book469(日本は常態的にワークシェアリングなのでは)




■実質的にワークシェアリングは導入されている。



景気がよろしくないという雰囲気が醸成されてくると、ワークシェアリングが話題になる。最近は話題から遠のいているけれども、時折思い出したように話題になるのがワークシェアリングだ。

誰が最初に話題にするのかは分からないけれども、ひょんなきっかけから話題が発生する。ワークシェアリングは、1人あたりの賃金や勤務時間を減らして雇用量を維持しようとする施策です。端的に言うと、1人でできる仕事を2人で担当したり、1人でできる仕事を3人で担当したりするわけです。

政府がワークシェアリングを導入すると言わなければ導入できない、と思われているフシもあるが、現実には公的にワークシェアリングを導入しなくても、すでにワークシェアリングは実施されている状況なのではないかと私は思う。ワークシェアリングを導入しているとは公に表明していないけれども、実体的にはワークシェアリングを導入している場合と同じ状況になっている組織もあるのではないか。






■賃金が上がりにくい地合い=ワークシェアリング的。



つまり、ワークシェアリングそのものではないけれども、「ワークシェアリング的」な状態ではあるということ。

賞与や退職金で賃金コントロールすることで、実質的にワークシェアリングと同じ状況を作り出すことは可能です。月給でも、簡単には昇給しないように人事査定を不明朗にすることでワークシェアリングの仕組みを作り出すことが可能でしょう。つまり、一人当たりの賃金を低くすることで、雇用量を増やしているわけです。

なかなか昇給しないフルタイム社員の方とか、なかなか昇給しないパートタイム社員の方というのは結構いらっしゃるのではないでしょうか。「もう7年ほど、月給31万円で固定されている」とか、「13年働いているけれども、昇給は1回もなくて、時給870円のままです」というパートタイム社員の人とか。こういう人たちは意外といますよね?


仕事の習熟度で賃金を分けず、入社年次ごとに賃金テーブルを作り、一律の賃金水準に設定している企業は思いのほか多いはず。

毎年数千円ずつ全員一律で上昇させている。6年間勤務して昇給しても時給で20円や30円上乗せる程度。これが実態ではないでしょうか個々の生産力に合わせて賃金を変えるのではなく、人事予算内でなるべく多くの人を雇う方に重点を置いているのではないでしょうか。

ワークシェアリングの趣旨は、一人当たりの賃金を低く押さえて、雇用量を維持もしくは増加させる点にあります。ならば、上記のような状況は実質的にはワークシェアリングと考えて間違いないでしょう。



山口正博 社会保険労務士事務所
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