2011/10/3【電力使用を分散するために深夜規制を緩和。】



┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■┃  メールマガジン 本では読めない労務管理の"ミソ"
□□┃  山口社会保険労務士事務所 http://www.growthwk.com?utm_source=mailmagazine&utm_medium=melArchive&utm_campaign=mailmagazineArchive20111109_20110206
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2011/10/3号 no.269)━



夏になると「熱中症」という言葉がテレビでも雑誌でも新聞でも現れるが、あの「熱中症」という言葉、以前は「熱射病」という表現を用いていたのではなかったのか。

「あんまり暑い所で遊んでたら、熱射病になるでぇ」と小さい頃に言われた記憶がある。それが最近では熱中症という言葉が使われる。

ちなみに、辞書では、熱中症は「高温度下で労働や運動をしたために起こる熱射病。脱水•けいれん•虚脱などが現れる」と定義され、熱射病は「高温多湿な環境下に長時間いたときなどに、身体の熱の放散が困難となり、体温が上がりすぎて起こる病気。不快•頻脈•頭痛•意識障害などが現れる」と定義されている。

医療知識に精通している人ならば、両者をキチンと区別できるのかもしれないが、素人には一緒に思える。

小学校や中学校のとき、朝礼中に倒れる人がいたけれども、あれは熱射病なのか、それとも熱中症なのか。いやはや不明だ。


似たような例で、リスニングとヒアリングも、あるとき突然にヒアリングからリスニングにシフトした。

今では、英語の聞き取りはリスニングだと認知されているが、15年ぐらい前はヒアリングという名称が一般的だった。私が中学生の頃は、英語の時間に先生がカセットテープをラジカセで再生し、ヒアリングの練習をしていた。もはやカセットテープなど化石のようなものかもしれないが、以前はそんな環境だった。

なぜヒアリングは突如としてリスニングに変わったのか。文部科学省の指導要綱で文言が変更されたとか、高校入試や大学入試で表現を変え始めたのか。理由は定かではないが、不思議だ。







◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電力使用を分散するために深夜規制を緩和。
◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





電力需要を分散させるために深夜に操業する。


2ヶ月前ぐらいだったか、経団連が「深夜時間の規制を緩和せよ」と要望していた。電力の供給力が需要に追いつかない可能性があるので、深夜時間帯にも操業できるようにするのが目的のようです。

昼間から夜間に仕事を分散させて、電力の使用も分散させる。それにより、電力の供給ラインを上回らないようにする。そのために、昼から深夜時間帯(22時から翌日5時までの間)に仕事を分散させたいと思うところですが、深夜時間に仕事をするとなると割増手当が必要であり、この点を回避したいと考える企業も出てくるはず。


法的な深夜時間帯は、22時から翌日の5時までに設定されていますが、もしこの設定を緩和するとすれば、どのように緩和するのかが問題となります。

さらに、東日本限定で深夜規制を緩和したいという要望もあるようで、この点も問題に含まれることになる。







時間量ではなく、時間帯がロックされている。


もし、東日本限定で深夜規制を緩和するとなるとどうなるか。

震災は東日本で起こったのだから、東日本に限定して深夜規制を緩和するのは妥当ではあります。しかし、地域限定で規制を緩和することができるかどうがが疑問です。

例えば、福島では規制が緩和されるが、新潟ではそのままだとすると、深夜時間帯は福島で集中的に操業し、それ以外の時間帯は新潟で操業するという選択もできる(余談ですが、大辞泉では、新潟は東北地方ではなく中部地方に含まれるようです。地方の定義は幾つかあるようですが、ちなみに私は新潟は東北地方だと思っています。)。他にも、関東と中部地方の境目ならばどうなるのか。静岡と神奈川で深夜規制の対応が異なるとどうか。

ちょっと離れているだけで、深夜規制が緩和されているか否かが分かれてしまう。もし、深夜規制を緩和することが企業にとって有利な条件ならば、関東以外の地域から関東に仕事を移動させるかもしれない。とは言え、割増手当程度ではそこまで大掛かりな移動は起こらないかもしれないが、ちょっとした法律の抜け穴として使われる可能性はあるかもしれない。

もし、深夜規制を緩和するならば、全国でやらないといけなくなると思います。もちろん、法改正も必要でしょうから、時間も要する。果たして、そこまでして深夜規制を緩和するべきかどうか。


また、労働基準法の深夜時間は、時間帯がロックされているので融通がきかない。22時から翌日5時に時間帯が決まっているので、この時間帯に仕事をすると全て深夜時間勤務になる。22時から23時までの1時間であっても、3時から5時までの2時間であっても、どちらも深夜勤務になる。

一方で、時間外勤務ならば、1日8時間・1週40時間という時間量規制なので融通が効く。1日8時間・1週40時間の枠内ならば、どの時間帯でも差し支えありません。

時間外勤務は「時間"量"規制」であり、深夜勤務は「時間"帯"規制」であるという点で異なります。それゆえ。時間外勤務では時間の組み換えができますが、深夜勤務は時間の組み換えができないのですね。

ご存知のように、変形労働時間制度は、法定労働時間の枠を融通する仕組みです。なぜ、変形労働時間制度が運用できるかというと、時間外勤務は時間量規制であり時間帯規制ではないので、1日8時間・1週40時間の枠を組み替えることができるからです。1週目は34時間勤務で、2週目は42時間勤務、3週目は44時間勤務というように、法定労働時間の枠を組み変えられるのです。

一方で、「変形深夜労働時間制度」というものはありません。なぜないかというと、深夜時間は時間帯規制なので、22時から翌日5時までの深夜時間枠を組み替えることができないからです。もし、深夜労働時間を変形したとしても、「3時から5時までの2時間を、7時から9時までの2時間に変形させて、この2時間が深夜時間です」と言うのはヘンです。


よって、もし深夜規制を緩和するというならば、方法は2つあります。

1,深夜時間枠を短縮する。
(現行では22時から翌日5時までなので、例えば0時から5時までとか、22時から翌日3時までに時間帯を変更する)

2,割増手当の割増率を下げる。
(現行では25%なので、15%や10%にする)


上記2つのうちどちらか、もしくは両方を選択すれば深夜規制を緩和できます。


ただし、上記のどちらも地域を限定して実施するのは困難だと思います。

先ほど書いたように、場所を移動できるという点がありますし、深夜時間の枠を短縮したり、割増率を変更するには法改正が必要です。また、もし法改正をするとなると、改正の効力は全国に及び、東日本に限定するという目的は達成できません。

よって、深夜規制を緩和するという選択肢は選べないと考えるべきです。







本当に節電は必要なのか。


節電は電気の使用ピークを分散させるのが目的なのですから、「平日」と「昼間」を回避すれば目的は達成できる方向に向かうはず。

深夜時間帯は22時から翌日5時ですから、それ以外の時間帯は深夜時間ではない。ならば、5時から22時までの間で仕事を分散させるのが良いのではないかと思う。

電力が最も利用されるのは9時頃から18時頃までだから、5時から9時までの時間帯、18時から22までの時間帯に昼間の仕事を分散させるのはどうか。通常の勤務時間帯は、9時頃から18時頃なので、余った枠である18時-22時、5時-9時を利用すれば、深夜を避けて操業できるのではないでしょうか。


3月か4月頃に計画停電が実施されたが、もしかして計画停電しなくても対応できたのではと思うこともある。私は関西に住んでいるので、その頃の計画停電は経験していないけれども、あの計画停電はしなくてもよかったんじゃないか。

ただ、節電することが今後必須になることを東京電力が見越して、あえて電力が不足気味であることを心理的に摺り込む目的で計画停電を実施したとも思えないこともない。「計画停電するほどなのだから、電力は確かに不足しているのだろう。だから、キチンと節電しよう」と思ってしまう人も多いのではないか。それゆえ、節電で対処できる場面であっても、あえて計画停電を実施し、その後の節電行動を起こしやすい地合いを事前に構築したのではないかと考えることもできる。先に難しい課題を課して、後からより簡単な課題を課せば、相手はより心理的に楽な状態で課題に取り組むという流れです。

もし、計画停電をせずに節電だけを実施していれば、今のようにキッチリと節電することはなかったかもしれない。やはり、節電を確実にするための計画停電だったのだと私は思う。


節電をお願いするとき、「節電してください。そうしないと大規模停電になりますよ」と注意を促されますが、大規模停電を経験した人はどれくらいいるのでしょうか。電力の供給では、何かが起こるのが異常で、何も起こらないのが普通ですから、どうしても何も起こらない方へ心理的なバイアスがかかる。「普段から何も起こらないので、今後も何も起こらないだろう」というのがそのバイアスです。言うなれば、「安心バイアス」です。Yahoo!JAPANのトップページで、電力使用状況を見ても、80%を超えることはほとんどない。74%とか78%程度で毎日推移しているので、「あぁ、大丈夫なんじゃないの?」と思えてしまう。これも安心バイアスだと思う。


もし、電力の需要が供給ラインを超えたら何が起こるのか。大規模停電が起こるというけれども、私は経験したことがないので想像が出来ない。ただ、生活の電力への依存度は高いと思う。パソコンが無ければメルマガは書けないし、ウェブサイトも閲覧できない。携帯電話や電子端末も充電できないし、テレビも使えない。最近では、オール電化という流行りもあるようで、電気が遮断されると生活が遮断される人もいるのではないだろうか。


停電で自分が乗っているエレベーターが急に止まるのは結構な恐怖だと思う。エレベーターは限りなく密室だし、電気が供給されなければおそらく空調もストップするはず。緊急連絡ボタン(階層ボタンの近くに配置されている黄色いボタン)も使えるかどうか分からない。別電源で作動するかもしれないが、使ったことが無いので分からない。携帯電話で連絡できるかもしれないが、もしその時に携帯電話を持っていなかったらどうなるのか。真夏のエレベーターが停止することほど怖いものはないと思う。起こる可能性は低いのかもしれないが、想像するとやはり怖い。まさか、天井の上蓋を外して移動するなどと映画のようなことはできそうにもない。天井から脱出して、もし突然エレベーターが動き出したらどうなるやら。



電力の最大供給量と需要予想を摺りあわせてニュースで電力供給について話されるが、最大供給力は本当にあれで最大供給なのだろうか。4,760万kwが最大供給量と言われても、「もしかして、本当は5,400万kwぐらいはイケるんじゃないの?」と思うこともある。あえて少なめに最大供給量を示しておいて、ちょっと余裕を持たせていると私は思う。とは言っても、それほど大きな余裕ではないかもしれないが、ニュースで示されている最大供給量は何か嘘くさい。最大供給量を先に計算しているのではなく、需要予測を基準にその基準を首の皮一枚上回る程度に最大供給量を決めているのではないだろうか。ここでも、「本当は大丈夫だけれども、念の為に節電してもらう」という狙いではないかと私は思う。計画停電の時と同じで、意図的に電力不足を示しておいて、需要が盛り上がり過ぎないように予防的に牽制しているのではないか。もしそうならば、よく考えてやっているなぁと思う。あえてネガティブな供給力を示し、確実に電気を供給する地合いをキチンと作っているわけだ。





今回も、メルマガ「本では読めない労務管理の"ミソ"」を
お読みいただき、ありがとうございます。

次回もお楽しみに。

メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。

労務管理のヒント

http://www.growthwk.com/entry/2014/04/07/135618?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_2

ニュース

http://www.growthwk.com/entry/2014/03/12/082406?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_3


┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ┃本では読めない労務管理の"ミソ"山口社会保険労務士事務所 発行
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┃メルマガの配信先アドレスの変更は
http://www.growthwk.com/entry/2008/11/28/122853?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_4

┃メルマガのバックナンバーはこちら
http://www.growthwk.com/entry/2008/07/07/132329?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_5

┃メルマガの配信停止はこちらから
http://www.growthwk.com/entry/2008/06/18/104816?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_6


┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*

┃労務管理のヒント
http://www.growthwk.com/entry/2014/04/07/135618?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_7
┃仕事の現場で起こり得る労務の疑問を題材にしたコラムです。

┃ニュース
http://www.growthwk.com/entry/2014/03/12/082406?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_8
┃時事ニュースから労務管理に関連するテーマをピックアップし、解説やコメントをしています。

┃メニューがないお店。就業規則が無い会社。
http://www.growthwk.com/entry/2007/11/01/161540?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_9

┃山口社会保険労務士事務所 
http://www.growthwk.com?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_10

┃ブログ
http://blog.ymsro.com/?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_11

┃『残業管理のアメと罠』
┃毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、
┃月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、
┃平均して8時間勤務というわけにはいかない。
┃しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=mailmagazine&utm_medium=cm&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_12

┃電子タイムカード Clockperiod
┃始業や終業、時間外勤務や休日勤務の出勤時間を自動的に集計。
┃できれば勤怠集計の作業は随分とラクになるはず。Clockperiodは、
┃出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカードや出勤簿で
┃勤務時間を管理している企業にオススメです。
https://www.clockperiod.com/Features?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_13


┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved

┃新規配信のご登録はこちらから
┃(このメールを転送するだけでこのメルマガを紹介できます)
http://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_15

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所