book310(会社の都合で2年遡及される社会保険)




■会社の責任だけれども、、、。


パートタイムで働く人は、「社会保険に加入している人」と「社会保険に加入していない人」に分かれています。

いわゆる「3/4条件」を満たすかどうかで加入するかどうかが決まるのですが、中には、この条件を満たしていても、パートタイム社員さんを社会保険に加入させていない会社も少ないながらあるのですね。

ただ、加入の指導をされないからといって、そのまま加入しないでいると、「2年間遡って加入してください」と案内され、2年分の社会保険料を遡って支払う状況になったりします。


そこで、会社が2年遡って社会保険に加入することを決めたとすると、社会保険の保険料は労使折半ですから、2年分の保険料の半分は社員さんが負担するわけです。

ところが、2年分の保険料を社員さんが負担するといっても、「会社の判断で加入してこなかったのに、社員への負担を求められるのは何かおかしいのではないか?」と思う社員さんもいるかもしれませんね。

最初から加入していれば、月毎に保険料を払うこともできたのに、2年分を一気に負担するというのは、ちょっと無理がありそうです。

法人ならば支払い能力は相応にあるのかもしれませんが、個人だと一気に何十万円も支払うのは難しいかもしれません。







■本人負担は本人負担。



しかしながら、社会保険は、会社ではなく働く人に利益のある制度ですから、利益を受けるなら負担も受けるのは当然でしょう。

それゆえ、たとえ2年分の保険料を支払うことになったとしても、その保険料の半分は社員さんが負担しなければいけないわけです。


ただし、いきなり2年分の保険料を負担しなければならなくなったのは、会社に原因があるためです。

会社が加入手続きをしなかったから2年分の負担を一度に課されているので、すべてを会社持ちにしたいと考える方もいるでしょう。


となると、何らかのフォローを会社に要求するのは有り得ることです。


例えば、2年分の保険料を会社が全額負担するとか、社員負担を残すとしても、会社7割・社員3割というように負担割合を変えるとか、負担割合はそのままで分割払いにするという方法があります。



余談ですが、遡及加入の状況になると、健康保険と厚生年金がセットにされている理由を考えることもできそうです。

どういうことかと言うと、遡及して健康保険料を払うのはあまり利点がないので、厚生年金と組み合わせておくことで、遡及して保険料を納付しても利点があるようにしているのではないかと私は思います。

つまり、健康保険は今加入していることに意味がある仕組みであって、遡及加入したからといってさほど利点のある仕組みではありません。それゆえ、遡及加入しても保険料だけを払うだけで終わってしまうと思えるのですね。

そこで、健康保険に厚生年金を抱き合わせることで、「遡及加入すれば厚生年金が増えますよ」とアナウンスすれば、遡及加入に利点があるかのように思ってもらうことができるのですね。つまり、健康保険での不利益感を緩和しているわけです。



山口正博 社会保険労務士事務所
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