book534(2つの残業。)





■残業には二種類の残業がある。



労働基準法で法定時間外労働という言葉を使うとき、それはいわゆる「残業」を意味しますよね。日常会話では、法定時間外労働という言葉よりも残業という言葉のほうが認知されていますし馴染みがあります。

会社によっては、残業するときには、上司の人に連絡したり、許可を得る必要があるかもしれない。もしくは、残業の申請をする書類を作成する必要があるところもあるかもしれませんね。

ところで、この残業という言葉ですが、2つの種類があることはご存知でしょうか。「残業は残業でしょう? 1つだけなんじゃないの?」と思うかもしれません。

残業という言葉を使うとき、法定労働時間の枠を超えたから残業なのか、それとも、所定時間を超えたから残業なのかによって、残業という言葉を2つに分けることができます。つまり、1日8時間、1週40時間の枠を超えたから残業なのか。それとも、会社が決めた所定労働時間(例えば、1日7時間30分など)を超えたから残業なのかという違いです。

もし、残業の届出をする必要がある環境に自分がいるとしたら、上記の2つのうちどちらの場合に残業の届出をするのでしょうか。

法定労働時間の枠を超えた時のみ届け出るのでしょうか。それとも、所定労働時間を超えた時も届出をするのでしょうか。









■法定外のみ届け出るのか。それとも、所定外の残業も届け出るのか。



先に書いておくと、残業をするときに届出は必須ではありません。届出の手続きを設けずに残業は可能ですし、割増賃金の支払いも可能です。

届出の手続きが必要な会社では、法定労働時間を超えた時間のみを残業として扱っているところもあれば、所定労働時間を超えた時間も残業として扱っているところもあるはず。

ちなみに、法定労働時間は所定労働時間を包摂していますので、法定労働時間と所定労働時間の関係は、「法定労働時間 ≧ 所定労働時間」となります。ゆえに、所定労働時間を超えた時間を残業として扱っている場合は、必然的に法定労働時間を超えた時間も残業として扱っていると考えることができます。しかし、法定労働時間を超えた時間のみを残業として扱っている場合は、必ずしも所定労働時間を超えた時間を残業として扱っているとは限りません。

それゆえ、残業届の手続きも、2つに分かれるのではないでしょうか。私が以前に社員として経験したことがある届出手続きは、法定労働時間を超えても所定労働時間を超えても残業として扱うものでした。ただし、所定労働時間を超えているが、法定労働時間は超えていない場合には割増賃金は無しでした。

所定労働時間を超えた時間に対しても割増賃金を支払う会社がありますが、この点も2つに分かれますよね。法定労働時間を超えた時間に割増賃金を用意するパターンと、所定労働時間を超えた時間から割増賃金の支払い対象にするパターンです。


残業という点では同じであっても、届出手続きや割増賃金の扱いで違いがあるのですね。

山口正博 社会保険労務士事務所
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