book492(「契約外勤務=時間外勤務」か「契約外勤務≠時間外勤務」か。)




■契約時間以外に勤務すると時間外勤務になるの?



週5日勤務で7:00から12:00まで仕事をしているパートタイマーの人が、ある日に6:30から12:00の勤務に変更したとしたら、時間外勤務は発生するでしょうか。

通常の勤務スケジュールでは、7:00から12:00ですから、5時間勤務です(15分休憩などが入る場合は、その時間を控除して考えてください)。ところが、何らかの事情で、ある日に6:30から12:00の勤務に変更することになった。この場合、勤務時間は5時間30分になりますよね。ちなみに、雇用契約で決めている時間は、7:00から12:00と想定します。

では、契約で7:00から12:00の勤務と決めているところを、6:30から12:00に変更したら、6:30から7:00までの30分はどのように扱うのでしょうか。

契約では7:00から12:00の間で勤務する約束なのだから、30分は時間外の勤務で割増手当を用意する必要があると考えるのか。それとも、7:00-12:00のシフトから6:30-12:00シフトに変更したとしても、1日8時間の法定労働時間枠を超えていないので、30分は時間外勤務にならないと考えるのか。

どちらでしょうか。






■「法定労働時間」と「契約労働時間」の違い。



結論を先に言えば、正しいのは後者です。1日8時間の法定労働時間枠を超えていないので、6:30から7:00までの30分は法的な時間外勤務にはならないのですね。

労務管理で時間外勤務を考えるのは、1日8時間を超えるか、1週40時間(例外44時間)を超えて仕事をした時です。変形労働時間制度を採用していると、1日8時間もしくは1週40時間を超えても時間外勤務にならない場合もありますが、そのような例外を除き、時間外勤務を考えるときは「1日8時間と1週40時間」の枠を使います。

先程の事例の場合、1日5時間勤務のところ、何らかの事情で1日5時間30分の勤務に変わったのですから、1日8時間の枠は超えていません。よって、7:00-12:00のシフトから6:30-12:00シフトに変更したとしても、6:30-7:00までの30分は時間外勤務にならないのです。


理解のポイントは、契約時間外が時間外勤務なのか、それとも、法定時間外が時間外勤務なのかという点です。

1日8時間と1週40時間の枠を超えれば時間外勤務であるという点はほとんどの方がご存知のところだと思いますが、契約時間を超えても時間外勤務なのだと考えている人もいらっしゃいます。

「7:00から12:00の勤務で雇用契約を締結したのだから、この時間レンジを外れる勤務は時間外勤務と考えるんだ」と思っている人がいる。この人は、契約労働時間と法定労働時間をゴチャ混ぜにしています。おそらく、法定労働時間と契約労働時間はほぼ同じものだと思っているのが混乱の原因なのかもしれない。

キチンと両者を分けると、法定労働時間は、「1日8時間と1週40時間(例外44時間)」で固定されています。1日6時間に変わったり、1週41時間に変わったりしません。一方、契約労働時間は、企業と社員間の雇用契約によって決まります。そのため、人によって契約労働時間は異なります。1日8時間の人もいるし、1日5時間30分の人もいるし、1日3時間の人もいます。

つまり、法定労働時間は法的に1つに決まっている。他方、契約労働時間は個別に決まるのです。

よって、法定労働時間のレンジを超えれば、必ず時間外勤務になる(変形労働時間制度を除く)。しかし、契約労働時間のレンジを外れても、必ずしも時間外勤務になるわけではない。



ただ、企業によっては、「契約時間外=時間外勤務」として扱っているところもあるかもしれない。法定労働時間の枠にかかわらず、就業規則や雇用契約で決めた時間を超えれば時間外勤務として扱うことは可能であり、企業ごとに任意で決めることが可能です。



山口正博 社会保険労務士事務所
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