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他社で副業した労働時間も計算に含める必要がある?

副業時間

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■他社の勤務時間も計算に?◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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他社での勤務時間も考慮して時間外の勤務を考えるの??
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あちらの会社で○○時間の勤務だから、こちらの労働時間である○○時間と合わせると、、

法定労働時間は「1日8時間、1週40時間(例外44時間)」という枠があらかじめ決まっていますよね。この枠内で勤務すれば法定内勤務、この枠を超えれば法定外勤務です。

では、ある会社で、社員さんが他の会社との掛け持ちで働いているとすると、時間の計算はどうなるでしょうか。


例えば、この社員さんはA社とB社で働いているとします。また、A社はいわゆる本業の会社とし、B社は掛け持ち先(兼業先)の会社とします。

その条件で、1週間の勤務時間が、A社で38時間、B社で18時間だったとすると、この社員さんは時間外の勤務をしたことになるでしょうか。


「A社で38時間、B社で18時間だから、、、合計すると56時間だよね。ということは、16時間分が法定外の労働時間だ」と考えるのか、

それとも、

「確かに、合計すると40時間を超えているね。けれども、他社の事情を自社で把握することはできないんじゃないの?A社がB社に対して、その社員さんの勤務時間を問い合わせることなんてできないでしょう?A社とB社を入れ替えても同じ。勤務時間も個人情報だからね」

どちらも正しいことを言ってそうですよね。


前者は累計の時間で把握しているのに対し、後者は会社ごとに区切って把握しています。

この場合、どちらが妥当なのでしょうか。






他社との労働時間の通算は必要だが、現実には通算できない

法定労働時間の規制を設けた趣旨は、「長時間の労働によって、労働者に身体的負担および精神的負担がかかるので、ある一定の時間数までの勤務時間に制約する」という点にあります。

となると、労働者ごとに、1週間の累積の勤務時間で時間外勤務かどうかを判断する方が妥当かと思えます。この立場から考えると、先ほどの前者の考えの方が正しいのかなと思えてしまいます。

しかし、何か無理がある考え方だと思いませんか。

どこに無理があるかと言うと、「どうやって2社間の勤務時間を通算するのか」という点です。

2つの会社での勤務時間を合わせて時間外の勤務かどうかを判断するためには、相手の会社での勤務時間を把握しなければいけませんよね。



例えば、A社の立場だと、

(1週間の勤務が終了して、A社がB社に電話する。なお、勤務している社員さんは「柴田さん」という名前と仮定します)

プルプル、、、(電話音)

B社「はい、B社です」
A社「ああ、B社さんですか。お忙しいところ失礼します。」

B社「どうも。どのようなご用件で?」
A社「柴田さんの先週の勤務時間は何時間だったか教えていただきたいのですが、、、」

B社「ああ、はい。ええっと、、、18時間ですね」
A社「18時間ですか。ありがとうございます」

A社「用件はこれだけですので、それでは失礼します」
B社「はい、失礼します」

ガチャ、、、プープー(電話音)


柴田さんの勤務時間を通算するために、2社の間でこんなやり取りをするのでしょうか。

何か変だと感じませんか。


B社がこんなに簡単に柴田さんの個人情報(自社の勤務記録)を教えてくれるでしょうか。

聞く方も聞く方ですが、教える方も教える方です。他社にホイホイと自社の社員の個人情報を教えるわけがないですよね。

もし、2社の勤務時間を通算して時間外勤務の判断をしようと思えば、上記のようなやり取りをするわけですよね。

しかし、マトモな人ならこんなことできません。


ここで、「相手の会社から聞けないなら、社員さん本人からB社での勤務時間を聞けば?」と思う方もいるかもしれませんね。

でも、ですよ。社員さんが勤務時間の嵩を増して申告したらどうしますか。本当は18時間なのに、31時間とか言ったら、そのまま受け入れるのでしょうか。

こうなると適正に時間を管理できないですよね。



また、さらなる疑問として、他社との累積で勤務時間が1週40時間を超えたら、A社とB社のどちらが時間外手当を支払うのでしょうか。

雇用契約を先に結んだ方が優先なので、A社との雇用契約が先ならば、B社が16時間分の時間外手当(56時間-40時間=16時間)を支払うと考えたりするのでしょうか。このように判断してしまうと、B社が不満を持つでしょう。「18時間しか勤務していないのに、なんで16時間分の時間外手当を払うの?こりゃ、おかしいよ!」

一方、A社の立場に立っても、「当社では38時間の勤務だから、法定内の枠で勤務できている。にもかかわらず、他社の事情(B社での18時間の勤務時間)が加わって時間外手当を払うというのは納得できない。他社のことは他社で処理するべきでしょう」


ほら、ほら、無理が出てきたでしょう?

A社もB社もマトモなことを言っています。他社の事情をなぜ自社で考慮しなければいけないのかという点では共通していますね。








勤務時間を把握できるのは自社内だけ

他社の勤務時間を通算して法定労働時間に収まっているかどうかを判断するのは間違いなのです。法律を使わずとも、一般的感覚からも間違っていると判断できるはずです。


A社で38時間の勤務、B社で18時間の勤務だったら、柴田さんは法定労働時間を超えずに働いていると判断するべきなのです。

40時間の法定労働時間枠は、「会社ごとにはめ込むもの」であって、「個人ごとにはめ込むもの」ではないのです。


確かに、他社での勤務時間も通算するべきと考える方が法定労働時間制度の趣旨には合っているのかもしれませんね。

しかし、自分の判断(もしくは都合)でA社とB社の掛け持ちで働いているのですから、その事情を会社に考慮させるのは行き過ぎです。

もし、黙って掛け持ち勤務されたら、A社もB社も事情が分からないでしょうから、勤務時間の通算がなおさらに困難です。


ゆえに、勤務時間は会社ごとに区切って計算するのが正しいという結論になります。

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労務管理の問題を解決するコラム

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【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
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このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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