2009/11/26【年金分割制度を作った理由】





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インフルエンザに感染しやすい場所は、人ごみが発生する場所と言われるけれども、もっとも感染しやすいのは病院だと思う。

病気を治す場所なんだけれども、もっとも病気を発生させやすい場所でもある。それが病院。

何か、、、"モグラたたき"みたいな感じです。





■年金分割制度を作った理由◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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どうして分割する仕組みが必要なのか
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■仕組みの内容は公表されるが、仕組みを作った理由はあまり公表されない。


2年くらい前でしょうか、離婚時の年金分割ができるようになって、少しだけ話題になりましたよね。

「年金分割ができるようになると、熟年離婚が増える」と言ったりする人もいて、妙な感じを抱いていたのを覚えています。分割の仕組み自体が良く分からない人が多いのに、「年金分割→熟年離婚」とはそう簡単に繋がらないだろうとも思えますね。


ところが、年金分割の仕組みは調べれば何とか分かるのでしょうが、その仕組みをなぜ作ったのかという点についてはあまり触れられていないのですね。

いわゆる、「制度の趣旨」というものです。

公的な仕組みを作るからには、何らかの意図がありますから、その意図つまり趣旨を知れば、「あぁ、だから年金分割という制度を作ったのか、、」と納得できるのではないでしょうか。

本やウェブサイトを見ると、年金分割の仕組みについては細かく書いていますが、なぜ年金分割制度を作ったのかという点については細かく書いていないのではないかと思います。


そこで今回は、なぜ年金分割などという仕組みを作ったのかが本題となります。







■妻の犠牲を夫がカバーするため。


なぜ年金を分割するのかを端的に答えると、「妻が払ってきた犠牲を夫が補償する」というのが最大の理由です。

例えば、夫が外で働き、妻が家で家事を主に担当していると、妻は自分自身で自分の年金を作れません。つまり、会社で働けば、厚生年金に加入して自分の年金を作ることができますからね。もちろん、専業主婦であっても、国民年金の3号被保険者になりますから、国民年金には加入できています。ただ、厚生年金を使って年金を上乗せする機会はなくなってしまうわけです。

(※ちなみに、3号被保険者とは、厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者のことを意味します。会社員の夫に扶養されている妻とか、会社員の妻に扶養されている夫ですね。性別は問わないので、夫でも3号被保険者になることが可能です)


そこで、厚生年金に加入して自分の年金を上乗せする機会を失った妻への見返りとして、夫の厚生年金の保険料納付記録を分割してもらうのですね。


端的に言えば、「厚生年金に対する機会損失」が妻の犠牲なのですね。

妻の発言を想定すると、「あなたが気兼ねなく仕事ができるように、私は家のことをずっとやってきたんです(少し語気を強く)。そのため、私は年金に加入したくても加入できなかったのよ(ちょっと悲しく言う)。だから、あなたの年金を分けてもらうのも理にかなったことなの(堂々と言う)」というように言うかもしれませんね。


年金分割は、妻を守るというよりも、特に国民年金3号被保険者の期間をフォローしようという意図が強いです。

3号被保険者の期間は、厚生年金には加入していませんが、保険料の負担無しに国民年金に加入しています(なお、3号被保険者を扶養しているからといって、厚生年金に加入している夫や妻の保険料が別途で上がるということはありません)。

この点では3号被保険者には利点があるのですが、年金を受け取る段階になると、国民年金だけが支給されますので、どうしても受取額が少ないのですね。


家事を主に担うことなしに仕事をしていれば厚生年金に加入することは可能だったが、専業主婦(or専業主夫)ゆえに、やむをえず厚生年金に加入できなかっただけなのですね。にもかかわらず、国民年金だけしか支給されないのは辛いですから、夫(or妻)の厚生年金の記録を分けてもらうことで、妻(or夫)の年金を増やそうとしているわけです。


「配偶者の犠牲を、もう一方の配偶者がフォローする」これが年金分割を作った理由です。







■「会社員の夫、専業主婦の妻」という標準モデルに違和感。


ちなみに、年金の分割は厚生年金だけの仕組みです。そのため、自営業の期間は年金分割の対象にできないのですね。

例えば、夫が自営業(若いときからずっと自営)で、妻が専業主婦だとすると、妻は夫の年金記録を分けてもらうことができません。

なぜならば、国民年金は別名「基礎年金」とも呼ばれ、老後の基礎収入の役割を担う年金として位置づけられています。それゆえ、分割の対象にするのは避けたのでしょうね。国民年金を分割してしまうと、自活できなくなり、生活保護を受けたりしてしまうかもしれませんからね。

ただし、会社員の人が途中でいわゆる「脱サラ」をして自営業になったとしても、年金分割の対象になります。もちろん、自営業の期間(国民年金だけに加入している期間のこと)は分割されませんが、会社員時代の期間(厚生年金に加入していた期間のこと)は分割される可能性があります。


ヘンな考え方ですが、若いときから自営業をやっておけば、年金を分割できないので、熟年離婚を防ぐことができるのでしょうか。まあ、「離婚を防ぐために自営業をやる」なんて考えている男はいないかもしれませんけれども、、、。

年金以前に離婚されることもありますから、、、。年金だけで離婚など決めませんからね。



あと、年金分割には、「任意分割」と「強制分割」の2種類があります(「任意」「強制」というのは私なりのネーミングです)。


任意分割とは、厚生年金の記録を持っている相手と合意したり、裁判所で手続きをしたりすることで、分割の割合(最大で50%まで)を決める仕組みです。

一方、強制分割とは、厚生年金の記録を持っている相手と合意する必要はなく、一方的な請求で分割が可能な仕組みです。さらに、分割割合も50%に固定されています(割合設定の幅がない)。

ただ、強制分割をするには、国民年金3号被保険者の期間だけが対象です。つまり、自分自身が3号被保険者だったときに、相手が厚生年金に加入している、その両者の期間が重なっている期間が強制分割の対象なのです。

任意分割の場合は、このような制約はなく、婚姻期間中の厚生年金記録が対象になります(3号かどうかは問わない)。


端的に言えば、強制分割は、専業主婦や専業主夫を特別にフォローしようという仕組みなのですね。




┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓


「自分に厳しく、他人に優しく」という言葉。

この言葉は人の共感を呼ぶらしく、昔から語り継がれている。

ただ、私の経験上だけれども、自分に厳しい人は他人にも厳しいと思うのです。一方、自分に優しい人は、他人にも優しいことが多い。

時間をキチンと守る人は、相手に対しても時間をキチンと守ることを求める。また、相手の気持ちを慮る人は、相手に対しても人の気持ちを慮ることを求めるのですね。


「お客様は神様だ」と考えて商売する人は、自分がお客になると神様になる。そして、その神様は時として暴言を吐いたりするのです。お客に対するいい加減な扱いが許せないのでしょうね。


何事も、「どの程度まで進めるか」を意識したいです。



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