無期限の繰り越しが可能?
振替休日は、事前に法定休日と勤務日を交換する仕組みです。この仕組みを利用すれば、法定休日を通常の勤務日に変化させ、振替対象になった勤務日を法定休日に変化させることができるわけです。
ただ、ちょっと困ったことがあります。
休日を振り替えるのは良いとしても、「振り替えた休日をいつまでに取得するか」という期限がないために、いつまでも振り替えた休日を取得できないこともあるのですね。
ここで、「振替休日は日時を指定して勤務日と法定休日を入れ替えるものだから、いつまでも振り替えた休日を取得できないなどということはあり得ない」と考える方もいらっしゃるでしょう。さらに、「もし指定日に振り替えた休日を取得できなければ、振替休日ではなく代休だ」とも考えるかと思います。
確かに、事前に日時指定しているので、いつまでも振り替えた休日を取得できないということはあり得ないと考えることは可能です、、法律的には。また、指定日に休日を取得できないならば代休という判断も正しいです、、法律的には。
ところが、現実には振替休日であるにもかかわらず指定日に振り替えた休日を取得できないことがありますし、実質的には代休であるにもかかわらず振替休日として処理されていることもあります。
つまり、「振り替えた後」を放置しているのですね。
振替休日には自主規制が必要。
「振替休日ではなく代休だ」と後から言ってもおそらく会社は代休に切り替えることはしないはずです。
ちなみに、振り替えた休日に有効期限は特にありません。あえて言うならば、2年(労基法の時効)とも言えないこともないですが、2年も振替期間を先延ばしにしているとなるともはや振替休日ではないですよね。
「振り替えた休日が取得できないならば、もはや振替休日ではなく代休だ」と言う人もいますが、「では、いつの時点で振替休日が代休に変わるのか」という疑問点に答えられませんよね。
確かに、事前に指定した日に休日を取得できなければ代休なのでしょうが、もし事前に指定する日を4ヵ月後に設定したらどうでしょう。これでも振り替えにはなってしまいますので、厄介です。
いつの時点で振替休日が代休に転換するのかは、事前に指定する日によってコロコロと変わってしまうので、判定しにくいのです。
そもそも、予定を決めずに休日を振り替えてしまっている企業もあって、最初から振替休日の条件を満たしていないケースもあります。
振替休日でトラブルになるポイントは、「振り替えた後」の処理です。この部分に対処するのがキモです。
法律では振り替えた後の処理については決まりがありませんから、ここは会社で自主規制しないと、振り替えたはずの休日が取得できないトラブルは続きます。
例えば、振替休日は、「振替勤務日の翌日から10日以内の範囲で休日を指定する」というように、いつまでに振替休日を取得するのかという期限を設定していないと、ズルズルと休日が後にずれていきます。
雇用契約書でも就業規則でも、「振り替えた後」については決めておきたいところです。
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