book476(後から打刻を変更する)




■「変更=違法」なの?



仕事をするとき、何らかの手段で勤務時間を管理している人が多いかと思います。タイムカードを打刻機に挿入して記録する人もいれば、磁気ストライプカードやICカードを使って記録する人もいる。他には、勤務台帳にボールペンで記入したり、大学ノートに出退勤の時間を記入する方法を用いている会社もある。

勤務時間を正確に記録するのは当然ですが、ときには間違って記録してしまうこともありますよね。出勤するときに記録しなかった、退勤するときに記録しなかった、打刻用の磁気ストライプカードやICカードを忘れたので記録できなかった。10:00が始業時間だったけれども、始業の打刻をしたのが10:17分だった。16:00が終業時間なのに、16:21に終業打刻してしまったなどなど。個々人の理由の応じて、勤務記録のミスが発生するのが現実なのですね。


そこで、実際とは違う記録がなされたときに、正しい記録に修正することが可能なのかが問題となります。

記録を後から修正すると恣意的に記録が変えられてしまうので、正確ではない記録であっても修正してはいけないのか。それとも、やむを得ないミスで間違った記録になってしまったのだから、本来の正しい記録に修正するのは構わないのか。

どちらでしょうか。









■変更は不可欠。



勤務記録を後から修正することは可能であり、本来の正しい記録に戻すことは可能です。

勤務時刻の記録を間違ってしまったとしても、打刻内容を後から修正することそのものが違法なのではありません。事実と違う記録に変えるのがダメなのであって、正しい記録に修正することを阻むものではないのですね。


上記では、「正しい記録」という言葉を使っていますが、正しいかどうかは企業とその企業で勤務する社員さんしか判断できません。

修正することで正しくなる情報があることは確かですが、「修正する必要がないのに正しくない情報」もあります。例えば、タイムカードに記録されないサービス残業です。終業時刻が19:00であり、終業打刻は19:00に実施しているが、実際は20:20まで仕事をしているような場合です。この場合、勤務記録を見れば、19:00で仕事が終わっていると分かります。しかし、実際には20:20まで仕事をしているわけです。この1:20のギャップは外部の人からは把握しにくいはずです。外部の人は記録が正しいという前提で考えるでしょう。しかし、その記録が正しいかどうかは当事者にしか分からないわけです。

修正が必要な情報が正しくなくて、修正が不要な情報が正しいというのは必ずしも正しくない。修正の有無によって、正しさが変わるとは限らないのですね。


タイムカードや勤務時刻を管理するシステムを使っていても、始業打刻を忘れる人はいるでしょうし、終業時刻を忘れる人もいます。さらには、始業打刻を忘れた事に気づき、始業時間から30分遅れで始業打刻し、後から始業時間を修正する人もいる。また、退勤打刻でも、仕事が終わって速やかに退勤打刻をすることなく、グズグズとおしゃべりをしたりして退勤打刻を遅らせることもあるでしょう。そのため、後からの訂正はどうしても必要なのですね。

よって、どこかで主観に基づく記録操作がなされる可能性があるので、100%正しい勤務打刻はおそらくあり得ない。

山口正博 社会保険労務士事務所
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