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会社独自の割増賃金でインセンティブを変える。

割増報酬




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会社独自の割増賃金でインセンティブを変える。
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■割増賃金は厄介な存在?

ご存知のように、一定の条件を満たすと、賃金は一定の割増水準で支払われないといけませんよね。法定時間を超えたとき、深夜時間帯に仕事をしたとき、法定休日に仕事をしたときに、25%増しや35%増しで賃金を計算する必要があり、さらには、平成22年の労働基準法改正で、50%増しで賃金を計算する状況も起こりうるようになりました。

最近では、いわゆる名ばかり管理職や残業代の未払いが問題になるのですから、割増賃金は経営者にとって厄介な存在なのかもしれません。法律で強制されているし、支払わないとムクれても後から請求されることもあるし、時間外手当はキチンと支払わなければイケマセン!と周りからプレッシャーもかかるでしょうし、割増賃金大好きな経営者はおそらくいないはず。


確かに、割増賃金を義務と考えると好ましいものではないのかもしれない。しかし、割増賃金といえども、発想と使い方を変えれば、必ずしも忌避するものではないかもしれません。






■人を集める手段。

義務を感じて支出するのではなく、人を集める手段として割増賃金を使えば思いのほか都合のいい結果をもたらすのではないでしょうか。

例えば、繁忙期に、任意の割増賃金を用意して、臨時的に社内から人を集める方法があります。パートタイム社員の中には、必ずしも週5日で契約している人ばかりではなく、週3日契約の人や週4日契約の人もいるはず。中には、週2日だけとか、さらには週1日で働いている人もいるかもしれない。繁忙期ではないならば、上記のように契約通りに勤務してもらえば足りるでしょうが、業種によっては時期によって忙しい時があるはず。その時に、週5日未満のパートタイム社員さんを集める手段として割増賃金を使うと良い結果を得ることが可能です。

忙しい時期に、一時的に週3日や週4日の勤務ローテーションを週5日勤務に変えて、増加した日数分の勤務時間には10%の割増賃金を付けるのもいいかもしれない。割増率は任意で決めることが可能ですし、全時間を10%割増の対象にのもいいし、1日8時間(契約外の日のみ)までは10%増しにして後は法定の時間外手当25%で計算するのもいいですね。

ここで、「雇用契約の内容と異なる勤務日数にしてしまってもいいの?」と疑問を抱くかもしれませんね。確かに、週3日で契約しているならば、キチンと週3日で勤務するのが通常ですし、週4日ならば週4日で勤務するべきです。しかし、雇用契約は「契約」ですので、当事者の意思によってその内容を変更することが可能です。そのため、週3日で契約していても、会社と社員の当事者間で契約外の内容を履行することに同意すれば、その同意は有効です。この同意の内容について雇用契約書に反映させるのが理想ではありますが、必ずしも書面に反映させる必要があるわけではありません。

「なお、繁忙期には週勤務日数を変動させることがある」という補足を予め雇用契約書に記載しておけば良いでしょうね。さらには、その際の割増賃金についても一緒に記載しておけばなお都合が良いはず。

契約内容に変動があれば、その都度、契約を更新するのが理想ではありますが、必須というわけではありませんので、この点は柔軟に考えていいでしょう。


他にも、臨時的に勤務日数を増加させる際に割増賃金を使うだけでなく、臨時的に勤務時間を増加させるために割増賃金を使うこともできるでしょうね。仕組みは上記と同じで、増加させた時間に対して任意のパーセンテージで割増賃金を付加するわけです。


休日出勤で割増賃金を使う際にも、公休日(法定休日と仮定)だと法定の割増賃金があるので工夫する余地はあまりないのですが、週休日(法定ではない休日と仮定)だと法定の割増賃金がないので、ここに出勤してもらう時に任意割増賃金を使うのは有効かもしれません。

通常、法定外の休日を勤務日に切り替えると割増賃金はありませんが、35%以下の範囲で割増率を設定して賃金を支払うのもいいかもしれない。

企業によっては、法定休日、法定外休日に関わらず、すべての休日を対象にして、出勤した場合は休日割増を用意しているところもあります。この場合は、割増率を引き上げるという程度しか工夫の余地はありませんが、法定休日と法定外の休日で処理を分けている企業でしたら、割増賃金で工夫する余地はありますね。







■義務的な割増賃金だけでなく、任意的な割増賃金も使える。

飲食店、運輸業、配達業務、小売店ならば、特に任意割増賃金の効果を得やすいのではないでしょうか。

飲食店だと、新年会で宴会の予約がありますし(忘年会でまとめてしまうこともあるようで、最近は少ないかもしれない)、連休の時期にも来客が多いでしょうし、店舗の近くで何らかのイベントが開催されると忙しくなるはず。ミュージシャンのライブとか、花火大会とか、学園祭や文化祭、マラソン大会なども集客に影響するかもしれませんね。このようなイベントの日程に合わせて、割増賃金を設定すれば人を集中させやすいはず。日曜や祝日、土曜日に割増を設定しているところはままあるでしょうが、イベントに合わせて割増を設定しているところはあまりないのではないでしょうか。あとは、11月12月の忘年会の宴会予約が入ったときは、臨時的に割増賃金で人を多くするのもいいですね。


ピザや寿司などの配達業務だと、年末年始は出前の電話が増えるのではないかと想像します。サッカーの試合があると、出前が増えるというのはもう一種のセオリーで、ワールドカップはもちろん、最近開催されたアジアカップの試合中も出前が通常時よりも増えたはず。

小売ならば、年末商戦という言葉があるように、12月に集中的に商売するのが通例ですね。この場合だと、12月20日から翌年1月5日までは、深夜割増率を25%から35%に引き上げるとか、時間外手当も25%から30%に引き上げる施策が考えられます。

運送業の例を考えるならば、お中元やお歳暮を受け付けている時期の深夜時間帯は、割増率を25%から35%に上昇させるのもいい。年賀状を配達する時期(1月1日から1月5日ぐらいか)にも同様な手段が考えられる。


賃金だけで人が動くわけではないですが、動くきっかけになるのは確かです。仕事に参加するインセンティブを与えるように使うと、割増賃金も便利なのですね。また、割増率の高いときに勤務して、低いときはなるべく早く帰る動機も生まれるのではないでしょうか。常に同じ割増率だと変化は起きにくいですが、割増率を変動させると人の行動も少し変化が生まれるかもしれない。


ただ、任意で割増賃金を用意して社員のインセンティブを変えるのは、法定分の割増賃金をキチンと支払っていることが前提です。法定の割増賃金を支払わないのに、任意の割増賃金を支払っているというのでは順序が違いますからね。

 

 

 

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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