book286(「有給休暇を取ったら皆勤手当を支給すべきではない」と思う)



■「不利益な取り扱い」の範囲はどこまでなのか。


「有給休暇を取得したら、その月の皆勤手当は支給しない」というルールを設けている会社があるかと思います。

「週休と公休を除いた日に全て出勤した場合に皆勤手当を支給する」のだから、休暇を取得したら手当の対象外にするのは当然だというわけです。


しかし、法的には、「有給休暇を取得することによる不利益な扱いはダメ」というルールがあるので、上記のような扱いはできないわけです。

ただ、何とも納得できない感じです。

どのような休みであれ、休んでいる日があるのに皆勤手当が支給されるのですから、違和感を感じるのですね。






■普通の感覚で判断したい。


一般には、皆勤手当を支給しないというような不利益な扱いをしてしまうと、休暇の取得を抑制してしまうという理由もあるようです。

では、「有給休暇を取得したら皆勤手当は無し」というルールによって、休暇の取得が本当に抑制されるのでしょうか。

要するに、「有給休暇を取得したら皆勤手当は無し」が不当なのかどうかが焦点です。


一般的感覚から判断すれば、休暇を取得すればその月の皆勤手当は無しと扱われても、さして疑問を抱くことではないのではないでしょうか。

「全て出勤したから皆勤」なのであって、休暇が含まれていれば出勤ではないだろうというのが通常の感覚のはずです。休暇を取ったのに皆勤手当を受け取る方が違和感を感じるのではないでしょうか。


確かに、「有給休暇の日は出勤したものとみなす」という扱いはあるものの、このみなす範囲は皆勤手当まで及ぶのでしょうか。会社が独自に作った皆勤手当制度なのに、その運用方法に制約が加わるわけです。

みなすのは労働基準法の範囲内(平均賃金や出勤率の計算など)に留まるべきものであって、労働基準法の外まで及ぶものなのかが疑問なのです。


有給休暇を取得したことでもって不利な扱いをすることはダメなのでしょうが、休暇を取っても皆勤手当を支給せよというのは、休暇の権利を過剰に守り過ぎではないかと私は思うのです(ただし、有給休暇と皆勤手当の関係に限る)。

いわゆる「過保護」なのですね。有給休暇に絡むと、ほとんどの扱いが不当と言われたりしますからね。


法的には正しいのかもしれませんが、感覚的には納得しがたいポイントです。

私は、「有給休暇を取得したら皆勤手当は無し」という判断はマトモだと思っています(法的にはダメですが)。




 

山口正博 社会保険労務士事務所
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