book295(振替休日を使い、時間外勤務を帳消しにする会社)




■8時間の時間外勤務は1日の休日があれば消える??


ご存知のように、1日8時間を超えて勤務すると、法定時間外の勤務になりますよね。さらに、1週40時間(例外44時間)を超えて勤務したときも、法定時間外の勤務になります。

そこで、例えば、今週の勤務時間が48時間になったので、来週は休日を1日増やして、時間外勤務を帳消しにしようと考える会社があるとします。なお、この会社では、1日の勤務時間は8時間と設定されており、また、休日は土曜日と日曜日に決められているとします。

つまり、1週間の勤務時間の枠は40時間なのだから、今週の48時間と来週の32時間(1日の休日分を除いた時間)を平均すれば、40時間で収束できているではないかというわけです。


なるほど、確かに、今週と来週の勤務時間を平準化すれば、1週40時間にすることができますよね。

ただ、このような処理が可能かどうかが疑問です。

ぱっと考えると理にかなっているようにも思えてしまうのですが、何となく違和感が残るはずです。






■単価が違うものを等価として扱うことは無理。


なぜ違和感を感じるかというと、「単価が違うものを等単価として扱ってしまっている」からです。

具体的に言うと、「40時間を超えて勤務した8時間」と「40時間以内に収まっている8時間」は、"時間量"では同じなのですが、"時間単価"では異なるのです。つまり、時間外勤務に対する割増手当の分だけ単価が異なるのですね。

それゆえ、「今週の時間外勤務8時間分」と「来週の振替休日(勤務時間で8時間相当のもの)」を等価で交換することはできないのです。


ただ、時間外勤務手当の部分だけを別途で用意し、振替休日を設けるならば実現は可能ではあります。つまり、手当の部分(8時間分の時間外手当)だけを支払い、本給の部分(8時間の勤務)は休日にするというわけですね。金銭的に帳尻を合わせる方法です。


しかしながら、上記の方法では、金銭的には問題を解決できるのですが、雇用契約の内容と実態の乖離が発生します。

つまり、雇用契約では、「週5日勤務、休日は土曜日と日曜日の週2日」と決めているのですから、振替休日が入り込んでしまうと、休日が3日になり勤務日数が4日なってしまいます。


時間外勤務を翌週の振替休日にするのは不都合だし、手当だけを別途で用意して振替休日を設定しても雇用契約と実態が乖離してしまいます。


ゆえに、今週の時間外勤務は今週で処理するのが妥当な方法だと結論できます。





 

山口正博 社会保険労務士事務所
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