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新卒採用の内定と中途採用の内定とではちょっと違う

内定



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■新卒採用の内定と中途採用の内定とではちょっと違う◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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「他の会社の結果が出るまで待って欲しい」という希望
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■複数の会社に応募するのが普通。


どこかの会社に入社するときは、1社だけに限定して応募するという人は少なくて、ほとんどの人は何社かを掛け持ちして応募しますよね。

私の大学時代に、某保険会社1社だけ受けて内定を取った人もいましたけれども、このような人は珍しいでしょう。ちなみにこの人は、大学3年の11月ごろに就職活動を終了していました。4年になって全く就職活動をしないというのはなかなかレアですよね。

1社だけという人は例外として、その他多数の人は、複数の会社の説明会に出席するし、エントリーシートや履歴書を何通も書くはずです。また、面接の回数も相当なものになるでしょうね。数十回もの面接経験がある人も少なくないはず。

ただ、何社にもわたって応募していると、1社だけ内定をもらうとは限らず、数社から内定を受ける場合もあります。その場合、どこの企業を選択するかを応募者が決めなければいけないでしょう。「あそこにしようか。、、、でも、あの企業も行きたいなぁ、、」と逡巡しながら決めるわけです。

また、選択するには時間が必要ですから、「他の会社の結果がでるまで結論は待ってください」と企業に求める応募者もいるはずです。そこで問題になるのが、「結論を待ってください」と言われたときに企業がどのように応じるかという点です。

待ってくださいと要求されたのだから、待ってあげるのがよいのか。それとも、「なぜ待たされるのか。待つぐらいならば他の人を採用しよう」と考え、内定状態を解消するのがよいか。

企業は、上記のどちらかの選択に直面するはずです。







■応募者は天秤にかけられる。企業も天秤にかけられる。


「企業が応募者を天秤にかけるのはいいけど、応募者が企業を天秤にかけるのはダメだ」と考える人もいるのでしょうが、これはちょっと勝手な価値観ですよね。

「採用してやっている」と思っていると、企業が上位で応募者が下位という構図で考えてしまいがちです。

しかし、企業が応募者を天秤にかけるなら、応募者も企業を天秤にかけるはずですし、これが当然です。

確かに、企業は応募者を"採用してやっている"のですが、応募者も企業の採用活動に"応じてやっている"のでしょうから、お互い様です。もし、応募者から選んでもらえなければ、企業も人材を採用することができません。もちろん、企業が募集しなければ、応募者が応募することもできません。

片方は「採用してやっている」と思い、他方は「応募してやっている」と思うわけです。お互いに相手を天秤にかけているのですね。

ゆえに、応募者が「他の会社からの結果が出るまで結論を待ってください」と言ったとしても、企業が一方的に他の人へ採用枠を移転させるのはちょっとバランスが悪いでしょう。



ただ、高校から就職するときのように、企業の採用数と応募者数がピッタリ同じであり、人材を採用する学校を企業が事前に指定している場合は、天秤にかけるのはダメなのかもしれませんね。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、高卒就職はいわゆる「割当採用」で人材採用活動が実施されます。つまり、学校と企業が事前に打ち合わせて、「どこの企業が、何人の学生、どこの学校から採用するか」をあらかじめ決めて実際の採用活動を行うので、企業も学生も事前に選択をロックして契約するわけです。

そのため、高卒で就職を失敗する人は他の場合に比べて少ないのですね。もちろん、高卒就職で失敗する人もいるにはいるのですが、事前に採用数と採用学校を決めて人材を採用するのですから、他の環境で就職しようとする人よりも成功しやすいのは当然です。

公立の中学校や高校には「学区制」という制度がありますよね。学区制とは、「各地域ごとに学区を定め、その区域内の児童や生徒を所定の学校に通学させる制度」です。

高卒就職と学区制は良く似ていますよね。選択肢を制約し、さらに制約された環境を作り出し、人の選択と環境を割当的にマッチさせる仕組みがソックリです。


しかし、高卒就職だけが特殊なのであって、それ以外の場面では事前に選択をロックして採用活動をすることはないと思います(もしかしたら、高校以外でも独自に割当採用を実施している学校や企業もあるかもしれません)。


また、新卒採用と中途採用で企業の態度が変わることもあるでしょう。

新卒ならば卒業までは学生本人に選択の主導権があるけれども、中途採用だとどこか1社からでも内定を受ければ、その内定を受け入れなければいけない状況になるかもしれません。

学生は卒業するまでは就職できないという環境があるので、企業も強くコントロールできないのでしょう。しかし、中途採用となると、すでに社会人であるし、人材募集に応募するということは転職を希望しているか今現在失職しているかのどちらかです。そのため、中途採用に応募する人に対しては企業は強気で対応することが多いはずです。

新卒採用と中途採用を両方とも経験したことがある人ならば分かると思いますが、おそらく新卒採用の頃の方が中途採用の頃よりもずっと楽だったはずです。いかに企業が新卒を優遇しているかが分かるでしょう。中途採用というだけで不利になるのも有り得ないことではない。


余談ですけれども、なぜ企業は新卒が好きなんでしょうね。ヘンな癖がないので新卒が好きなのか、他の会社のカラーに染まっていないから好きなのか、それともいわゆる「処女好き」なのか。理由は様々なのでしょうが、「新卒優遇、中途冷遇」の雰囲気は露骨な感じがしますね。中には、「当社は新卒しか採用しません」という企業もありますし、ちょっと偏向した(差別的?)価値観が存在するのかもしれない。








■内定受諾の期限をキチンと設ける。


「結論を待ってください」と要望するとしても、新卒ならば他の会社の結果が出るまで待ってくれるけれども、中途採用ならば待ってくれないこともあるでしょう。

ただ、企業が天秤にかけられるのは仕方の無いことで、企業も応募者をたくさん並べて天秤にかけているのですから、応募者も企業をたくさん並べて天秤にかけたいのは当然の気持ちです。


それゆえ、いつまでも「雇用契約ではないけれども雇用契約のような契約」を締結している状態を続けると、会社も応募者も負担ですから、内定状態をクリアして「いつの時点でキチンとした雇用契約に転換するか」を決めておくのが良いでしょう。

つまり、内定を正式に受け入れるかどうか決める期限を設けるのがキモです。

内定はいわゆる「雇用契約の予約」のようなものですから、お店で品物を予約するときと同じように、期限内に品物(内定)を受け取りにこ(受け入れ)なければ予約が失効するとするわけです。

いつまでも内定を受け入れてもらえるかどうか分からない状態で企業を留めるのは不都合ですし、いつまでも選択できる状態を応募者に維持させておくのも不都合です。

そのため、確実に入社するかどうかを決める期限を設けるのですね。


この期限に客観的な基準は無く、長く設定しても良いし、短く設定しても良いでしょう。企業の裁量で決めて構いません。期限が極端に短いと応募者の選択を制約するという欠点もありますが、期限を設定しない不都合を考えれば受け入れるべき制約ではないかと思います。

ただ、新卒だと長くなるでしょうし、中途採用だと短くなるはずです。新卒には学生という特殊な環境があるので、どうしても差は生まれます。

内定を正式に受け入れる期限を決めておけば、企業も応募者も判断の目安ができますので、モヤモヤした気持ちで過ごすことはなくなるのかもしれませんね。

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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