2011/12/12【減給と減給制裁は違う。】



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自動車を所有していると自動車保険には加入しているはずですが、自動車保険には特約というオプションがあって、バイクいわゆる二輪車もセットで保障対象に含めることができる。この点はよく知られているかと思います。

私もつい最近知ったことなんですけれども、自動車保険には自転車の特約もあるそうなのです。近頃は、自転車も保険に入らないと大変なことになるという雰囲気があって、自転車店で保険に加入する人もいるそうな。

しかし、自動車に乗っている人は、車の保険に自転車も入れてしまうことができるようになったようです。保険外交員の人に聞いたのですけれども、2年くらい前ぐらいから自転車特約ができて、そこから自動車に自転車もプラスするわけです。

もし、自動車と自転車を両方とも持っていて、自転車特約のことを知らなければ調べてみてはいかがでしょうか。


話は変わりますけれども、電子書籍に関する話題が2009年ごろからポコポコ出てきて、いわゆる「自炊」をする人や自炊作業を代わりに行ってくれる業者も出てきていますね。さらには、著作権者がワイワイ言って電子化勢力と押し合いしている状況です。

電子化のアイデアの中でも、「絶版書籍を電子化する」という発想は私は好きです。Amazonで買いたいと思っても絶版になっていて新品を買えなかったり、中古を買おうかと思ってもプレミア価格であったりと不便を感じるときもチラホラ。この手の本を、新品価格で電子化してくれたら嬉しいのですけれども、なかなかうまくいかないのか、絶版書籍が電子化してこないんですね。以前、絶版書籍を電子化している業者があったのです(新聞で紹介されていたような記憶がある)けれども、事業をやめてしまったようでちょっと残念でした。

「すべての本が電子化するのか」という極端な言論もあるのですけれども、私は電子版も紙版も残るように思う。紙の書籍はかさばるけれども、電源なしで読めるし、目次と本文の往復が簡単なので、速く読み進めるには紙版の書籍のほうが良い気がする。

私は、目次のページに指を入れた状態で本文を読み進めるタチで、目次を確認しながら自分の読みたいところから読むのが好きです。初めのページから真面目に読むのは苦手な人間なんですね。普通のヒトとは違って、不真面目な読書が好きなのですね。


さらに話が変わりますけれども、近頃ブログを読んでいると、妙なソーシャルボタンが付いていて、さも押してくれみたいな雰囲気を醸し出しているのに気づきますよね。Googleの+1ボタンやFacebookの「いいね!」ボタンが代表的でしょうか。

良い感じのブログ記事を読んだ時にFacebookのいいね!ボタンがあれば私はクリックするようにしています。お礼の意味を込めて「いいね!」ボタンを押していますね。匿名のヒトのブログが多いですし、コメントを書くほどでもないけれども、ちょっと「ありがとう」という感じでいいね!ボタンをクリックすることでお礼の代わりにしています。あの程度のことでも相手には伝わるような気がしますので、お礼のいいね!は続けていこうかと思っています。



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減給と減給制裁は違う。
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反射的に91条を使うわけではない。


懲戒処分は日常茶飯事で発生するものではないですが、大きな企業で働いているとたまに懲戒処分される人が出てきます。会社の備品を無断で持ち帰ったとか、販売している商品を購入せずに自分のものにしたとか、頻繁に遅刻しているなどの理由で処分されるかと思います。他には、棚卸処理(飲食店や小売店で実施する作業のこと。年に3回ぐらい実施しているはず)での不正とか、データベースから顧客データをメディアにコピーして持ち出したり、権限のないデータにアクセスしたりなど、懲戒対象になりうる行為は色々あります。

懲戒処分には、出勤停止や戒告、譴責、厳しい処分だと解雇もあります。また、減給という懲戒処分もあって、2ヶ月間10%減給という形で実施されるかと思います。

ちなみに、減給は、「一般的な意味での減給」と「制裁としての減給」の2つに分けることができます。上記のように何らかの良くないイベントが発生することによって実施されるのは、後者です。一方、会社の業績や個人の業務成績に応じて実施されるのが前者です。

減給が話題になると、反射的に労働基準法の91条(以下、91条)が適用されると考える人もたまにいますが、減給だから91条によって制約されるとは限りません。91条の「その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」という部分をご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、このルールは減給事案の全てに当てはめるルールではないのです。

つまり、減給と減給制裁は違うということ。





両者の境界線。


労働基準法の条文を見ると、91条は就業規則の章に書かれています。第9章の就業規則のエリアを見ていただけば分かると思います。89条から93条までが就業規則関連の規定で、制裁規定の制限について書いている91条も9章に含まれています。

なぜ91条が就業規則のエリアに書かれているかというと、制裁規定の制限が就業規則に関連しているからです。つまり、就業規則に関連した減給制裁の場合は91条によって制約を受けるわけです。逆に言えば、就業規則に関連しない減給の場合は91条によって制約を受けないとも解釈できます。

よって、何らかの理由によって減給されたとしても、その減給処分が就業規則の内容に反したことによるものなのか、それとも会社もしくは社員個人の業務成績によるものなのかを確認しないと、91条の対象なのかどうかは分かりません。「あっ! 減給だ。1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えたり、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけないんだ」とすぐに判断できるとは限らないのですね。

条文の位置から制度設計者の意図が分かるときがありますが、今回もその例だと思います。一般的な減給と制裁としての減給を分けるために、第9章の就業規則に91条を置いたのですね。条文の位置にもそれなりの意味があるわけです。ちょっと脱線しますが、条文の最初の方で定義をするのも意味があって、先に言葉の定義をすることで後から書く条文の内容がブレないようにする意図があります。労働基準法だと、9条から12条が定義条文です。他の法律でも、最初の方に定義のための条文が設けられているはずです。


雇用契約を変更することで結果として減給になることもあるかと思いますが、これも91条の対象外です。雇用契約の変更は懲戒処分ではないですし、契約の変更が就業規則に違反するというのもヘンです。ちなみに、就業規則で定める基準に達しない雇用契約は、達しない範囲で無効というルール(労働契約法12条)もありますが、この場合は無効処理がなされるだけであって、減給処理がなされるわけではありません。つまり、雇用契約の変更による結果的減給は91条が想定する減給制裁とは違うということ。







期別の曖昧さと偽装の可能性。


就業規則の内容に違反した場合は制裁としての減給になり、就業規則に関連しないところで減給すれば91条によって制限されない。この点について分かると、次に疑問になるのが両者をキチンと分けられるのかという点です。

実際は制裁として減給しているのに、表向きは一般的な減給であると外観を整えれば、91条の制約を回避しながら減給制裁が可能なのではないかと思えます。つまり、上記の両者のイイトコどりをするわけです。

例えば、よく遅刻するする人に対して制裁するときに、就業規則に違反しているという理由ではなく、個人の業務成績に関連付けて処分を実行すれば、91条の対象から外れる可能性があります。

制裁としての減給を91条が確実にキャッチしきれるかどうか。この点はちょっと気持ちを向けておく必要があります。

具体的に懲戒の対象となる行為が就業規則に書かれているならば、制裁なのかどうかは分かりやすいはず。しかし、抽象的な服務規程に違反したときには制裁なのかどうか判断しにくいかもしれない。「従業員は、誠実に業務に取り組まなければいけない」という類の規定がキナ臭いところです。

もしくは、減給だと91条が絡んでくるので、出勤停止で代用するのも一考かもしれない。出勤停止は減給も含まれます(社員さん本人の責任なので26条の休業にならず、欠勤控除と同等の効果になる)からね。








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