book497(時間外労働のフィルターは2つある。)







■片方だけか、それとも両方か。



1日8時間を超えると、法定労働時間を超過した勤務になる。また、1週40時間(例外44時間)を超えると、法定労働時間を超過した勤務になる。この点はほとんどの方がご存知かと思います。

勤務時間を管理していると、「1日8時間を超えたら時間外勤務になるのか」それとも「1日8時間を超えたとしても、1週40時間を超えない限り時間外勤務にはならない」のか。この点で疑問を抱くかもしれない。

時間外労働には1日8時間と1週40時間という2つの基準があるため、どちらかの基準を満たすことで足りるのか、もしくは両方の基準を満たすべきか。この点が問題となります。


1日単位では何時間の勤務であっても、1週40時間の枠内ならば時間内の勤務になるのか。それとも、1日8時間と1週40時間の条件は同時に満たす必要があるのか。

どちらでしょうか。

なお、今回は変形労働時間制度を利用していないと仮定します。







■小さい門と大きい門。



結論から先に書くと、後者が正解です。

時間外労働を判断するときには、1日8時間と1週40時間の2つの条件を満たす必要があります。それゆえ、「1日8時間を超えたとしても、1週40時間を超えない限り時間外勤務にはならない」という判断は間違いです。


1,週40時間は超えていないけれども、1日8時間は超えている。
2,週40時間を超えているけれども、1日8時間は超えていない。

問題が発生するのは上記の2パターンだと思います。

時間外労働を判断するときは、先に1日8時間の基準から当てはめる。次に、1週40時間の基準を当てはめます。小さい枠が先で、大きい枠が後ということ。



例えば、下記のようなスケジュールを考えてみる。


月:6時間
火:10時間
水:8時間
木:8時間
金:8時間
土:休み
日:休み

この場合、勤務時間は1週40時間に収まっている。しかし、火曜日が1日8時間の基準を超えている。

では、時間外勤務は発生するかどうか。

「1週間で40時間内なのだから、時間外勤務はないだろう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。

週休二日制でキチンとしていると思える会社でも、ちょっとした勘違いで上記のような状況が起こり得ます。


1日8時間内と1週40時間内の2つの条件を同時に満たさない限り時間外勤務が発生するので、上記の場合は火曜日に2時間の時間外勤務が発生しています。よって、割増手当が必要です。




もう1つ例を挙げてみる。

月:8時間
火:8時間
水:8時間
木:8時間
金:8時間
土:8時間
日:休み


1週間の休みは法定休日である週1日だけです。私の知るところでは、小規模な建設会社や土木会社だと週6日勤務のところがよくあります。

この場合、1日8時間の基準は超えていません。しかし、1週40時間の基準は超えている。

では、時間外勤務は発生するかどうか。

「1日8時間のルールはキチンと守っているよ。だから時間外勤務にはならないでしょう?」と思うかもしれない。しかし、それは違います。

先程と同じように、1日8時間内と1週40時間内の2つの条件を同時に満たさない限り時間外勤務が発生するので、上記の場合は、1週40時間を超えた8時間が時間外勤務となります。



1日8時間と1週40時間の条件は片方だけ満たせば足りるのではなく、両方とも満たす必要があるという点は知っておいてください。

山口正博 社会保険労務士事務所
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