book559(不当解雇が無効になったら復職するの?)




■不当な解雇を無効にしたら、その後どうなるのか。


労働契約法の16条には、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でないと解雇が無効になるとの内容が書かれている。

もし、客観的に合理的な理由がなく解雇され、その解雇が社会通念上相当ではないと判断されると、その解雇は不当な解雇となるわけですね。

不当に解雇されたと思った人が経営者と不当かどうかを争い、その結果、解雇が不当と判断され、解雇された人が復職したらどうなるのでしょうか。

その人は社内でどんな扱いを受けるのか。役職や賃金でどんな扱いを受けるか。人事評価でどんな扱いを受けるか。


想像してみてください。

不当解雇を撤回させて復職したら、元の状態に戻れるのかどうか。





■正しい主張が良い結果をもたらすとは限らない。


法的に望ましいことと現実に望ましいことは一致するとは限りません。解雇を撤回させて、復職してもおそらく以前のように仕事はできなくなるのではないでしょうか。全く同じ環境で仕事を続けられるとはちょっと考えにくい。

別の部署に異動とか、以前よりも仕事が減るとか、人事評価で良い評価が得られなくなるとか、閑職にまわされるとか。色々と想像できます。

おそらく、正当な主張で不当解雇を撤回させても、仕事は続けられない。これが現実なのではないでしょうか。つまり、「復職後に自主退職」が結論なのかもしれない。


解雇が妥当なものかどうかは当事者でも分かりにくい。不当な解雇と言われても、それが本当に不当なのかどうかは分からない場面の方が多いのではないでしょうか。仕事中の態度に問題があるのか、仕事の成果に問題があるのか、人付き合いに問題があるのか、経営状況がよろしくないからなのか、それとも他に何か問題があるのか。

常に理由をハッキリと示せる解雇だけではないので、どうしても解雇で不当か否かが問題になってしまうわけです。さらに、人の気持ち次第で不当かどうかが分かれる場合もあるでしょう。上司が嫌な奴だとか、給与が少ないとか、賞与が支給されないとか、有給休暇を取得できないとか、社員食堂の食事がマズいとか、部長の口が臭いとか、気に入らなければ何でも不当と言うための口実にできる。

客観的に不当かどうかではなく、不当かどうかは本人が納得したかどうかで判断されているのではないかと思うこともある。もちろん、客観的に判断して不当な解雇もあるだろうけれども、不当かどうかは人の気持ちが決める部分が多いように思う。気に入らないことが多い職場だったら不当解雇だと言われやすいし、働いていて楽しく満足できる職場ならば不当解雇だと言われにくい。現実はこういうものではないかと思う。






山口正博 社会保険労務士事務所
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