book450(「休憩は要らない」と言う人をどうするか)



■「疲れてないから、休憩はいらないです」



稀にですが、休憩を取ることを拒否する人がいますよね。


例えば、休憩を取らずに、休憩時間の分だけ勤務時間を短縮して、早く終業しようと考える人がいる。つまり、休憩を取ると終業時刻が遅くなるので、休憩を取得せずにその時間分だけ終業時刻を早めようと考えるわけですね。

他には、休憩を取らずに、休憩時間の分を勤務時間に変えて、賃金を増やしてやろうと考える人。つまり、休憩を取ると、その時間は勤務時間から控除されるので、休憩を取らずに仕事をすることで、この控除を回避することを狙っているわけです。

休憩の取得を拒否する人の動機は、おそらく上記2点に当てはまることが多いはず。勤務時間短縮か賃金増加のどちらかです。


確かに、勤務時間短縮や賃金増加のために休憩を取らないという選択も気持ち的にはアリと言えばアリでしょう。

しかし、労働基準法的にはちょっと「アリ」とは言いにくいところです。






■休憩も会社が管理する範囲内です。



休憩を取らなくても社員さん本人はよいのかもしれませんが、これでは会社が怒られます。

確かに、休憩が無ければ、その分だけ多く賃金を得ることもあるでしょうし、終業時刻を早めることもできるのでしょう。

しかし、社員さん本人が良くても会社が困ることもあるのですね。

労働基準法34条の休憩ルールは任意ではなく義務ですから、これを守らないと社員さんは良くても会社は困るのです。

もし、社員さんが「休憩はいらないです」と言い休憩を取っていないと、会社は社員にキチンと休憩を取得させていないと判断されてしまうのです。実際は、会社が休憩を取らせていないのではなく、社員さんが自主的に取っていないだけであっても、会社が休憩を取得させていないと第三者(その会社の人以外の人たち)は判断するのですね。


会社に非があるわけではないけれども、会社に非があると判断されるわけです。これでは会社側がかわいそうです。

休憩を取るか取らないかは本人が決めるのではなく、会社が決めることです。もちろん、休憩の"内容"は社員さんが決めて構いません。しかし、内容ではなく"取得"については会社が管理します。

例えば、飲食店では忙しいお昼の時間帯に休憩を取得することはないですよね。お昼を過ぎた2時から3時頃に休憩を取得するのではないでしょうか。これも会社が休憩のローテーションをコントロールしているからです。もし、お昼のラッシュ時に休憩を取るなどといったら、おそらく怒られるでしょう。

休憩を取得しないという判断は、飲食店でお昼のラッシュ時に休憩を取得しようとすることと同じぐらい無茶な判断です。

休憩を「取得するかどうか」は会社が決めることであって、社員さんが決めることではありません。休憩の内容は社員さんが決めることができますが、取得するかどうかは別です。


もし休憩の取得を拒否するならば、懲戒処分にするのもアリです。

もちろん、休憩を取るかとならないかで懲戒処分を実施することはないでしょうが、どうしてもというときは「懲戒処分にするよ」と言ってでも休憩をしてもらわないといけません。

休憩程度で懲戒というのもやり過ぎな感がありますので、「休憩を取得させる義務が会社にはあるのだ。そして、義務があるということは権限もあるのだ」ということを社員さん自身が理解しておくのが良いのかなと思います。


山口正博 社会保険労務士事務所
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