book538(変形労働時間制度の協定が無効になったら)






■従業員代表がキチンと選任されているか。



協定書の類(労使協定、変形労働時間制度の協定書など)を作成するときは、従業員代表を選出し、選出方法や労働者を代表する人物の職名や氏名を記載するかと思います。

36協定であれ、変形労働時間制度の協定であれ、使用者と労働者が合意した内容を決めるわけですから、労働者の代表を選任するのは当然と言えば当然ではあります。

ただ、協定を締結するときに労働者の代表を選任するとして、その選任方法によっては協定の効果を否定される可能性があるのではないかという疑問があります。


例えば、36協定を締結する際に、労働者の代表を選任する方法に好ましくない点があって、36協定の効果を否定されたらどうなるでしょうか。

他にも、変形労働時間制度を導入する際の代表労働者の選任に不具合があったとして、変形効果を否定されたらどうなるか。





■変形効果がなければ、1日8時間、1週40時間に戻る。




労働者の代表をきちんと選任していないときは協定の内容が無効化されるとすると、36協定や変形労働時間制度によって期待された効果が得られない。

もし36協定が無効になると考えると、時間外の労働や休日の労働が違法なものになってしまうわけです。時間外労働と休日労働は36協定によって違法性を除去されているのですから、その除去効果が消えてしまうと違法性が残ってしまう。

「割増賃金をキチンと払っていれば、36協定が無効になっても大丈夫なんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、賃金上はそれで良いとしても、36協定が無いと労働時間の限度が分からなくなるので、これではイカンわけです。


他方で、変形労働時間制度の協定が無効になれば、今まで変形制度を前提に勤務シフトを組んでいたものが1日8時間、1週40時間の枠に引き戻されるのですから、1日9時間や11時間、1週43時間や47時間という勤務内容だと残業代が必要になります。

もし、変形労働時間制度の協定内容が否定されれば、想定していない未払い残業代が発生することもあり得る。未払い残業代を引き出すポイントとして、従業員代表が正しく選任されていたか、1日8時間を超える日と1週40時間を超える日を事前に決めてシフトを運用していたか、事前に決めたシフトを後から変更していないか。この3点をチェックして、不備があれば変形効果を否定し、残業代が出てくる可能性がある。


従業員代表の選任はキチンと挙手や投票で選ぶ必要があって、会社側がポンと選んだ人では、あとから協定内容をひっくり返される可能性があるかもしれない。

「わざわざ挙手や投票などと大袈裟な手続きをしなくてもいいんじゃないの?」と侮らずに手続きをしてください。後から協定内容を無効にされるよりも少ない負担でできることですからね。


山口正博 社会保険労務士事務所
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