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知らないものには従えない。社員に周知されていない就業規則は有効なの?

就業規則

 

会社が一方的に作れるのが就業規則。

就業規則は、会社の社内ルールを文書にしたもので、社員数10人以上の会社では作らなくてはならない規則ですね。

勤務時間、休日、休暇、賃金、服務規程などなど。社内のルールとして決めていることは一通り就業規則に含めるのが通例です。


ただ、退職金や賃金のようにボリュームが多くなる項目については、就業規則とは別の規定として作ることもあります。もちろん、ボリュームが多くないならば、就業規則の中に全て含めても構いません。必ずしも別の規定として作る必要があるわけではないのですね。

就業規則を作成したり変更したりするときは、会社がその内容を決めて、就業規則の体裁に整えていきます。

そして、完成してから、「従業員代表の意見」を書面で添付しますね。この意見が否定的な意見であっても、就業規則を有効なものとしてしまうこともできます。

さらに、出来上がった就業規則を周知することも必要なのですが、この周知をキチンとしない会社も多いのではないでしょうか。

 

 

社員に周知しなくても就業規則としての体裁は保っているが、、、。

実務では、会社の判断で就業規則を作成し、また変更することができますので、社員の判断や意見が必ずしも斟酌されるとは限りません。

また、出来上がった就業規則を周知することも労働基準法では義務ではなく、労働契約法でも就業規則を周知させることについては書かれていません。

「就業規則法」という法律があれば良いのかもしれませんが、今はありません。

ゆえに、就業規則の作成や変更、周知については企業の自治に任されているのが実情ですね。


就業規則を利用して労働契約を不利益に変更する場合ならば、労働契約法9条により、「就業規則を変更することで労働契約の内容を不利益に変更することはできない」というルールがあります。

しかし、「就業規則そのものを不利益に変更する」ことまで労働契約法で決めているわけではないのですね。

中には、「周知していない就業規則は有効ではない」とする判断もありますが、これは判例などの実務上の判断としてはあり得ますが、条文上の根拠はありません。

 

 

就業規則を届け出るときに添付する意見書に反対意見が書かれていたら

就業規則を作成したり変更した時に、意見書を付けて労働基準監督署に届け出ますが、この意見書に反対の内容が書かれたら就業規則はどうなるのか。

「条文番号が書かれて、この内容には反対」という類の意見がつけられたとしたら、就業規則は無効になるのか。また、届出を取り下げなければいけないのか。

意見書に反対の内容が書かれたとしても、就業規則自体は有効になります。また、届け出ることもできます。反対意見がついたとしても就業規則が無効になることはなく、 届出を取り下げる必要もありません。

ですが、意見書に反対の内容を書かれたとなれば、その部分については再度検討して就業規則を修正する、というのが本来のあり方でしょうし、反対を押し切って強引に就業規則を通してしまったとしたら、社内で角が立つようなことにもなり、良い事はありませんから。

意見書を作成する前、検討の段階で反対する意見は出てくるでしょうから、意見書に反対の内容が書かれたまま届け出るというのは少ないのではないかと。

 

 

就業規則を変更したらしいが、どこを変えたのか分からない、、、。

就業規則というのは、「一度作ったら後はそのまま」というわけにはいきません。

追加したり、削除したり、その他の規定(賞与規定や退職金規程、交通費規定などなど)とリンクさせたり、後から手入れをする機会というのはぼちぼちとあります。

また、就業規則は社員さんに適用するルールですから、変更や削除をしたときは、社員さんに告知するのが通例です。


しかし、規定に何らかの手を加えても、社員さんに対して何らの告知をしない会社もあるようです。


例えば、就業規則を変更すると、労働基準監督署へ届出が必要ですが、その際には意見書も必要ですので、何らかの方法で、変更した内容は社員さんの目に触れるはずです。


ただ、10人未満の会社で就業規則を変更すると、届出は必要ないですから、社員さんに周知せずに変更する会社も出てくるのかもしれません。

 


就業規則を変更する前と変更した後の対照表は必要

変更や削除をしたとしても、その都度、本文を全て読むのは負担ですから、どこをどのように変えたのかが分かるように工夫する必要があります。

よく使われるのは、変更前と変更後の内容が分かるように、左右対称になった表を作るという方法です。

枠を縦に2分割して、左に変更前を記載し、右に変更後を記載するという体裁です。さらに、変更した部分を赤文字にするという気配りがあると良いですね。

 

さらに言えば、就業規則だけが周知の対象ではありません。

労務管理の実務では、規定類全般が周知の対象です。


賞与規定
交通費規定
リフレッシュ休暇規定
育児休業規定
退職金規程

などなど。

これらの規定も就業規則と同様に、変更や削除をすれば周知しなければいけません。


人によっては、「退職金規程を変更しても、周知しなくても良いのでしょう?」と考えてしまうのかもしれませんが、退職金規程も、項目を変更したり削除をすれば、周知する必要があるわけです。


法律も創設したら官報に掲載して公布しますので、就業規則も対象者に知らせる必要があるのですね(ただ、就業規則の場合は、官報に掲載する必要はありませんけれども)。


知らせずにルールを適用することはできず、知らせてこそルールは適用できるわけです。適用される相手に内容を知らせないと、「そんなの知らないよ」と言われ、トラブルになります。

 

 

就業規則を変更した箇所がわかるように伝えるにはどうするか

就業規則を変更するとなると、変更前と変更後を比べて確認できるようにする必要があります。

 

例えば、Web サービスだと、利用規約を変更するときは、変更前と変更後の内容を、左右に分けて表示する形にして、利用者に伝えています。

 

就業規則でも、変更前、変更後という形で、左右に分けて表記するような連絡表のようなものを作成して、掲示板に貼るなり、社内ネットワークで送信するという形で伝えることができます。

 

変更した部分をずっと表示し続けるべきかというと、そうでもなくて、変更した時点での従業員には上記のような形で伝えるとしても、ある程度の期間が経過した後は、変更後の就業規則だけを確認できるようにしておけば足ります。 

 

 

就業規則の作成義務 フルタイム社員7人とパートタイマー7人の会社でも就業規則は作らなければいけないのか

労働者の数が常時10人以上の事業所では就業規則を作成する義務があり、その作成した就業規則を労働基準監督署に届け出る。そういう手続きが必要になります。

例えば、フルタイムで働く社員が7人で、パートタイムで働く社員が3人。人数は10人になるけれども、こういう会社でも就業規則を作成する義務があるのか。

労働者の数というのは、フルタイムであれパートタイムであれ、両方の労働者を含んだ数という解釈がされていますから、フルタイム社員だけで10人以上という基準ではなく、他の労働者も含めて10人以上という基準です。

ですから、この例の会社でも就業規則を作成する義務があります。

フルタイム社員が7人で、パートタイム社員が3人だから、両方の社員に対して使える就業規則を作ります。

フルタイム社員だけに適用される就業規則を作ったけれども、パートタイムの人に対して適用する就業規則がないのは駄目で、10人全員に対して適用される就業規則を準備します。

フルタイム用の就業規則とパートタイム用の就業規則、この2つをこの会社では作らなきゃいけないのかというと、それも1つの方法です。

他の方法としては、就業規則をひとつだけにして、フルタイム社員に適用される部分とパートタイム社員に適用される部分を分けておけば、就業規則をひとつにすることも可能です。

社員数10人の会社となると、小規模な会社ですから、就業規則を2つに分けるのではなく、1つの就業規則を使いまわせるように汎用性の高い形で作っておくのが現実的な方法です。 

 

就業規則の作成で業種別に気をつけたいポイント
業種や仕事によって働き方や社内のルールも変わります。そのため、就業規則の内容も会社ごとに違いがあります。10社あれば10通りの就業規則があるのですね。

 

 

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