book279(最低賃金は必要か否か)




■最低賃金1,000円は妥当なのか。


社民党がよく主張していました(今も主張しているはず)が、「労働者の最低賃金を時給1,000円に」という目標がありましたね。

最低賃金というのは、地域別のものと産業別のものがありますが、それぞれ金額はバラバラです。

ただ、最低賃金は、高ければよいかというとそうでもなく、また、低ければよいかというとそうでもないものです。さらには、最低賃金がなければよいかというと、これまたそうでもないという結論になったりします。

メニューは、「最低賃金が高い、最低賃金が低い、最低賃金が無い」、という3つに分けることができます。





■どれも一長一短であり、誰もが納得する結論はない。


まず、最低賃金が高い場合を考える。

例えば、最低賃金を時給1,000円に設定してみるとすると、雇用される人が減りますよね。

まず、高校生のアルバイトが減るのは予想でそうです。最低で1,000円なのですから、高校生が働くのはほとんど無理になるのではないでしょうか。

こうなると、「学生が仕事をしないのは良いことだ」などと言う人もいそうですが、自分の小遣いは自分で稼ぐという人まで締め出すことになるのでしょうから、不都合です。

また、単純労働での雇用数も減るはず。ファーストフード店の店員とか、外食チェーン店の店員とかだと時給1,000円未満の社員さんが主力になっているのでしょうから、オペレーションが回らないのではないでしょうか。フルタイム社員だけで回すというわけにもいかないでしょうし。


パートタイムで働く社員さんが減ってしまうというのが最低賃金が高い場合の欠点ですね。さらに言えば、人件費は給与や賞与だけではないですからね。

ただ、最低賃金が上昇しても雇用数が減らなければ、良い選択肢にはなり得ます。



では、最低賃金が低い場合、もしくは最低賃金が無い場合を考える。

人を雇用しやすくなるのが利点ですね。

より低いラインで最低賃金が設定されていれば、それだけ雇用する余地が生まれるのですから、雇用される人は増えやすいです。


ただ、賃金の下限ラインが下がりますから、仕事によっては収入が減ることも有り得ます。特に、単純労働の仕事は賃金の下落圧力が増してくるはず。

しかし、最低賃金を低くすることは、ワークシェアリングと近似していますので、働く人にとっては必ずしも悪いことではないでしょうね。むしろ、最低賃金を高くしてしまう方が賃金の偏りを発生させ、働く人には不利になるのではないかと私は考えます。


さらに、香港には最低賃金が無いのですが、最低賃金が無いと雇用数は限りなく最大になります。まさに、最低賃金の水準と雇用数がトレードオフしている状態です。

条件を引き下げれば、何らかの雇用を獲得できるのでしょうから、仕事が無く無収入という状態にはなりにくいのではないかと思います。


となると、最低賃金はなるべく低めに設定しておくのが良いという結論になります。

私は、700円程度の水準で設定しておくのが理想なのではと思います。低め低めに設定しておくのが良いと考えています。

700円だと実際には大した効果はないのかもしれませんが、最低賃金の防波堤があるという"心理的な効果"は期待できるからです。香港のように全く防波堤がないとなると、心理的には不安になるでしょうからね。


 

山口正博 社会保険労務士事務所
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