book569(「育児で休業」と「病気や怪我で休業」)




■出産と育児はしっかりフォローがある。


育児を理由に休業すると、社会保険料は免除される。この点について知っている方は少なくないかと思います。

本人負担部分だけでなく企業の負担部分も免除される。さらに、健康保険は通常通りに使えるし、厚生年金が減ったりすることもない。

さらに、健康保険からは出産に関する給付があり、雇用保険からは育児休業に関する給付もある。

もっと付け加えると、労働基準法では産前と産後の休業についてルールがあります。

上記のようにざっと挙げると、出産と育児のイベントに対しては優遇する仕組みが結構用意されていると分かる。


2012年の4月時点では、労働基準法の産前産後休業のときにも社会保険料を免除する動きもあります。

今現在は育児休業中に社会保険料を免除するルールはありますが、産前42日、産後56日の期間には社会保険料を免除するルールはなく、休んでいるときであっても別途で社会保険料を用意する必要があります。この点が変更されるかもしれないようです。

『月間社労士』という社会保険労務士が読む機関紙の2012年4月号だったと記憶していますが、産前産後の休業時にも社会保険料を免除するよう仕組みが変わるようです。この点について詳しい情報知ろうと検索しましたが、厚生労働省のウェブサイトにもまだ掲載されていないようで、現在は確定したものではなく、検討中の内容のようです。

紙面上では、2年後ぐらいには実施されるとのことでしたので、2014年の4月から産前産後の休業時にも社会保険料が免除されるようになるかもしれません。ただ、ハッキリと確定したことではないので、実施時期は変わる可能性があります。





■休業の理由が違うと、扱いも違う。


出産や育児では社会保険料が免除され、さらには産前産後の休業時期にも免除される予定もある。

子供に関するイベントは優遇されていますね。


一方で、病気や怪我でも休む場合がありますが、こちらは社会保険料を免除するという措置はありません。

休んでいるという点では同じですが、社会保険料を免除するかどうかという点では違いがある。

なぜこのような違いが生まれるのか。この点について疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じように休んでいるし、収入も無くなる、もしくは減るのだから、育児で休んでも病気や怪我で休んでも同じように扱うのが妥当なんじゃないか。そう思えますよね。

例えば、腕を骨折して1ヶ月休んでも社会保険料は免除されない。また、帯状疱疹で1ヶ月休んでも骨折と同じように保険料の免除はない。さらには、家族を介護するために休業しても社会保険料の免除はない。

なぜ、育児とそれ以外で違いがあるか。それは、イベントが分かりやすく、期間がハッキリ分かるからです。つまり、何時の時点で出産かがハッキリと分かるし、どんな状態が育児なのかも分かる。また、出産は1日でおそらく終わるし、育児も子供が何歳かになるまでというようにキチンと期間を把握できる。それゆえ、公的な制度によるフォローがしやすいため、アレコレと優遇措置が設けられている。

一方で、怪我や病気は、それを正確に定義するのが難しいし、どこからどこまでが怪我であるか、また、どこからどこまでが病気であるかの期間を正確に把握しにくい。

骨折で休業するのはOKだが、擦り傷で休業するのはNGというように、休業の対象となる怪我を定義するのは簡単とは言えない。また、病気でも、風邪で休むのは休業ではないけど、肺炎で休むのは休業というように、ここでも休業の対象となる病気を定義しにくい。

さらに、怪我が治癒する期間は人によって違う。若い人ほど早く治るだろうし、中高年の人は時間がかかるかもしれない。また、病気でも同じです。若い人ほど病気の回復が早いはずです。

一律に休業すべき理由を定義できないし、一律に休業の期間を決めることもできない。それゆえ、出産や育児以外の理由で休業するときには優遇措置を用意しにくいのです。





山口正博 社会保険労務士事務所
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