book566(雇入れ条件と実態がズレる。)




■途中から条件が変わる。



働いていると、入社した時の雇入れ条件とは違う条件に変わる時があります。

例えば、採用されたときは週5日勤務だったけれども、10ヶ月後に週5日から週3日の勤務に変えたとか。または、週27時間勤務だったが、5ヶ月後に週32時間勤務に変えたとか。フルタイムで働いている人はそう簡単に条件を変えるわけにはいきませんが、パートタイムで働いているならば勤務日数や勤務時間数を後から変更する可能性があります。

採用されてすぐに勤務内容を変えることは少ないかもしれませんが、入社から時間を経過するほど雇入れ条件と実際の勤務条件がズレやすくなるのではないでしょうか。

ただ、フルタイムで働いている人は入社時の条件でそのまま仕事を続けることが多いでしょうから、雇入れ条件と実際の勤務実態がズレるのはおそらくパートタイムの人だろうと思います。


では、もし合意した雇用条件と実態がズレたら、改めて契約を締結するか。それとも、契約を更新せずに、勤務の内容を変更するか。この点で判断が分かれます。

契約内容と勤務の実態をキチンと合わせるか。契約よりも実態を優先して、あえて契約を更新しないか。







■そのままにするか、契約を変更するか。



結論から言うと、どちらの判断もアリです。

週5日から週3日に勤務日数を変えたから、契約も週3日の内容に修正して更新する。もしくは、契約には手を付けずに勤務実態だけ週3日に変える。どちらも有効ですし、法的にも差し支えない。

当事者が合意すれば契約は成立します。それゆえ、上記の2パターンはどちらで判断しても構わない。

ただ、契約と実態がズレていると不都合な場面もあります。

週5日で勤務するとの契約であるにもかかわらず、実際は週3日で仕事をしていると、もし契約に基づいて会社側が「週5日で働いてくれ」と言えば、従業員側は反対しにくい。キチンと契約に基づいて主張しているのは会社側ですからね。

勤務時間を変えた時も同様です。週27時間契約であるが、実際には週32時間で働いているとすると、「契約では週27時間だから、週27時間に戻してくれ」と会社側が言うと、これも反対しにくい主張です。

もちろん、「実態は週5日ではなく週3日だから、後者が優先される」とか、「実態は週27時間ではなく週32時間だから、後者を優先すべき」という理屈は展開できるかもしれない。

しかし、社員は契約のズレを放置した当事者でもありますから、ホイっと契約を反故にしてしまうのも都合がよい判断のように思えます。


パートタイマーの場合、勤務の日数や時間数を変更することがフルタイム社員に比べて多いので、勤務内容が変わってもそのままにしてしまっているのではないでしょうか。

「そこまで丁寧にやらなくてもいいんじゃないか」と思って、途中で勤務内容を変更するときは手続きを省略しがちなのかもしれない。


契約と実態がズレているからといって直ちに何か問題があるわけではない。

しかし、週5日で働くとの契約を締結していれば、週5日仕事してもらうように要求できる。また、14時から19時で勤務するとの契約を締結していれば、実際は15時から18時で勤務していても14時から19時に勤務するように要求できる。


契約を意識しすぎる必要はないのでしょうが、甘く考えない方がいいかもしれませんね。

山口正博 社会保険労務士事務所
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