2010/11/11【育児以外での休業とそれ以外。】



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行政手続を行うには、大きく分けて書面による申請と電子申請がある。

窓口に備え付けているフォーマットを利用して手続きするのが書面申請で、この方法は一般的なものだ。

一方、電子申請は、電子証明書を使い、行政の申請窓口に接続し、必要な手続きを行う方法。


この電子手続きならば、あえて社会保険労務士が介在しなくても、事業所単独で手続きができるのではないかと私は思う。手続き画面に書き方を示しておけば、事務担当者でも十分に手続きは出来るはずだ。

また、今現在のように電子証明書を使うのでなく、事業所ごとのIDとPasswordでログインするようにすれば、もっと便利になるだろう。

社会保険労務士には行政手続を代行する仕事もあるのですが、今後は簡易な手続きは事業所で済ませる傾向になるのではないかと思う。この分野は一種の既得権が発生している分野かもしれないが、社会保険労務士は事務作業を専門に扱う存在ではないはずでしょうし、今後は事務以外の分野で価値を発揮しないといけないのでしょうね。







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■育児以外での休業とそれ以外。
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■なぜ育児休業ときだけ社会保険料が免除されるのか。



法人や一定の条件を満たした事業所に雇用されると、健康保険と厚生年金がセット(それぞれ違う制度ですが、常にセットで加入するのが実際のところ)になった社会保険に加入しますよね。

一度、社会保険に加入すれば、被保険者が死亡するか退職するまで、もしくは一定の年齢に達するまでは、制度から抜けることはありません。そのため、制度から抜けるまでは費用を負担するわけですが、一定のイベントが発生すると免除されることがあります。なお、今回は、健康保険と厚生年金に限って書き、国民年金は想定しませんので、全額免除や1/4免除という免除制度には言及しません。



国民年金と違って健康保険と厚生年金には免除制度がほとんどありません。給与天引きで保険料を回収するシステムになっているので、未納になりにくく、免除制度を充実させる必要がないのでしょうね。給与が支給されれば、確実に保険料も納付できますから。少年院や刑務所に入ったときの免除があるようですが、これはあくまで例外。

免除制度が少ない社会保険ですが、育児休業のときには保険料を免除するというルールがあります。

健康保険法では、159条に育児休業時の免除について書かれています。また、厚生年金保険法では、81条の2に同様の規定があります。


ちなみに、健康保険を任意継続しているときは、免除はありません。健康保険法では、159条に「事業主が、~申出をしたときは、~徴収しない」と書かれています。また、厚生年金(81条の2)も、「事業主が、~申出をしたときは、~徴収は行わない」と書かれています。つまり、任意継続には事業主は絡んでおらず、本人だけで制度に加入しているので、事業主が申し出る余地がありません。それゆえ、任意継続しているときには、育児での免除制度は使えないのですね。

ただし、厚生年金には健康保険のような任意継続制度はありません。退職後も厚生年金に加入し続けたいと思ってもできないのですね。任意単独被保険者とか高齢任意加入被保険者というメニューも厚生年金にはありますが、これらのメニューは個人で選択できるものではなく、あくまで事業所経由で選択できるものです。そのため、厚生年金には純粋に個人だけで加入できるメニューはないのです。

さらに余談ですが、国民健康保険にも任意継続制度はありません。国民健康保険は加入するか脱退するかの2つですから、任意で継続して加入する余地は無いからです。もし、任意で加入しているとすれば、それは"通常の加入"です。任意で継続加入できる健康保険は、「協会健保」だけです。

さらにさらに余談ですが、2010年11月時点では、いわゆる雇用保険の特定受給資格者(倒産や解雇で離職して失業手当を受給する人)の場合、協会健保で任意継続するのではなく、国民健康保険に加入することで、保険料を軽減する特例ができました(2010年の2月頃だったと記憶しています)ので、失業したときは任意継続せずに最初から国民健康保険を選択する人も多いかと思います。

ちょっと脱線しましたので、元に戻します。


社会保険料の免除を考えていて疑問なのが、なぜ育児休業だけが免除対象なのでしょうか。

病気や怪我で休んでいるときは対象にならないようですし、介護で休業しているときも対象にならないようです。

なぜ育児で休んでいるときだけ免除されて、それ以外の理由で休んでいるときは免除されないのか。

ちょっと不思議ですよね。








■病気休職のときでも社会保険には加入している。



育児休業以外での休業だと社会保険料の支払いは免除されません。健康保険法の159条と厚生年金保険法81条の2は、育児休業だけに限定して書かれていますので、病気による休職、怪我による休職、介護による休職は対象になっていません。

なぜ育児だけが免除の対象になるのか。


子供の数が少なくなっているので、育児を優遇したいため、育児休業中は保険料を免除したのか。

育児で休業することを希望すると退職を勧められる可能性が高いため、社会保険料の負担を免除し、企業への負担感を軽減することで、退職を勧めることへのインセンティブを低下させているのか。

育児休業中は仕事ができなくなるので、いわゆる所得フォロー策として免除しているのか。


確かに、健康保険の傷病手当金や労災保険休業補償給付のような所得フォローがないから免除している可能性はあります。しかし、傷病手当金がなければ健康保険からは出産手当金が用意されています(傷病手当金と出産手当金はトレードオフ関係になっている)し、雇用保険からは育児休業給付(雇用保険の育児給付関連は以前は2本立てだったが1本化された)がある。

時系列で書くと、産前42日、産後56日が出産手当金の対象期間、出産時は出産育児一時金、その後は雇用保険から育児休業給付が支給(子供が1歳に達するまで)される。さらに、社会保険料の免除は育児休業が終了するまでかもしくは子供が3歳に達するまでですから、免除期間は十分です。


一方、怪我や病気で長い間休んだりしても、育児休業のような免除は無い。

もちろん、先ほど書いたように、退職や死亡などの理由でない限り社会保険からは脱退できないし、休職中も雇用契約が継続しているならば、保険関係も継続します。

育児休業であっても、傷病による休職であっても、働けないという点では同じ。しかし、免除の扱いは違う。


もし、私的な怪我や病気で休むならば、健康保険の「傷病手当金」を充当するのが通常でしょうか。労災ならば「休業補償給付」があるので、これを社会保険料の被保険者負担分に充当するのかもしれませんね。ちなみに、傷病で休んでも、被保険者が保険料を全額負担するわけではなく、この場合でも事業主と折半負担です。任意継続被保険者ではないですからね。

ここで、「傷病で休んでいれば、賃金が少なくなるので、随時改定で標準報酬月額を減額変更すれば、社会保険料の負担を軽減できるのではないか」と考える人もいるかもしれません。

確かに、傷病で休んでいれば、通常時よりも報酬は少なくなります。そのため、実際の報酬額に社会保険料を連動させるために、標準報酬月額を随時改定したらいいだろうと考えるのでしょうね。3ヶ月ほど報酬が低い月が続けば随時改定できるだろうと。

しかし、傷病で休職しているときは、いわゆる「休職給」が支給されていると扱われ、賃金が変動したとは扱われないのです。つまり、「減額された報酬」ではなく、「休職時専用の報酬」が支給されていると考えるわけです。

そのため、傷病によって報酬が変動しても、随時改定を利用して標準報酬月額を変更することはできないのですね。


「傷病で休職しているときは随時改定を使えるのでは」という点は多くの人が考えるところですが、選択できない選択肢です。







■休職にするか、休業にするか。



しかし、傷病による休業にすれば、随時改定を利用できる可能性があります。

休業手当は賃金ですし、「通常の賃金>休業手当」という関係になることが多いでしょうから、賃金の変動はあります。

ただ、傷病が理由にも拘らず、「使用者の責任で休ませた」とできるかどうかが問題です。

使用者の責任を広く認定する傾向はありますが、本人の病気や怪我で休業するときに使用者の責任で休ませたという理屈が成立するかどうか。

以前、新型インフルエンザが流行した頃(流行したといっても、医療的に流行したというよりも情報的に流行したと言うべきか)、「インフルエンザで休ませれば休業」という主張を展開する人もいましたよね。実際のところ、インフルエンザで休んでもこれは風邪で休む場合と同じで、休業は問題にならないのですが、理屈をこねて使用者責任で休業させていると構成する人もいたのです。もし、この理屈を使えば、病気や怪我で休んでも、休職ではなく休業で構成する可能性も有り得るわけです。

ならば、休業時に支払う休業手当は報酬ですし、休業手当は通常の賃金よりも低い額になります(支給率60%を想定)から、賃金が変動し、随時改定が可能という流れです。


ただ、随時改定が可能といっても、休業手当の支払いが必要ですし、休業手当は賃金ですから、健康保険の傷病手当金も僅かかもしくは支給無しになるかもしれない。随時改定を利用できるというメリットはあるものの、休業コストを企業が負担するという点を考えなければいけないですよね。

一方、休業ではなく休職として扱えば、随時改定を利用できないし、また社会保険料も変動しないが、傷病手当金を利用でき、企業の負担は社会保険料の企業負担部分だけで済みます。

前者は社会保険料の負担軽減を重視した選択肢、後者は傷病手当金をキチンと利用した選択肢。

せっかく用意されている保険給付なのですから、キチンと制度を利用する後者の選択肢の方が妥当でしょうね。随時改定を目的にわざわざ強引に休業を構成する方向に持ち込むのは賢明ではなさそうです。











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