2011/8/26【年功序列をヤメないにはワケがある。】



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つい最近、鳥の巣について書かれた本を読んだ。鳥の巣というのはあの鳥の巣であって、鳥が産卵して子供を育てる場所として使われるもの。本の名前は、「日本の鳥の巣図鑑 全259」(鈴木まもる著)。鳥の巣について書かれているのだから、写真が多い本だろうと思いきや、実際は写真は1枚も掲載されておらず、表紙に少し使われている程度です。

読んでいると、鳥の巣を作るときには蜘蛛の糸を使うようで、蜘蛛の糸を調達してきて、その糸で小さな木の枝をくくりつけ巣を建設していくわけです。つまり、蜘蛛の糸をロープのように使い、枝と枝を固定するんですね。しかも、鳥は足を自分の体を固定するために使うので、作業に使えるのはクチバシだけなので、大したもの。人間なんて、手も足も頭も使って、さらには工具や重機まで使って家を建設するわけですから、クチバシで巣を作ってしまう鳥は凄いのです。

この本を読むまでは、枝をうまく噛みあわせて巣を組み立てているのではないかと思っていた。小枝を一本一本探してきて、交差させたり積み重ねたりして、キレイに丸型の巣を作っているのかなと想像していた。

しかし、冷静に考えれば、単純に枝を組み合わせるだけであんなにキレイな巣を作れるわけがない。では、なぜあれほどキレイに枝を組み合わせているのか。その謎について書かれているのが上記の本だった。木の上に作るのが鳥の巣かと思いきや、崖に作ったり、木を掘ってその中を巣にしたりする鳥もいる。

蜘蛛の糸は人間にとっては厄介なもので、草木が入り組んだちょっと狭い道を通ると顔に絡んできて鬱陶しいものだが、鳥の巣の建設材料として使われていると思うと、あながち邪険に扱うわけにもいかない。蜘蛛がいなければ鳥は巣作りができないかもしれないと思うと、蜘蛛まで愛おしく思えてくる。








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年功序列をヤメないにはワケがある。
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慣習のような法律のような仕組み。


年功序列という言葉は、辞書では「勤続年数や年齢が増すに従って地位や賃金が上がること」と定義されている。辞書の定義に従えば、「勤続年数や年齢」と「地位や賃金」をリンクさせるのが年功序列なのだと思う。

年功序列には大きく分けて2つのパターンがある。1つ目は、年齢が高くなりや勤続年数が長くなると、仕事の経験や知識が増す。そのため、結果的に年齢の高い人の評価が高くなるパターン(「結果的な年功序列」と表現できる)。2つ目は、26歳だとこの役職、33歳だとこの役職、37歳ならばこの役職、というように、あたかも割り当てられるように地位が配置されるパターン(「非結果的な年功序列」と表現できる)。

おそらく、前者は肯定され、後者は否定される傾向にあると思う。しかし、後者は否定される傾向にあるといっても、実際にはよくあるパターンではないだろうか。年齢別に基本給や役職を事前に設定しておくと便利ではある。例えば、何歳から何歳までならばこの役職とこの賃金水準というように決めておけば、その決めた枠に当てはめて人事評価をすることができるので、どのような基準を設けるか、誰が評価するのかを考える必要がない。つまり、年齢を利用して評価すれば、人事評価で最も厄介なポイントを回避できるわけだ。


ちなみに、年功序列で人事評価せよというルールがあるわけではない。労働関連の法律にはその点について書かれていないし、就業規則や雇用契約書、もしくは労働協約で「年功序列」というキーワードが含まれていることもないはず。しかし、ルール化されていないけれども、あたかもルール化されているかのように根付いている。それが年功序列という仕組み。





続けるにはワケがあるはず。


何かを続けるには何らかの理由があるはず。例えば、ある本を読み続けるのは、その本が面白いとか、その本の内容を学ぶ必要があるとか、あるいは単に読みたいから読んでいるという可能性だってある。銭湯に通い続けるのは、家風呂がないからかもしれないし、狭い家風呂がイヤなので銭湯に通っているのかもしれない。

年功序列が話題になると、ほぼ否定的な方向に話が進む。「賃金水準の高い中高年が残り、新しい若年者が組織に入ってこない」とか、「組織の新陳代謝を阻む」とか、「社員のヤル気を削ぐ」などの理由がよく挙げられる。しかし、否定的な主張がなされているにもかかわらず、年功序列の仕組みはなくならない。となると、年功序列の仕組みは、企業にとって何らかの利点があるはずだと思わざるをえない。もし不都合な仕組みならば、すでに放棄されているはず。にもかかわらず、年齢で人事評価は実施されている。


まず考えられるのは、指揮命令系統を維持するためという理由がある。

年下の人が年上の人よりも評価が高くなると関係がギクシャクするので、年齢が上の人を高く評価するというもの。確かに、年下の上司と年上の部下という関係になると、お互いに気を使って、どちらかが退職したりすることもあるかもしれない。また、年上の人の指示ならば従いやすいが、年下の人の指示だだと反発する気持ちを持つ人もいるのではないだろうか。

そのため、年上の上司と年下の部下という状態を作り出し、指揮命令系統を維持する役割をになっているのが年功評価なのかもしれない。先ほど書いたように、結果的な年功序列として年上の上司と年下の部下という状態が作られているならばおそらく物議を醸すことはないが、非結果的な年功序列が原因だとすると納得しない人もいるのではないか。


ちょっと話を脱線するが、組織で仕事をしていると、組織内での呼称をどうしようかと疑問を抱くことがあると思う。男性ならば、「さん」を付けるか、「君」を付けるか、この2択で悩むことがある。女性ならば、全員を「さん」付けにして統一できると思うが、男性の場合は選択肢が2つある。

上司には「さん」を付けたり役職名で呼ぶが、部下には「君」を付けて、男性への呼称を分けている人も多い。私は何でそんな面倒な呼び変えをするのだろうかと思うが、本人は当然だと思っているのかもしれない。男性であれ女性であれ、全員をさん付けで呼べば困らないだろうと私は思う。

部下は呼び捨てで上司はさん付けにしてしまうと、年上の部下をどう呼ぶかでさらに悩みが増える。年上だから「さん」にするか、それとも、部下だから「君」を選択するか。呼称の切り替えはこのように不毛な悩みを生み出すのですね。



話を戻すと、年齢評価に対置される評価基準として成果評価がある。年齢では仕事を評価していないので、人事評価は成果を基準に評価するべきという立場もある。確かに、人事評価は、人を評価するのではなく、仕事を評価するものであって、成果を基準に評価するという判断は正しい。

しかし、成果を基準に評価することを嫌う人は常にいて、成果を人事評価に入れるだけでダメと言う人もいる。中には、理由を問わずダメと言う人までいるのではなだろうか。

成果評価が嫌われる最大の理由は、「成果を評価する基準が無い。もしくは曖昧な基準が使われている」という点にある。基準もなく評価するわけにはいかないのは確かに真っ当な判断で、土台を作らずに家を建てるようなものですから拒否されてしまうのは仕方のないこと。

しかし、仕事を基準に人事評価を行うという方向性は正しい。ところが、基準である仕事を評価することができないのが悩ましいいところ。

多くの企業では、仕事を評価するための基準を作るのをサボってきたために、時給や日給、月給で賃金を支払い、出来高を評価しない環境になっているのではないか。もちろん、成果を数字で容易に把握できる仕事ならば今までも評価されてきたはず。しかし、成果を容易に数値的要素に換算できない分野では、仕事の評価基準を作ろうとしたものの挫折したか、それとも、そもそも基準を作ろうとはしなかったか、数値評価できないものはできないと考えているのか、それとも他の理由なのか。

特に、管理的業務に携わっている人を人事評価する方法については、未だに答えが定まらない。いわゆる「コストセンター」として考えてしまうと、評価の基準を作るきっかけを掴めないままになるかもしれない。それゆえ、数値評価できない仕事は年齢で評価し、人事評価を回避する手段として年功序列を使っているのかもしれない。






企業独自の仕組みであって法律ではない。


中には、「年功序列を止めさせよ」と主張する人もいる。中高齢者が多くなり、若年者が少なくなるので年功序列はダメだという点が主な理由らしい。ただ、自主的に行なっていることを止めさせるのはちょっと難しい。年功序列は外部から強制されて実施している仕組みではなく、企業が自主的に成立させている慣習だから、ヤメるかどうかは企業が決める。法的に行なっていることならば法改正で対処できるけれども、企業が任意で行っていることに介入するのは簡単ではない。

私は、年功序列が良くない仕組みだとは思わないし、良い仕組みだとも思わない。勤続年数や年齢を評価することは間違っているわけではない。年齢給という概念はあるし、勤続手当という概念もある。また、年齢を重ねるほど、接客サービスならば顧客応対が巧みになるだろうし、勤続年数が長くなれば仕事の要領も良くなるはず。さらに、退職金でも、勤続年数が計算要素に組み込まれることが多い。中小規模の会社で支給される退職金は、細かく計算方法や支給条件を設定せず、おそらく勤続年数の基準だけで支給されているのではないだろうか。

年齢や勤続年数を評価するとしても、評価のウェイトはあまり高くしないほうがいいと思う。ゼロ評価にする必要はないにしても、相対的に評価を低くするべき項目だろう。まして、年齢や勤続年数だけで評価を決めてしまっては、新しい人は組織に入ってこないはず。

ただ、成果を評価に含めるように変更したとしても、評価する基準が問題になる。絶対数字だけで評価すると、規模の大きい店舗が有利になりがちだし、他方、相対数字だけで評価すると、上昇余地のある中小規模の店舗が有利になるかもしれない。


私の知るところでは、パートタイムで働く人は時給が全員同じという会社もある。募集段階では「随時昇給」などと書いているものの、実際には昇給は全くない会社も多いのではないか。勤続1ヶ月の人、勤続6ヶ月、勤続3年、勤続5年の人がみんな同じ時給だったりする。
もし、違いがあったとしても、せいぜい20円とか50円程度の違いでしかない。この程度の差ならば、「違い」というよりも「誤差」と表現するほうが正しいだろう。なぜ時給が同じなのかというと、評価する基準がないというのが理由だろう。評価するのが面倒という点も理由になるかもしれない。1時間で900円とか1時間で1,100円というように固定してしまえば、時間と賃金をリンクできるので、評価を介在させなくても賃金の額を決めることができる。

また、フルタイム勤務でも、年齢別に基本給が決まっている会社があると思う。22歳-24歳、25歳-27歳、28歳-30歳、というように年齢ごとに階層を分けて、その階層ごとに基本給を設定し、あとは手当を上乗せして月給を構成する。手当の中には歩合手当のような成果に基づくものもあるが、個人ごとに大きな差が付くほどウェートは高くないのではないか。もちろん、年齢別で基本給を設定するが、その額を低めに設定し、基本給以外の要素で上乗せするような年功色の薄い年功序列もある。


企業はおしなべて人事評価が苦手だと思う。特に、社員ごとに成果を評価する点にいたっては、評価する基準や計算式をほぼ作っていないはず。年功序列は、人事評価の困難を回避するための手段として使われているのではないかと私は思う。「年齢や勤続年数で評価を決めておけば、説明が簡単だし、社員間でモメることもないだろう」と。それゆえ、年齢や勤続年数に応じて月給を決めてしまう。


ここで、人事評価の例を考えるならば、評価項目にパラメーターを設定し、各パラメーターに配点をする。さらに、合計点に会社が設定したウェート比率を掛けて計算した数字を評価とする方法がある。

大きく3セクションに分け、1項目5段階評価で、各セクションで5項目づつ配分。項目数は15項目なので、合計点は単純に計算すると75点になる。ただし、各セクションごとにウェート比率が設定されているので、評価結果への貢献度は異なる。



セクション1(習熟度)
項目1
項目2
項目3
項目4
項目5

合計(25点満点)× 0.3(会社が任意に設定したウェート比率)



セクション2(人物)
項目1
項目2
項目3
項目4
項目5

合計(25点満点)× 0.2(会社が任意に設定したウェート比率)



セクション3(成果)
項目1
項目2
項目3
項目4
項目5

合計(25点満点)× 0.5(会社が任意に設定したウェート比率)


より重視したいセクションでは、ウェート比率を高く設定すればいいし、そうではないセクションでは比率を低くすればいい。もちろん、どんなセクションと項目を設定するかは企業ごとに違うだろうし、上記のような評価方式を採用していないこともある。また、人事評価は経営者の裁量に基づいて行われる企業もあるはず。小規模な会社では評価基準そのものが無く、年齢に基づいて賃金を決め、評価作業そのものを実施しないことが多い。人材募集の書面で、「昇進、昇給随時」と募集要項に書かれている企業では、まず人事評価はされていないと思っていい。

年功序列に基づいて評価する最大の理由は、人事評価をしないで済むという点にあると私は思う。利便性と厄介さを兼ねた一長一短の仕組みなのですね。








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