(週20時間から30時間未満での勤務)のパートタイマーも社会保険に加入するのかもしれない。

今現在は、いわゆる「おおむね 3/4」という基準で判断しており、社会保険に加入するパートタイマーとそうではないパートタイマーで分かれています。

パートタイマーの人が社会保険に加入するときには、下記の基準があります。

『1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱う』

通常の就労者の所定労働時間を週40時間だと仮定すると、その3/4ですから、週30時間が目安になる。ただ、実際は28時間や29時間の契約でも加入する可能性はあります。月に120時間以上の勤務時間に達すると、月単位で条件を満たす可能性もある。

ちなみに、継続的な雇用関係があれば、上記の条件を満たさなくても加入できるようです。ただ、どんな場面でそう判断するかは不明です。パートタイマーであってもフルタイム社員と同じように長期間働く人も少なくないですから、継続的な雇用関係がある人も相応にいるはずです。1年以上雇用されている人ならば社会保険に加入しそうですが、実際は上記の「3/4の条件」を用いて判断され、継続的に雇用されていても週19時間とか週26時間で働く人はおそらく社会保険の被保険者資格を取得できない可能性が高いのではないかと思います。

継続的に雇用されているかどうかは期間の基準がないため判断しにくいですが、3/4という条件ならば判断が容易です。そのため、年金事務所では、雇用関係の継続性で判断せず、3/4条件だけで社会保険に加入するかどうかを判断しているのではないでしょうか。

法的にはパートタイマーの人は全員が社会保険に加入するはずなのです。なぜならば、パートタイマーは社会保険の適用除外ではないので、勤務時間で区別はせず、全員が社会保険に加入するのが法的には正しい。しかし、現実は、行政サイドで一定の基準を設けて、加入する人とそうではない人を分けているのですね。


短時間労働者へ社会保険を適用する際の基準には、「"おおむね"4分の3以上」という表現が使われていて、「おおむね」という表現を付けずに、スパっと「4分の3以上」と表現しないところが微妙です。若干のブレを許容するのか、それとも 3/4 でキッチリと判断するのか。解釈に迷います。

さらには、社会保険に加入する条件を満たしたとしても即時に加入するというわけではないのも悩ましいところ。1ヶ月でも条件を満たせば社会保険に加入するのか、それとも数ヶ月継続して条件を満たす必要があるのか。この点でも判断が分かれます。実務では3ヶ月連続して条件を満たせば加入するようなのですが、何かハッキリとした基準があるわけではなく、どうもグレーな取り扱いになっているのが実情です。

上記のようなモヤモヤした状態を解消するために、雇用保険と同じように週20時間以上の勤務で社会保険に加入させようという雰囲気ができあがったのかもしれない。



法律通りにパートタイマーを全て社会保険に加入させればよかったのに、なぜあえて基準を設けて加入する人と加入しない人をわけたのか。この点が疑問を抱くところです。

「保険料を払うならば、誰でも加入できるようにすればいいじゃないか」と考えればシンプルで分かりやすい。パートタイマーも、勤務時間で条件を設けず、全員が加入できるようにしても何も問題はないんじゃないか。そう思う方もいらっしゃるはず。

なぜ、あえて3/4という条件を設けて対象者を分けたのか。素直に全員を対象にしてしまえば良かったのに、一定の勤務時間でラインを設定した。

あえてそうしたからには何か理由があるはずです。

もし、週20時間以上の短時間労働者にも社会保険を適用するとなると、3/4の条件と衝突しますから、何らかの方法でこの衝突を回避する必要があります。




なぜ条件を設けてふるい分けるか。


健康保険法や厚生年金保険法ではパートタイマーの加入を排除していないにもかかわらず、なぜ全員を加入させないか。

それは、もし勤務時間数にかかわらず社会保険に加入できてしまうと、「歪み」が発生するからです。

歪みというのは、次の2点です。1,被保険者間でバランスが崩れる。2,被扶養者の基準と被保険者の基準が混ざる。


年金には3種類の被保険者がいます。自営業や学生などの1号被保険者(以下、1号)、会社員の2号被保険者(以下、2号)、扶養されている人が対象になる3号被保険者(以下、3号)。この3つです。保険料の取り扱いは、1号の人が本人が負担。2号の人は勤務先と折半。3号の人の場合は、保険料は無しです。

もし、週20時間以上の勤務で社会保険に加入すると、1号の人と2号の人の関係が歪な状態になる。

では、どのように歪な状態なのか。

1号の人は国民年金に加入しているが、2号の人は国民年金と厚生年金に加入しています。つまり、自営業の人や学生は自己負担で国民年金に加入していますよね。労働者ではないので、保険料は折半負担ではない。

一方、会社員の人は、保険料を半分負担して厚生年金に加入しています。ちなみに、会社員の人の厚生年金には国民年金も含まれています。つまり、「厚生年金 = 厚生年金 + 国民年金」ということ。「国民年金が含まれた厚生年金」と考えていただくといいですね。給与明細には厚生年金保険料と書かれているので、「国民年金には入っていないけど、厚生年金には入っている」と思ってしまう人もいらっしゃるかもしれない。しかし、実際は国民年金にも同時に加入しているのですね。

1号の人は国民年金だけ。2号の人は国民年金と厚生年金。この点を踏まえると、保険料の負担は後者の方が多いはずです。1つだけに加入するよりも、2つの制度に加入している方が保険料は多くなると思えますからね。1本50円のナスを買えば50円ですが、それを2本買えば100円です。ナスを1本だけ買うよりも2本買ったほうが支払額は多くなる。1号と2号の保険料はこれと同じです。

簡単に保険料を比較すると、「1号 < 2号」となるはず。これが正常な状態です。

ところが、週20時間から30時間未満で働くパートタイマーの人が社会保険に加入するとなると、「1号 > 2号」となる可能性があります。つまり、国民年金だけに加入するよりも厚生年金にも加入してしまったほうが保険料の負担が軽くなるかもしれないということ。ナス1本で50円だが、2本買うと2本で40円になるというような状態を想像してみてください。これはヘンな状態ですよね。

では、実際に数字を使って比較してみましょう。


まず、本人が保険料を全て支払っている前提で計算してみましょう。厚生年金も、企業の負担分は社員の賃金の一部であると考え、折半負担ではなく本人が負担すると仮定します。

1号被保険者の保険料:14,980円(国民年金のみ)
2号被保険者の保険料:16,083円(標準報酬月額98,000円の1等級。http://www.growthwk.com/pdf/kouseitable.pdf 等級表の一番上に位置する1等級です)

企業が負担している保険料も本人の報酬であるという前提で考えると、最も低い報酬水準であっても「1号 < 2号」の状態は維持できています。国民年金だけの人よりも厚生年金プラス国民年金の人のほうが保険料が高くなっています。上記の計算ならば、パートタイマーの人が週20時間以上の勤務で社会保険に加入しても1号被保険者よりも負担が少なくなることはありません。

とはいえ、月額で1,063円の差ですから、1,063円をプラスすると厚生年金もセットに出来るので1号よりも2号の方が有利ではないかと感じます。

先ほどの計算は、折半負担でも本人が実質的に社会保険料の全額を負担していると仮定して計算しました。次は、本人と企業は半分ずつ社会保険料を負担していると考えて計算してみます。

1号被保険者の保険料:14,980円(先ほどと同じです)
2号被保険者の保険料:折半で14,770円(http://www.growthwk.com/pdf/kouseitable.pdf の等級表を見て、14,980円に最も近い水準を選択すると、標準報酬月額180,000円の11等級が近似値になる)

保険料の折半負担を前提にすると、月収が約18万円以下の人は2号被保険者になってしまった方が有利だと判断できます。国民年金に単独で加入すると保険料は14,980円ですが、会社経由で厚生年金に加入すると、月収18万円程度までは1号被保険者よりも低い保険料で国民年金と厚生年金の被保険者になれる。この場合に、「1号 > 2号」という保険料の関係が発生するのですね。

ちなみに、雇用保険ではこんなことにはならない。なぜならば、フルタイムとパートタイムでは被保険者の区別がないからです。日雇いと通常労働者という区別はあるものの、社会保険のように1号から3号まで分けて、保険料の扱いが異なるわけではない。それゆえ、社会保険のようにバランスが崩れることがない。

また、雇用保険は支出が固定ではなく、そのため保険料収入も固定しなくていい(とはいえ、ゼロにはなりませんが)。風邪のように年に何回も失業することはないし、失業手当(雇用保険の基本手当)を受け取ると、加入実績がリセットされますから、支出はさほど膨らまない。健康保険だと、擦り傷や風邪でも保険が使えますし、捻挫でも病院で湿布を出してもらうことができます。また、年金は偶数月になれば確実に支給しますし、老齢(基礎 or 厚生)年金だと受給者が死ぬまで支給しないといけない。

社会保険は、「全額負担、折半負担、負担なし」というように被保険者によって保険料の扱いが随分と異なります。雇用保険ではフルタイム社員もパートタイム社員も保険料率は同じで、社会保険のようにバラつきはない。


『短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会(第13回)説明資料 平成24年3月19日』(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000025mv0-att/2r98520000025mya.pdf

上記の資料の39ページでは、2号被保険者になった方が負担が減り、一方で給付が増えるように説明されています。ただ、このページでの計算は、保険料の折半負担を前提にしており、保険料が半分になれば負担が軽く給付が多くなるのは当然です。


保険料の労使折半というのは絶妙な仕組みで、労使双方の負担感を和らげる感覚を抱かせます。もし、企業や社員が単独で保険料を負担すれば負担感は大きくなるが、お互いに「半額の負担でいい」となると、「それならお得なのかな」と思わせる。

買い物をする場面を思い浮かべてください。一括で購入するのは気が引けるけれども、ローンだとか割賦、分割払いという方法で購入手段を提示されると、「これなら買えるかも」と思わせることができる。例えば、携帯電話を購入するとき、一括だと6万円するものでも、「2年間使えば0円になりますよ」と言われると、買いやすいですよね。

単独で社会保険に加入するよりも負担感を和らげることで、加入しやすい気持ちにさせ、負担額よりも給付額の方が多くなりお得な感覚を抱かせる。これが労使折半の心理的な効果です。

「会社経由で社会保険に加入すれば、保険料の半分を会社が負担してくれるから得だ」と思っている方は少なくないのではないでしょうか。確かに、実際の保険料額も半額になっていますから、50%off で社会保険に加入しているように思える。しかし、社会保険料も賃金の一部だと考えれば、本当は半額負担ではなく、社員が自分で社会保険料の全額を負担していると考えればあながち得だとは言い切れない。

さらに、賞与と退職金の扱い方も社会保険料と関連します。社会保険料が上昇すれば、その分だけ賞与を減らす。こうすることで、人件費の上昇を回避する。このようなことが実際に行われているかどうかは経営者しか知らないかもしれないけれども、やろうと思えばできるはず。また、退職金でも人件費の調整ができるでしょう。退職金は退職時点にならないと金額が確定しにくいものですから、蓋を開けてみないと中身は分からないのではないでしょうか。

社会保険料が上昇すれば、その分どこかで調整される可能性があります。賞与や退職金ももちろんですが、昇給のペースが遅くなったとか、時間給が上がりにくくなったとか、手当が減ったとか。パートタイマーが社会保険に加入していけば、おそらく時間給は上がりにくくなると思います。どこかで支出を増やせば、どこかで支出を減らして帳尻を合わす。普通といえば普通ですが、社会保険に加入することはパートタイマーにとって一方的に有利とは限らないのです。

もし、1号被保険者と2号被保険者を対等に比較するならば、双方とも本人の全額負担を前提にして計算するのがフェアです。全額負担と折半負担を比較するのは、フルマラソンを走った人のタイムとハーフマラソンを走った人のタイムを単純に比較してしまうようなものです。距離が倍になれば、時間も倍になりますからね。


先ほどまでは、年金だけで話していますが、健康保険でも同じことが起こりうる。国民健康保険に単独で加入するよりも、協会けんぽや組合健保の方が負担が軽くなるかもしれない。ここでも折半負担の効果が大きいですね。


歪みの2つ目として、被扶養者の基準と被保険者の基準が混ざるというのは、健康保険に関する内容です。

健康保険には2つの加入形態があって、被保険者と被扶養者に分かれています。自ら社会保険に加入していると被保険者で、他の人とセットで健康保険に加入していると被扶養者になる。

週20時間以上から30時間未満のパート勤務だと、被保険者ではなく被扶養者として社会保険に加入している方が多いのではないでしょうか。年間所得130万円以下という基準があって、その基準を上回らないように働き、被扶養者の身分を維持する。このようなパートタイマーの人は結構いらっしゃるはずです。

パートタイマーが社会保険に加入する新しい基準は、週20時間以上の勤務時間だけが条件ではなく、月額賃金7.8万円(年収では94万円)以上、勤務期間が1年以上、さらに従業員数が501人以上の条件が設定されています。4つの条件ですね。この条件での加入は、平成28年の4月に実施される予定で、その後3年以内に対象範囲を拡大するようです。

年収94万円以上で社会保険に加入するとなると、年収が94万円以上130万円未満の人だとどうなるのか疑問ですよね。被保険者として健康保険に加入するのか、それとも被扶養者として健康保険に加入するのか。

もし、被扶養者になる基準を年収93万円未満に変えたとすると、今まで被扶養者だった人は被保険者に変わるし、93万円を超えないように仕事を調整する人も出てくるかもしれない。さらに、所得税の控除基準である、38万円(基礎控除) + 65(給与所得控除) = 103万円の基準はそのままにするのかどうか。






連動する歯車。


1号被保険者と2号被保険者の差、被保険者と被扶養者のふるい分け、所得税の控除など。制度の一部を変更すると、他の部分も連動して影響を受けるので、調整が必要になる。

社会保険の適用範囲を拡大する目的は、表向きではパートタイマーの待遇を向上させるためと言われていますが、本当は年金の3号被保険者や健康保険の被扶養者2号被保険者や健康保険の被保険者に切り替えるためだと思います。ちなみに、1号被保険者は今まで通りでも国民年金や国民健康保険に加入しているので、この人達に対して何かをする必要はあまりないはずです。3号被保険者を2号被保険者に変える。被扶養者を被保険者に変える。この2点が社会保険の適用範囲を拡大する目的です。

2011年の2月頃にはいわゆる「運用3号の問題」がありましたから、3号被保険者の対象を減らしていこうとするのは自然な流れのように思います。


もし、1号被保険者と2号被保険者の間の歪みを解消する対策を考えるとすれば、1つ目は健康保険と厚生年金の保険料を引き上げる方法、2つめは国民年金の保険料を下げる方法、3つめは健康保険と厚生年金に最低保険料を設定する方法、この3つがある。

1つ目の保険料を上げる方法だと、保険料の関係が「1号 < 2号」という状態になるまで健康保険と厚生年金の保険料を上げれば、1号被保険者よりも2号被保険者の方が保険料が低額になる状態を回避できます。

しかし、この方法だと、制度に参加している全員に影響があるので、ピンポイントで対処できないのが欠点です。週20時間から30時間未満の勤務時間で働くパートタイマーの社会保険をどうするかが焦点なので、保険料を上げてしまうと、左記以外の人たちまで保険料が上昇してしまうので、影響する範囲が必要以上に広がってしまいます。

次の、国民年金の保険料を下げる方法で、保険料の関係が「1号 < 2号」という状態になるように、1号被保険者の国民年金保険料を下げると、1号被保険者と2号被保険者の間の歪みを回避できます。

ただ、この方法も欠点があって、国民年金の保険料を下げると、関係のない人まで影響が及びます。社会保険が適用されるパートタイマーの扱いを考えるだけなのに、1号被保険者全員の保険料を下げてしまう。つまり、一部の人へ対処するために、全体に影響を与えてしまうのです。さらに、国民年金の保険料は下げてもいいのかという点も気になります。ただでさえお金が足りないと言っている年金制度なのに、保険料を下げてしまって資金繰りは大丈夫なのか。この点でも実現しにくい方法かもしれません。


3つ目の最低保険料を設定する方法ならばどうか。社会保険の適用を拡大して歪みが生じるのは所得の低いパートタイマーの人たちだから、低所得水準の場合にのみ機能する最低保険料を設けるといいのではないか。つまり、健康保険と厚生年金の保険料をパーセンテージのみで決めるのではなく、加入するならば最低でも5,000円とか8,000円というように固定で保険料の下限値を設けておけば、社会保険の適用を拡大されるパートタイマーだけに限定して対処できるのではないかと考えるのです。

この方法ならば、関係のない人達には影響が出ないし、保険料の関係も「1号 < 2号」という状態にできるのではないでしょうか。

ただ、この方法も万能ではなく、最低保険料を設けると、賃金に占める社会保険料の割合が高くなります。月収50,000円の人も8,000円、月収80,000円の人も8,000円というように最低保険料を設定すると、後者よりも前者のほうが所得に占める社会保険料の割合が高い。前者は8,000 / 50,000 = 16%、後者は8,000 / 80,000 = 10%です。

さらに、勤務日数や勤務時間数が少ないのに社会保険料が高いので、経営側も嫌がるかもしれない。週5日で勤務する人にならまだしも、週2日や3日で勤務する人まで社会保険に加入させて保険料を負担するのは割に合わないと言うかもしれない。

この場合は、月額賃金7.8万円以上、年収94万円以上というように所得で加入する人を分けるという方法を用いれば、上記の欠点を緩和できるかもしれません。


フルタイム社員ならば、賞与で社会保険の負担を吸収できる。社会保険料が上昇すれば、その分だけ賞与をアレコレと調整して対処できる。しかし、パートタイマーは賃金の調整弁になる賞与がないので、社会保険の負担はそのまま処理する必要がある。フルタイムとパートタイムでは賃金の配分方法が違うため、「逃げ」のないパートタイマーの時間給では社会保険料を処理できないのでしょうね。だから、パートタイマーが社会保険に加入するのを経営者は嫌うのでだと思います。せめて週30時間程度働く人でないと、企業が社会保険料を払って利益を残せないのではないでしょうか。

社会保険の適用範囲が広がれば、賞与以外にも、昇給を遅くするとか、賃金の上昇幅を小さくするとか、昇進を遅らせるとか、人材を募集するときの時間給を低くするとか、色々と帳尻を合わせるように企業は行動する。

ツケは労働者本人に戻ってくる。これが現実のように思います。

パートタイマーが社会保険に加入するときの基準である「おおむね3/4」という今現在の基準は曖昧ではありますが、上記の内容を踏まえると、あながち不合理な基準ではなく、むしろ妥当な加入基準なのかもしれませんね。

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