book464(セクハラとパワハラの基準は何?)






■人の感じ方で変わる判断。



10年前と比べて、セクハラとパワハラの話題がメディアに登場する頻度は上がっている。

なぜ上がったかというと、昔よりもパワハラやセクハラが増えたのではなく、問題として認識されるようになったから頻度が上がったのだろう。以前はパワハラやセクハラという言葉そのものがあまり認知されていなかったため、ただの「嫌がらせ」とか「教育の一環」というように考えられていたのかもしれない。

しかし、今は違う。これはセクハラ、これはパワハラと指摘する人もいるし、新聞やニュースでもパワハラやセクハラというキーワードをハッキリと出して報道することもあります。


ただ、何をもってセクハラと判断しているのか。また、何をもってパワハラと判断しているのか。この点についてはあまり突っ込んだ解釈がなされることが少ないように思います。

例えば、53歳の女性が19歳の男性の体をペタペタを触ってもセクハラにならないでしょうが、52歳の男性が23歳の女性の体をペタペタを触ればおそらくセクハラになるはず。

この違いは何なのか。


社員教育だと思って社員を叱ったところ、「ああ、キチンと教えてくれているのだな」と感じている人がいる一方で、「何だ。これはパワハラだ」と感じる人もいる。

この違いは何なのか。








■相対的に判定するのみ。



パワハラとセクハラは、感情で判断したことが法的な争いになる点が悩みどころです。

セクハラとパワハラを判断するときは、客観的な基準がないため、被害を受けた人の感情に基づいて判断されます。

「精神的に嫌な感覚を抱いたとき」、「中高年の男性が若い女性の体に接触したとき」、「一方的に言葉や態度で相手を攻め立てたとき」など。基準は様々です。

パワハラとセクハラは言わば感情への攻撃ですから、どうしても感情で攻撃の有無を判断せざるを得ないのですね。そのため、もし法的に解決しようと思っても、判断の根本が感情なのでどうしても結論も主観的なものになりがちです。


女性に対するものだとセクハラ判定の基準やパワハラ判定の基準が厳しくなる傾向があるでしょうし男性に対するものならば基準が緩くなる傾向があるはず。

「女性は男性よりも立場が弱い」という思い込みが影響するかもしれないし、「男性が女性にセクハラすることがあっても、女性が男性にセクハラすることはないだろう」という思い込みも影響するかもしれない。「男性はセクハラやパワハラを受けても耐えるべき」という判断もあるかもしれない。

さらには、その人自身の判断基準も影響する。「この程度ならばセクハラ(orパワハラ)じゃない」という人もいれば、同じ程度でも「これはセクハラ(orパワハラ)」と言う人もいるわけです。


客観的にセクハラと言い切りにくいし、客観的にパワハラとも言い切りにくいのが現実なのでしょうね。

山口正博 社会保険労務士事務所
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