book540(高校生の戸籍証明書は戸籍抄本?)



■「戸籍証明書」とは何か。



アルバイトとして高校生を採用するときには、戸籍証明書を事業所に備え付ける必要がありますよね。これは、労働基準法57条1項に書かれているルールです。

ただ、条文には「戸籍証明書」という文言が用いられており、現実には戸籍証明書という書類はありまんせん。市役所などの役場で発行できるのは、戸籍証明書ではなく、戸籍謄本(現在では全部事項証明書という名称を使っている)や戸籍抄本(現在では個人事項証明書という名称を使っている)です。

となると、戸籍証明書とは何なのかが疑問を抱くところです。

素直に考えると、戸籍証明書がないならば、戸籍謄本か戸籍抄本を備え付ければいいのだろうと判断するはず。確かに、戸籍謄本や戸籍抄本は戸籍を証明する書類ですから、戸籍証明書として使えます。それゆえ、労働基準法57条1項の戸籍証明書としても使えます。

現実にも、「戸籍証明書」というと、戸籍謄本や戸籍抄本を思い浮かべる人もいるかも知れない。実際に高校生に戸籍抄本を出してもらっている会社もあるかもしれない。


では、戸籍謄本や戸籍抄本のような公文書を備え付けるべきなのか。それとも、もっと身近な身分証明書で足りるのか。







■公文書である必要はない。



実務では、そこまで公的な証明書でもって戸籍情報を把握することは不要です。おそらく、高校生を採用するときは、学生証のコピーを備え付けているのではないでしょうか。

私の経験でも、高校生の頃は学生証のコピーを出していました。出していたというよりも、学生証を持って行って会社や事業所でコピーしていましたね。顔写真が貼りつけられ、学校名や名前、生年月日、年齢が記載された面を複写するわけです。余談ですけれども、学生証は、顔写真を貼った部分に、凹凸の形が残る印(エンボス http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B9)を押して、正規の証明書であることを担保しているんですね。

労働基準法57条1項は、年齢を確認するのが目的です。労働基準法では高校生を年少者として取り扱う必要があるので、何らかの方法で本人の年齢を確認する必要があります。通常の労働者とは違って、年少者は22時以降は勤務できませんし、休日労働もできないので、キチンと年齢を把握して、相応の取り扱いをしないといけない。

年齢の確認には、学生証以外にも、免許証(高校生なので、原付か普通自動二輪免許)、住民基本台帳カード、保険証などがある。どれでも使えるでしょうが、「高校生は学生証」というイメージが一般的でしょうか。行政通達では、年少者の年齢確認は、「一般に必要とされる程度の注意義務を尽くせば足りる」と判断しているようですので、年齢を必ずしも公文書で確認する必要はないのですね。


私の経験ですが、高校生の頃、何の証明書も出さずに採用されたところもありました。書類は履歴書だけで、あとは軽い面接で採用され、「いつから来れる?」という流れ。学生証のコピーを取ることもなく、何とも簡単な手続きでした。中には、証明書だけでなく、履歴書も出さずに採用されたこともありましたね。


高校生のアルバイトを採用するときは、戸籍抄本までは要りませんが、キチンと学生証のコピーは作っておいてください。

山口正博 社会保険労務士事務所
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