book507(健康な人へのご褒美)




■健康ではない人が喜ぶ制度。



保険は損をすることに価値がある仕組みです。保険がない状態で不安感を抱いて生活するよりも、保険に加入した状態で精神的にラクな状態で生活する方が負担が少ないので、人は保険を利用するのですね。保険を利用しなければ金銭的に節約が可能ですが、事故が起こった時に節約したものを放出してしまうこともある。もちろん、必ず放出してしまうわけではないので、保険に加入しない方が良かったという結論もありえる。

保険の市場では、保険料を節約することが支持されていますので、「損をすることに価値がある」という価値観はなかなか浸透しにくいかもしれない。

公的な保険だと、健康保険が保険としてよく知られていますが、健康保険ではより損をしない立ち振る舞いが奨励されているようで、社会保険料を削減するアドバイスをする人もいるぐらいです。

皮肉なことに、健康保険は健康でない人ほどうれしい制度です。本来ならば、人がより健康になって欲しいという思いも込めて作られた制度ではないかと思うのですが、実際は健康でない人の方が利点が多いのですね。もちろん、好き好んで不健康になったり、病気に罹患したり怪我をしたりするわけではないですから、「嬉しい」とまで表現するのはちょっと過剰かもしれません。


世の中には、健康な人もいれば、そうでない人もいる。1年間、風邪もひかないで怪我もしない。そんな人もいるはず。ならば、そのような人のために何らかのご褒美があってもいいのではないかと思うのが素直な気持ちです。










■無事故ボーナス。



生命保険会社が販売する医療保険には、一定期間の間に無事故であった場合、何らかのご褒美がある。よく聞くのは、無事故ボーナスで、5年とか10年の期間の間、保険事故が発生せず無事故であった場合、何十万円かをキャッシュバックするというもの。

健康保険でも健康な人には何らかの「アメ」があっていいのではないかと私は思う。


利用頻度と利用額でマトリクス表を作り、利用頻度はボチボチだが利用額は少ない人、頻度も額も低い人に対しては、基礎部分の保険料を下げるような扱いにしてもいいかもしれない。翌年度の保険料率から0.5から1ポイントの幅で低くするとか。標準報酬月額を下げるのはヘンなので、算出された健康保険料額(絶対額の方)から一定割合ディスカウントするのもいいと思う。

「健康優待特例」や「健康優良特例」という名称で運用する。1年間全く医療機関を利用しない人に対象を限定するのもいい。1回でも使えば特例の対象外にすれば、制度への負担も少なく、同時に、加入者へインセンティブも用意できる。


健康保険は、健康な人がそうではない人を支える制度なので、健康な人は費用を負担するべきという考えも理解できるのですが、ちょっとだけでもご褒美があっていいと思う。


山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所