book548(コネ採用と実力採用の境目。)






■「コネは汚い」という偏見。



人を採用するときには、色々な要素を考慮して応募者を選択する。学歴、職歴、資格、趣味や特技のように履歴書やエントリーシートに書かれている事柄、さらには見た目も人を選択する基準になる。表情、髪型、服装、話し方など、言い出せばキリがないほど選択の基準は多い。

もし、人を採用する最も決め手になる要素は何かと聞かれれば、私は「コネ」だと答えると思う。コネとはコネクションの略語で、縁故とか人脈などを解釈される。

例えば、先輩が後輩を優先的に採用するのはコネの一例だ。学生だと分かるが、先輩が入社した会社に応募すると、先輩が面接の担当者や採用の担当者になっていることもあり、他の学校から応募した人よりも採用されやすい可能性がある。また、特定の企業で自分の学校の出身者が高く評価されていると、その学校からの採用者が増えやすいはず。

他にも、親の友人が経営する会社に採用されたとか、叔父が勤める会社に入ったとか、地元の有力者と懇意にしているという理由で特定の企業にすんなりと入ったとか。挙げればもっとたくさんの例があると思う。

一般には、人を採用するときにコネを利用するのは汚いと思われているのではないか。コネを使うのは卑怯だから、コネなんて使わずに私は実力で採用されたいと言う人もいるはず。
企業側も、コネは評価していない、実力のみで評価していると言うはず。わざわざコネ採用を外部に知らせるはずもありませんけれども、表向きはコネなどないと言うわけです。


しかし、コネなんて使っていないと思っていても、案外と身近で使っている可能性もあります。







■実力は分かりにくいがコネは分かりやすい。



例えば、インターンシップという制度。在学中の学生に実習訓練として仕事を経験してもらう制度ですが、これもコネを構築する手段になっています。参加先の仕事を経験できるため、全く経験の無い人よりも採用時に評価は上がりやすい。また、相手先の社員と顔見知りになれます。インターンシップですから、採用担当者が参加者に接触する可能性が高く、後日の選考時に再び顔を合わせるかもしれませんよね。

さらには、インターンシップに参加した人のみ応募できる企業もあるのではないでしょうか。つまり、事前に関係を構築した人だけが応募できるのですから、コネのある人だけが採用される可能性があるわけです。

「インターンシップはコネを構築する手段ではない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、知らず知らずにコネが出来上がっているのかもしれない。


他には、大学生だとリクルーターの人と接触する機会があります。リクルーターとは、企業の新人採用を担当する社員で、人材採用の先兵として大学生から採用対象になりそうな人を探しに行く人達です。これも将来の応募者と採用担当者が接触しているので、コネを発生させるきっかけとなります。

もし、「見ず知らずの応募者」と「親戚のよしみで人物を知っている応募者」があなたの前に現れたら、どっちを採用するか。

真面目な人だと、「両方とも公正に評価して採用する」と言うかもしれない。けれども、それは嘘になる可能性のほうが高いのではないでしょうか。

全く知らない人よりも、すでに知り合っている人に親近感を抱くのは人間として当然の感覚です。それゆえ、採用するとなれば、後者にバイアスがかかると考えて概ね間違いなさそうです。これは現実であって、悪いことではない。

商売でも、供給者と消費者がお互いに知らない関係だと、広告などの媒体を経由しないと出会えません。しかし、当事者を繋ぐ友人や親戚、さらにはその供給者から商品を購入した経験がある他の顧客から紹介されたり、相手の素性について事前に聞いていると、いとも簡単に供給者と消費者が出会えます。営業などほとんどしていないのに売れたというのは、お互いにコネがあったからではないでしょうか。


もし、採用されたいと思うならば、能力を伸ばすよりも、コネを作るために時間を使ったほうが有利なのではないかと思います。TOEICのスコアを伸ばしたり、資格を取得したりと能力を高めるのはもちろん大事です。しかし、スコアや資格よりも強力な武器があるならば、それを放って置くわけにはいかない。

コネのある人とない人を例えるならば、大阪から東京へ移動するためにバイクを使う人と新幹線を使う人ぐらいの違いがあります。コネのある人は新幹線に乗れるがコネのない人はバイクでグネグネとした道路を走って行かないといけない。

コネを汚いと思うのではなく、それを何か有益に活用できないかと考えてみるとイイことがあるかもしれませんね。

山口正博 社会保険労務士事務所
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