あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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休日に残業したときの話 正しい知識でも使えない時がある

休日&残業

 

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┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2010/1/15号 no.158)━




節分の恵方というのは、なぜいつも微妙な方角なのでしょう。


南南西とか北北東とか、西南西とか東南東とか、判断に迷うような方角です。

ときには、壁に向かって太巻きを 食べるというような奇妙な状況も発生しそうです。


今年の恵方は北!
今年の恵方は東!
今年の恵方は南!
今年の恵方は西!

というように分かりやすい方角にはならないのでしょうか。

不思議だ、、、。






■正しい知識でも使えない時がある◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
正しくても納得してもらえない場面。
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知識としては正しいけれども、、、。


前回のメルマガの編集後記でお伝えした通り、今回は「休日勤務の日の時間外勤務」について書きます。

詳しくは下記のリンク先の内容をお読みください。この内容を前提に今回のメルマガを書きますので、事前に読んでいただくと理解しやすくなります。


休日勤務の早出残業には時間外手当は要らない


ご存知のように、休日(この休日は法定休日とします)勤務すると、35%以上の割増手当が追加で必要になりますね。いわゆる「休日割増」という手当です。

また、この休日勤務割増手当は、休日の全日にわたって支給されるものであり、例えば休日に7時間仕事をしたとすると、その7時間の全ての時間に対して休日勤務35%を付加します。

ここまでの内容は確認です。


今回の本題は、「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という点です。

例えば、法定休日に、8:00から19:00まで勤務(休憩が1時間含まれていると仮定)したとすると、勤務時間は10時間ですね。となると、8時間を超えた2時間分がいわゆる時間外の勤務となるわけです。そこで、2時間が時間外の勤務なのですから、この2時間に対して時間外労働の割増手当が必要になる、、、"はず"です。

ところが、労働基準法では、上記の2時間に対して手当は必要ありません。


マトモに考えれば、「こりゃ2時間の時間外労働だろう」と判断する場面ですが、休日勤務が重なると、トリッキーな結果を招くのです。

不思議な仕組みですけれども、本当です。




通達の趣旨が不明。


なぜ休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ないのかというと、ある通達が根拠です。


>>>

36協定によって休日の所定労働時間を8時間と定め、始業午前7時より終業午後4時とした場合(休憩1時間)で、午後4時を超えて労働させたときの割増賃金については、8時間を超えても深夜業に該当しない限り3割5分増で差し支えない。

(若干表現を手直ししています)

<<<

上記は、厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長への通達ですが、この通達が「休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ない」という点の根拠です。

この通達を基準にすれば、確かに」休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ない」ということは分かります。


ただ、なぜこのような通達を出したのかが不明です。

何の意図でこのような通達を出したのでしょう。


おそらく、休日勤務の日に時間外労働割増を支給するとなると、「休日割増35%+時間外勤務割増25%+深夜割増25%=85%割増」というように休日と時間外と深夜が重なると、常軌を逸した割増賃金が必要になるので、このような状態を回避しようという意図なのかもしれません。

休日割増35%+深夜割増25%=50%割増という組み合わせは現にありますが、上記の85%増しという組み合わせはありません(労働基準法的には)。


もし、85%割増という状況を避けようとして上記の通達を出したというならば分かりますが、「3割5分増で差し支えない」としてしまうと現場は混乱します。


なぜ「3割5分増で差し支えない」という結論に至ったのかが分かりませんから、周りの人を納得させるのが難しいのです。「85%割増という状況を回避しようとした」というのは私が考えた結果であって、行政の担当者から説明があったものでありません。

そのため、通達の趣旨は何なのかが分からないので、相手に説明しにくいわけです。



「8時間を超えても時間外にならない」という点に納得できない人もいる。


「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という判断は正しいのですが、この判断を現場で利用すると混乱が起きるはずです。


普通に考えれば、「1日8時間を超えると時間外労働だ」と判断するのですから、この判断から逸脱した考えを現場で働く人が受け入れるかというと私は難しいと思います。

もし、休日に時間外勤務をした社員さんが自社にいるとして、その社員さんに時間外勤務の割増手当を支給しなければ、おそらくトラブルになります。「この会社は残業代をキチンと払っていない」と社員さんが早合点して、会社の総務担当者と言い合いになるかもしれません。

たとえ正しい知識であっても、場面によっては使わない方がよいこともあるのですね。

「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という処理は、「やればできるが、やらない方が良いこと」の1つなのですね。


もし、休日勤務が発生して、どうも8時間を超えて仕事をするかもしれない状況になったとしたら、強引に8時間以内で仕事を終わらせ、別の日に仕事を回すというのもアリです。しかし、どうしても休日の時間外勤務になるならば、時間外手当をキチンと支払うのが良いです。つまり、休日割増35%+時間外勤務割増25%=60%割増で手当を支払うわけです。

強引に「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という知識を使っても、社員さんから「なぜ1日8時間を超えているのに時間外勤務にならないのか」と詰問されたら答えられないでしょう。私ですら答えられません。

「そういう仕組みだからそうなっている」という訳の分からない回答しかできませんからね。

休日はキチンと取得できているので、休日勤務はないという会社ならば心配ないことですが、休日勤務がある会社は気を付けてください。


追記:

『法定休日に出勤することそのものが時間外労働であり、それに対して休日割増賃金を支払っているのだから、さらに時間外労働に対する割増賃金を上乗せする必要はない』というのが実務上の解釈のようです。つまり、休日割増賃金の中に時間外労働の割増賃金も含まれているという扱いになるわけです。

週に1日は休日を取れている職場ならば、今回のような問題は起こりませんから心配不要です。一方、1週間に1日も休みが取れない時があるならば、休日割増賃金と時間外労働の割増賃金の関係を知っておく必要があります。

 








┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓



AmazonのKindleは電子教科書としても使えそうだ。

Kindleは新聞や雑誌を読める電子端末ですが、この端末は電子教科書としても使えるのではないかと思います。

例えば、教科書をネット経由で販売すれば、いわゆる「教科書販売」というイベントをなくすことができます。あれ学生には結構な負担なのです。どの教科書が必要で、何日までに買わないといけないとか、新学期の厄介なイベントです。

さらに、日本史の教科書をKindleで読んでいるときに、坂本竜馬についてもっと知りたいと思ったら、リンク化された"坂本竜馬"の文字をクリックすると、Wikipediaの坂本竜馬のページを読めるということも可能でしょう。

紙の教科書でWikipediaと同じ情報は載せられないはずですからね。


Kindleが電子教科書になることを私は期待しています。





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