book453 (給与に時間外手当を含める方法は便利なの?)




■なぜ時間外手当を給与に含めたり定額にしたりするの?



通常、時間外手当はその都度計算して、支給額を確定します。この日は8時間13分の勤務だったので13分の残業、この日は8時間49分の勤務だったので49分の残業というように、個別に計算するわけです。

ところが、会社によっては、給与の中に時間外手当を包含させたり、定額で時間外手当を用意したり、年俸の中に時間外手当を含めるという方法を採用しているところがありますよね。


人によっては、

「給与の中に時間外手当を含めるのは、ダメ!」
「定額で時間外手当を支払うのは、ダメ!」
「年俸の中に時間外手当を含めるのは、ダメ!」

と反射的にダメと判断する人もいますが、上記の方法そのものがダメなのではありません。

「実際に支払うべき時間外手当よりも少ない額しか払わない」のがダメなのであって、手当の支払い方法そのものがダメというわけではないのです。

どの方法を選択したとしても、実際に支払うべき時間外手当と同じかそれ以上の支給額ならば禁止することはありません。


もし、給与に含める方式や定額方式で時間外手当を支給している会社でトラブルが起きているとすれば、それは"時間外手当を減らすために"上記の方法を用いているからです。






■パケット定額≠定額残業代。



給与に時間外手当を含める(給与包含方式)方法そのものはOKですし、また、時間外手当を定額で支払う(定額方式)方法自体もOKです。

ただし、実際に支払うべき時間外手当よりも少ない額になってはいけません。


もし、時間外手当を少なくするために給与包含方式や定額方式を採用しているならば、それは意味のないことです。例えば、月1万円の定額残業代を支給している会社があるとして、ある社員さんの月間残業代が1万3千円になったら、追加で3千円は時間外手当として支給しなければいけませんので、事務作業が2度手間になります。個別計算ならば1回で作業を済ませられるところを、①定額支給という作業、②追加分の計算と支払いという2つの作業が発生しているのです。


給与包含方式や定額方式で時間外手当を支給している会社では、何の意図があってそのような処理をしているのかが分かりにくい。

なぜ、あえて手間のかかる方法を選択しているのか。実際に支払うべき時間外手当の額を減らすことはできないのだから、個別に計算すればいいのに。

中には、時間外手当を定額で用意しておいて、残業しなかった分だけ控除するというなんともメンドクサイ作業をしているところもあるようです。もはや意味が分からない状況ですよね。最初から素直に計算したらいいではないかと私は思うのですけれども。


時間外手当はどのみち計算しなければいけないのですから、給与に含めたり、定額にしたりする意味はありませんよね。

「固定にすれば、その固定枠を超えた分は支払わなくてもいい」と思う方もいらっしゃるのかもしれませんが、それはできません。実際に残業したことへの対価ですから、ケータイのパケット定額のように上限がフラットになるわけではありません。


山口正博 社会保険労務士事務所
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