book297(社会保険の「3/4条件」は曖昧)




■3/4が条件、、、だけれども。


パートタイム社員さんの社会保険は、勤務時間および勤務日数がフルタイム社員の3/4以上に達していることが加入条件です。

ただ、3/4以上という条件(以下、「3/4条件」と略記する場合あり)を満たしたからすぐに加入というわけではなく、思いのほか曖昧な部分が残されています。


例えば、雇用契約では、3/4以上という条件を満たしていないが、勤務の実態は3/4以上という条件を満たしているというような状況が有り得ます。

一方、上記とは逆に、雇用契約では3/4以上という条件を満たしているが、勤務の実態では3/4以上という条件を満たしていない場面も有り得ますよね。

こんな状況ならば社会保険には加入するのでしょうか。


さらには、3/4以上という条件を満たすといっても、どの時点で満たしたと判断するのかも微妙です。

例えば、7月は3/4条件を満たさなかったが、8月と9月は3/4条件を満たした。ところが、10月以降は3/4条件を満たさなくなった。

こんな場合なら、社会保険に加入するのでしょうか。それとも、加入することはないのでしょうか。


「3/4条件」というのは、客観的な基準のように思えるのですが、意外と客観性を維持できない条件なのですね。







■曖昧さを意図的に残しているのではないか。


このページを読んでみて下さい。
http://www.sia.go.jp/topics/2007/n1221.pdf(社会保険庁のpdfです)
※社会保険庁のウェブサイトは廃止されましたので、アクセスできません


【ただし、この4分の3以上の判断基準はあくまでも一つの目安であって、
これに該当しない人であっても、就労の形態や内容等を総合的に判断した
結果、常用的使用関係が認められた場合は被保険者となります】

と書かれていますよね。


「3/4条件」という基準を示しながらも、最後の但し書きで修正しているのです。

「たとえ3/4条件を満たさなくても、社会保険に加入する人はいます」と読めますし、「たとえ3/4条件を満たしていても、社会保険に加入しない人もいます」と読むことができます。


「総合的に判断」ですからね、、、。

これでは現場の人は困ります。



さらには、「おおむね4分の3以上」という文言。

「おおむね」という文言と「4分の3以上」という文言を一緒に並べています。つまり、定性的な基準と定量的な基準を混ぜているのですね。

簡単に「3/4 以上」と言い切ってしまえば良いところを、あえて「おおむね3/4 以上」と決めている意図は何なのか。

私は、わざと曖昧にしていると思うのですね。

曖昧な条件を設定しておいて、企業側の裁量で判断する余地を残すのが目的なのではないでしょうか。




なお、公的な保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)は条件に当てはまらなくても加入してもよい仕組みになっています。

つまり、条件を満たしてないけれども、進んで加入することは差し支えないのです。

週2日しか勤務していない人でも、1日3時間しか勤務していない人でも、加入しようと思えば加入できます。「加入義務がない」というだけですから、任意で加入することは可能なわけです。

それゆえ、判断に迷ったら加入してしまうのも手です。

山口正博 社会保険労務士事務所
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