book449(個別付与休暇と一斉付与休暇はお互いに一長一短)




■一斉処理が便利か個別処理が便利か。



各社員ごとに入社時期が異なると、有給休暇の付与時期を管理するのに悩むことがありますよね。

各社員ごとの入社時期に個別に合わせて休暇を付与すれば、キチンと正確に休暇を付与できます。しかし、個別に入社時期を把握し、6ヶ月ごと、1年6ヶ月ごとというように休暇を付与していく作業が必要ですので、事務作業がシンドイわけです。

そこで、休暇を一斉に付与することを考えるわけです。バラバラに休暇を付与するのではなく、1月1日に一斉付与とか4月1日に一斉付与というように、付与時期を統一することで事務処理の負担を軽減しようとするのですね。しかし、一斉付与にも短所があって、法定の付与時期よりも早い段階で休暇を付与しなければならない場面(会社が設定した付与時期よりも早い段階で法的に休暇を付与すべき時期に到達してしまうとき)があり、万能とまでは言えないところです。


そこで、有給休暇を個別に管理すべきなのか、それとも一括管理すべきなのか、それとも左記の2つ以外の方法で管理すべきなのかが問題となります。







■利便性と正確さのバランス。



個別付与ならば、正確な休暇日数にできる。しかし、個人ごとに入社時期が異なると、管理に手間がかかる。

一方、一斉付与ならば、個別に管理せずに全社員を一括して処理できる。しかし、法定水準よりも早い段階で休暇を付与する必要がある。さらに付け加えれば、休暇付与の基準日を変更すると、さらに取り扱いが厄介です。つまり、1月1日を一斉付与日としていたものを4月1日に変更したりすると、いわゆる既得権処理が必要で、どんどんと制度調整が難しくなります。制度変更した最初の時期には、1月1日に付与して、その3ヶ月後の4月1日にもまた付与日が来るわけですから、頭が混乱します。一斉付与制度は、基準を変更する時にも厄介なタネを生み出すのですね。

また、全社員とも4月1日が入社日というように入社日が常に同じならば一斉付与は効果的なのですが、入社時期がバラついている会社では一斉付与の仕組みはかえって不便です。

一斉に付与する仕組みがあっても、労基法の「6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日、、、という勤務期間と休暇日数の比率」がボトルネックになるから、結局はあまり便利ではないのですね。


個別付与、一斉付与のどちらにも利点があり欠点があるわけです。



そこで、解決方法として提案するのは、1ヶ月単位で管理する方法です。

例えば、8月13日入社の人(Aさん)や8月27日入社の人(Bさん)はすべて月初めに入社したとみなし、両者とも8月1日に入社したものと扱います。

そうすると、翌年の1月にはAさんもBさんも最初の休暇が付与されるという流れです。

この方法では、何月に入社したかという点だけを管理するだけでいいのですね。何日まではあえて管理せず、すべて月初めに入社したと扱うことで、事務の利便性を高めています。また、月単位で管理しているため、法定の休暇日数を超えて付与するというヘンな処理も不要です。

個別管理を基準にしつつ、「入社月だけ」を把握して管理の手間を減らすようにしているんですね。

正確さを少しだけ放棄して利便性を高めるわけです。


完璧に管理することをあえて放棄するのも一考ではないでしょうか。


山口正博 社会保険労務士事務所
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