book527(代休の代わりに有給休暇を充当して相殺)





■同じ休みであるという共通点がある。



ご存知のように、法定休日に出勤して、後日に休みを取得することを代休といいます(事前に出勤日と休日を振り替えていないと考える)。

代休日はもちろん仕事がなくなり休みになるわけですが、このとき、代休ではなく有給休暇を充当することで代休を取得したことと同じにできるのかが疑問を抱くところです。つまり、単純な休日ではなく、有給休暇を利用することで賃金付きの休日に変えることができるので都合がいいだろうという意図ですね。

確かに、代休と有給休暇は「休み」という点では共通しています。それゆえ、代休であろうと有給休暇であろうと、どちらを利用しても差し支えないだろうと思えるわけです。

しかし、そう簡単に処理ができるものでしょうか。パッと考えると、「あぁ、それでもいいんじゃないか」と思えてしまうのですが、ちょっと違和感を残しているようにも感じますね。






■法定休日が消滅してしまう。



代休の休みと有給休暇の休みは違うものです。

休日労働の代わりに休みが発生するのが代休であり、休暇の取得権に基づいて休みが発生するのが有給休暇です。つまり、休日の発生根拠が違います。

「確かに、休日が発生する根拠は違うかもしれないけれども、同じ休みの日なのだから代休を有給休暇に変えてもいいんじゃないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれない。休みという共通点に意識が向くと、どうしてもこのように思えてしまいますよね。

代休の元をたどると、それは法定休日なのです。つまり、「代休=法定休日の日程が他の日にシフトしたもの」であって、実質は代休は法定休日なのですね。それゆえ、もしそれを有給休暇に変えてしまうと、法定休日を消滅させる効果が発生する可能性があります。実質的に法定休日である代休を有給休暇に変えてしまうと、法定休日はどこにいってしまうのでしょうか。ここが問題の焦点です。

「同じ休みなのだから、代休も有給休暇も一緒だ」と考えてしまうと、処理の仕方によっては法定休日がどこかにいってしまうかもしれない。それゆえ、代休を有給休暇で代替してはいけないのですね。


ただし、法定外休日を代休処理したときには、代休に有給休暇を充当する可能性はあるかもしれない。

本来は、「代休=法定休日に勤務した代わりの休日」なのですが、法定外休日を代休処理する場面もあり得る。例えば、土日が休日で、土曜日が法定外休日で、日曜日が法定休日として固定されているとする。この場合、土曜日に出勤し後日に代休を取得した(日曜日は通常通り休日だったと仮定する)とすると、この代休は法定休日ではありませんね。それゆえ、この代休を有給休暇に切り替えたとしても法定休日は消滅しない。この手順ならば、代休を有給休暇に変える可能性があり得るかもしれない。

法定外休日は休日でも出勤日でも構わない日であって、休日にすることもできるし、勤務日にすることもできる。法的には週1日の休日があれば足りるので、それを超える休日を設けるかどうかは企業次第です。週休2日でもいいし、隔週で週休2日でもいい。さらには、週休1日で運用しても構わない。

ただ、事前に「土曜日、日曜日は休日」というように就業規則や雇用契約にてあらかじめ休日である日を決めているとすると、法定外休日であってもホイソレとそれを勤務日に変えてしまうわけにはいかない。


代休は代休。有給休暇は有給休暇。それぞれキチンと区別して取り扱うのが良いですね。妙にテクニカルなことをやろうとすると、思わぬ副作用が発生することもありますので、注意が必要です。



山口正博 社会保険労務士事務所
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