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電力の使用を分散するために深夜労働規制を緩和

節電




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電力使用を分散するために深夜規制を緩和。
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電力需要を分散させるために深夜に操業する。

2ヶ月前ぐらいだったか、経団連が「深夜時間の規制を緩和せよ」と要望していた。電力の供給力が需要に追いつかない可能性があるので、深夜時間帯にも操業できるようにするのが目的のようです。

昼間から夜間に仕事を分散させて、電力の使用も分散させる。それにより、電力の供給ラインを上回らないようにする。そのために、昼から深夜時間帯(22時から翌日5時までの間)に仕事を分散させたいと思うところですが、深夜時間に仕事をするとなると割増手当が必要であり、この点を回避したいと考える企業も出てくるはず。


法的な深夜時間帯は、22時から翌日の5時までに設定されていますが、もしこの設定を緩和するとすれば、どのように緩和するのかが問題となります。

さらに、東日本限定で深夜規制を緩和したいという要望もあるようで、この点も問題に含まれることになる。




時間量ではなく、時間帯がロックされている。

もし、東日本限定で深夜規制を緩和するとなるとどうなるか。

震災は東日本で起こったのだから、東日本に限定して深夜規制を緩和するのは妥当ではあります。しかし、地域限定で規制を緩和することができるかどうがが疑問です。

例えば、福島では規制が緩和されるが、新潟ではそのままだとすると、深夜時間帯は福島で集中的に操業し、それ以外の時間帯は新潟で操業するという選択もできる(余談ですが、大辞泉では、新潟は東北地方ではなく中部地方に含まれるようです。地方の定義は幾つかあるようですが、ちなみに私は新潟は東北地方だと思っています。)。他にも、関東と中部地方の境目ならばどうなるのか。静岡と神奈川で深夜規制の対応が異なるとどうか。

ちょっと離れているだけで、深夜規制が緩和されているか否かが分かれてしまう。もし、深夜規制を緩和することが企業にとって有利な条件ならば、関東以外の地域から関東に仕事を移動させるかもしれない。とは言え、割増手当程度ではそこまで大掛かりな移動は起こらないかもしれないが、ちょっとした法律の抜け穴として使われる可能性はあるかもしれない。

もし、深夜規制を緩和するならば、全国でやらないといけなくなると思います。もちろん、法改正も必要でしょうから、時間も要する。果たして、そこまでして深夜規制を緩和するべきかどうか。


また、労働基準法の深夜時間は、時間帯がロックされているので融通がきかない。22時から翌日5時に時間帯が決まっているので、この時間帯に仕事をすると全て深夜時間勤務になる。22時から23時までの1時間であっても、3時から5時までの2時間であっても、どちらも深夜勤務になる。

一方で、時間外勤務ならば、1日8時間・1週40時間という時間量規制なので融通が効く。1日8時間・1週40時間の枠内ならば、どの時間帯でも差し支えありません。

時間外勤務は「時間"量"規制」であり、深夜勤務は「時間"帯"規制」であるという点で異なります。それゆえ。時間外勤務では時間の組み換えができますが、深夜勤務は時間の組み換えができないのですね。

ご存知のように、変形労働時間制度は、法定労働時間の枠を融通する仕組みです。なぜ、変形労働時間制度が運用できるかというと、時間外勤務は時間量規制であり時間帯規制ではないので、1日8時間・1週40時間の枠を組み替えることができるからです。1週目は34時間勤務で、2週目は42時間勤務、3週目は44時間勤務というように、法定労働時間の枠を組み変えられるのです。

一方で、「変形深夜労働時間制度」というものはありません。なぜないかというと、深夜時間は時間帯規制なので、22時から翌日5時までの深夜時間枠を組み替えることができないからです。もし、深夜労働時間を変形したとしても、「3時から5時までの2時間を、7時から9時までの2時間に変形させて、この2時間が深夜時間です」と言うのはヘンです。


よって、もし深夜規制を緩和するというならば、方法は2つあります。

1,深夜時間枠を短縮する。
(現行では22時から翌日5時までなので、例えば0時から5時までとか、22時から翌日3時までに時間帯を変更する)

2,割増手当の割増率を下げる。
(現行では25%なので、15%や10%にする)


上記2つのうちどちらか、もしくは両方を選択すれば深夜規制を緩和できます。


ただし、上記のどちらも地域を限定して実施するのは困難だと思います。

先ほど書いたように、場所を移動できるという点がありますし、深夜時間の枠を短縮したり、割増率を変更するには法改正が必要です。また、もし法改正をするとなると、改正の効力は全国に及び、東日本に限定するという目的は達成できません。

よって、深夜規制を緩和するという選択肢は選べないと考えるべきです。




本当に節電は必要なのか。

節電は電気の使用ピークを分散させるのが目的なのですから、「平日」と「昼間」を回避すれば目的は達成できる方向に向かうはず。

深夜時間帯は22時から翌日5時ですから、それ以外の時間帯は深夜時間ではない。ならば、5時から22時までの間で仕事を分散させるのが良いのではないかと思う。

電力が最も利用されるのは9時頃から18時頃までだから、5時から9時までの時間帯、18時から22までの時間帯に昼間の仕事を分散させるのはどうか。通常の勤務時間帯は、9時頃から18時頃なので、余った枠である18時-22時、5時-9時を利用すれば、深夜を避けて操業できるのではないでしょうか。


3月か4月頃に計画停電が実施されたが、もしかして計画停電しなくても対応できたのではと思うこともある。私は関西に住んでいるので、その頃の計画停電は経験していないけれども、あの計画停電はしなくてもよかったんじゃないか。

ただ、節電することが今後必須になることを東京電力が見越して、あえて電力が不足気味であることを心理的に摺り込む目的で計画停電を実施したとも思えないこともない。「計画停電するほどなのだから、電力は確かに不足しているのだろう。だから、キチンと節電しよう」と思ってしまう人も多いのではないか。それゆえ、節電で対処できる場面であっても、あえて計画停電を実施し、その後の節電行動を起こしやすい地合いを事前に構築したのではないかと考えることもできる。先に難しい課題を課して、後からより簡単な課題を課せば、相手はより心理的に楽な状態で課題に取り組むという流れです。

もし、計画停電をせずに節電だけを実施していれば、今のようにキッチリと節電することはなかったかもしれない。やはり、節電を確実にするための計画停電だったのだと私は思う。


節電をお願いするとき、「節電してください。そうしないと大規模停電になりますよ」と注意を促されますが、大規模停電を経験した人はどれくらいいるのでしょうか。電力の供給では、何かが起こるのが異常で、何も起こらないのが普通ですから、どうしても何も起こらない方へ心理的なバイアスがかかる。「普段から何も起こらないので、今後も何も起こらないだろう」というのがそのバイアスです。言うなれば、「安心バイアス」です。Yahoo!JAPANのトップページで、電力使用状況を見ても、80%を超えることはほとんどない。74%とか78%程度で毎日推移しているので、「あぁ、大丈夫なんじゃないの?」と思えてしまう。これも安心バイアスだと思う。


もし、電力の需要が供給ラインを超えたら何が起こるのか。大規模停電が起こるというけれども、私は経験したことがないので想像が出来ない。ただ、生活の電力への依存度は高いと思う。パソコンが無ければメルマガは書けないし、ウェブサイトも閲覧できない。携帯電話や電子端末も充電できないし、テレビも使えない。最近では、オール電化という流行りもあるようで、電気が遮断されると生活が遮断される人もいるのではないだろうか。


停電で自分が乗っているエレベーターが急に止まるのは結構な恐怖だと思う。エレベーターは限りなく密室だし、電気が供給されなければおそらく空調もストップするはず。緊急連絡ボタン(階層ボタンの近くに配置されている黄色いボタン)も使えるかどうか分からない。別電源で作動するかもしれないが、使ったことが無いので分からない。携帯電話で連絡できるかもしれないが、もしその時に携帯電話を持っていなかったらどうなるのか。真夏のエレベーターが停止することほど怖いものはないと思う。起こる可能性は低いのかもしれないが、想像するとやはり怖い。まさか、天井の上蓋を外して移動するなどと映画のようなことはできそうにもない。天井から脱出して、もし突然エレベーターが動き出したらどうなるやら。



電力の最大供給量と需要予想を摺りあわせてニュースで電力供給について話されるが、最大供給力は本当にあれで最大供給なのだろうか。4,760万kwが最大供給量と言われても、「もしかして、本当は5,400万kwぐらいはイケるんじゃないの?」と思うこともある。あえて少なめに最大供給量を示しておいて、ちょっと余裕を持たせていると私は思う。とは言っても、それほど大きな余裕ではないかもしれないが、ニュースで示されている最大供給量は何か嘘くさい。最大供給量を先に計算しているのではなく、需要予測を基準にその基準を首の皮一枚上回る程度に最大供給量を決めているのではないだろうか。ここでも、「本当は大丈夫だけれども、念の為に節電してもらう」という狙いではないかと私は思う。計画停電の時と同じで、意図的に電力不足を示しておいて、需要が盛り上がり過ぎないように予防的に牽制しているのではないか。もしそうならば、よく考えてやっているなぁと思う。あえてネガティブな供給力を示し、確実に電気を供給する地合いをキチンと作っているわけだ。

 

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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